荒沢岳

−見て良し、登って良し、展望良しの真の「名山」−

   
   

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荒沢岳山頂からのパノラマ(拡大はクリック)

山行概要

日 程
2002年10月12日(土)
山 域
奥只見
天 気
快晴
メンバー
単独
コースタイム
銀山平=1:50=前ー=1:00=荒沢岳=0:55=前ー=1:15=前山分岐=0:20=銀山平【5:20】

記録文

 10/11 快晴
 これまで300キロ以上の長距離運転はしたことがなかった私が、無謀にも一人で新潟に向かう。
 高速代をケチって敦賀まで下道を走った割には、快調に進み、京都を出て6時間後には小出ICに何とか到着した。ゆ〜パーク薬師に浸かり、こわばった足腰の疲れをとってから、道の駅ゆのたにへ。牛の匂いが漂っているのにはまいったが、何とか眠りに落ちた。

 10/12 快晴
 凄い冷え込み。故に天気は完璧。シルバーラインをぶっ飛ばし、山を抜けると辺りは物凄い霧だった。ノロノロ運転で銀山平の駐車場へ。伝之助小屋先の登山口前にある広場に車を停める。京都ナンバーは注目の的で、なんか恥ずかしい。
 一月前の那岐山で右膝を壊しているので、いつもより入念に準備体操をする。ロングコースにこの膝はもつのか? 復帰戦を荒沢岳にしたのは無謀と言う他ないだろう。
 道標に従い、登山道へ。すぐに支尾根に取り付くための急登となる。この辺りでも周囲の木々はかなり色づいており、あ〜秋山に来た〜という感じ。一登りで支尾根上にたどり着き、多少はゆるやかになる。しだいにガスが晴れてきて、右側には越後駒の雄大な山体が見え隠れするようになる。

前ーが近づく

 前山の西側を巻き、南側に回り込んだところで、伝之助小屋からのルートと合流し、しばらくは平坦な尾根道を歩む。周りