観音寺城跡・安土城跡

観音寺城跡・安土城跡



日 程2002年2月16日(土)
山 域繖丘陵
メンバー単独
天 気快晴
コースタイムJR安土駅=0:15=沙々木神社=0:35=石寺=0:10=教林坊=0:10=日吉神社=0:25=観音正寺=0:10=
観音寺山=0:15=観音寺城跡=0:15=桑実寺=0:20=県立安土城考古博物館=0:15=安土城大手口跡=0:25=
安土城天主台跡=0:15=石部神社・会勝寺=0:25=JR安土駅【3:55】

 冬には貴重な移動性高気圧に広く覆われるとの天気予報に居ても立ってもいられなくなり、家を飛び出す。前々回の佐和山城跡&彦根城の軽ハイクに引き続き、同じく湖東の観音寺城跡と安土城跡が今回の目的地。
 信長像が建つ安土駅の駅前広場を後に、地下道でJRをくぐる。まずは南西方向にこんもりと茂る森を目標に歩き出す。この森が沙々木神社で、全国の佐々木氏の氏神を祭る神社である。豪壮な社殿の建ち並ぶ境内には癒し系の音楽も流れ、そこに佇むだけで心が洗われるようだ。


沙々木神社 沙々木神社


 神社から正面に見える観音寺山(繖山)に向かって進む。山裾の端までゆるやかに登ると町役場の建つ南腰越。ここからさらに東へ進み、観音寺山の南山麓をのんびりと巻いて行く。時折すぐ南を走る新幹線の通過音が響くほかは、何とも長閑な光景が広がっている。右手には古来から歌枕として知られた老蘇の森が茂っているが、今回は割愛し、石寺の集落に直行する。


観音寺山を見ながら石寺へ 観音寺山を見ながら石寺へ


 石寺の楽市楽座跡で一息入れた後、観音正寺へ向かうが、その前に、観音正寺で唯一残る坊の教林坊に少し寄り道。林の中に埋もれ、忘れ去られたように建っている雰囲気のある寺だが、残念なことに改修中であり、楽しみにしていた庭園を見ることはできなかった。


日吉神社 日吉神社


 気を取り直して、観音正寺へ。坂本の本家から勧進されたと言われる日吉神社から石段が始まる。観音寺城の大手口でもあるこの石段は、高さもバラバラであくまで無骨に積み上げられており、いかにも当時のままといった雰囲気を醸し出している。


観音寺城の石段を登る 観音寺城の石段を登る


 それにしても急だ。この好天で気温がグングン上昇していることもあり、シャツ1枚で登っているのに汗が吹き出す。参拝客用の有料林道が合流すると、観音正寺は近い。今までの急登が嘘のような小平地に境内が広がっているが、ここも残念ながら本堂は93年に焼失しており、現在は再建工事の真っ最中である。


観音正寺の石段下を横断 観音正寺の石段下を横断


 寺の石垣下を横断し、桑実寺方面へ向かう。すぐに観音寺山の三角点へ向かう分岐が右手に分かれる。迷わずこちらへ向かおうとしたら、「繖山系保全林管理促進協議会」なる団体名で、入山禁止の看板が立っている。この時点ではなぜ入れないのか腑に落ちなかったのと、ここまで来てピークを踏めないことに我慢できなかったこともあり、いつものことではあるが、警告を無視し、竹林の中を登り始める。この辺りから日陰になると雪が現れる。足元に注意しながら、階段の急登を一気にこなすと電波中継の施設が現れ、すぐに頂稜に登りつく。ここから北に何度かアップダウンを重ねながら進むと、ルート的には何の問題もなく観音寺山(繖山)の三角点に到着。どうして入山禁止なのか結局分からず、釈然としなかったが、木々の間から望む雪をまとった比良と伊吹が余りにも素晴らしかったので、これ以上詮索するのはやめた。


観音寺山(繖山)頂上 観音寺山(繖山)頂上


 目的地の桑実寺までは三角点から直接下るルートもあるが、それでは城跡をカットすることになってしまうので、先ほどの分岐まで戻り、山腹のトラヴァースを続ける。周囲に野面積みの石垣が目立つようになると、そこが観音寺城の本丸跡で小平地となっている。石垣しか当時の名残はないが、寒椿が満開で、残雪と相俟って何とも印象深い光景がそこにはあった。


観音寺城の本丸跡 観音寺城の本丸跡


 桑実寺へ下る。こちらが城の搦手になる。北側で日陰が多く、雪が結構残っており、ジョギングシューズでは辛い所も多々ある。何とか突破し、石段が現れてくると、寺は近い。山懐に抱かれたように建つこの寺の雰囲気は何とも素晴らしい。重文の本堂をゆっくりと鑑賞し、寺務所でお茶をいただいて、のんびりとこの山寺の景色に溶け込んだ。


桑実寺 桑実寺


 安土城跡へは尾根伝いに進もうと思い、寺の境内の北端から山道に入ろうとしたが、ここで再びさっきの「何とか協議会」の入山禁止看板が建っていた。今回も無視して進もうとしたが、念のため寺務所のおばあさんに確認したら、去年に山火事があり、観音寺山の北麓は焼け野原になってしまったらしく、まだ消防署の入山許可が下りないらしい。と言うことで、縦走は諦め、長くて膝がおかしくなりそうな石段を一気に麓まで下る。


桑実寺の石段を下る 桑実寺の石段を下る


 右手すぐにロマネスク様式のレンガ張りの建物が目に入る。これが県立安土城考古博物館でこの後の予習と腹ごしらえを兼ねて立ち寄ることにするが、ついビールも飲んでしまい、結構長居してしまった。予習のせいか、そうとう安土城が楽しみになってきた。博物館からカラー舗装の自転車専用道を北に進むと北腰越の車道に飛び出し、この車道を西南方向に進む。すぐに公園状に整備された広場が現れる。ここが大手道の登り口である。見上げると幅6m超の大手道石段が約180mも真っ直ぐ上方に伸びている。何とも豪快な眺めである。


安土城大手道 安土城大手道


大手道の最上部から見下ろす 大手道の最上部から見下ろす


 大手道両サイドの秀吉や利家の屋敷跡を確認しながら、じっくりと登る。直線部が終わると左にジグザグに傾斜が強まり、黒金門跡から安土城の中枢部に入っていく。途中二の丸跡にある信長の墓に立ち寄った後、いよいよ本丸へ。ここは本丸御殿が建っていたこともあり、山上とは思えないほど広々としている。天主台(安土城では天守ではなく天主が正しい)跡は本丸跡の角にあり、さらに石垣が詰まれ一段高みにある。天主台跡でしばし無言で佇む。ついにここに来た! これまで何故か訪れる機会がなかったというしかないが、無茶苦茶嬉しい。天主台跡四囲の石垣に立ち、遥か四方を望む。少しは信長の思いに触れることができたか…


安土城天主台跡 安土城天主台跡


ハ見寺跡から西の湖を望む ハ見寺跡から西の湖を望む


安土城百々橋口 安土城百々橋口


 帰りはハ見寺跡を通って百々橋口へ下る。石段を降りたところの石部神社、会勝寺で一息入れてから、安土駅へはセミナリヲ(神学校)跡経由で戻る。セミナリヲ跡からは観音寺山〜安土山の今日の足取りが全て見渡せる。充実した史跡巡りは大満足のうちに終わった。


セミナリヲ跡 セミナリヲ跡


セミナリヲ跡からの観音寺山 セミナリヲ跡からの観音寺山


参考タイム
08:40JR安土駅
08:55-09:00沙々木神社
09:10南腰越(安土町役場前)
09:35-09:40石寺楽市跡
09:50教林坊
10:00-10:10日吉神社
10:35-10:40観音正寺
10:50-10:55観音寺山(繖山)三角点
11:10-11:15観音寺城本丸跡
11:30-11:40桑実寺
12:00-13:30県立安土城考古博物館
13:45安土城大手口跡
14:10-14:15安土城天主台跡
14:30-14:35石部神社・会勝寺
14:45セミナリヲ跡
15:00JR安土駅


      

inserted by FC2 system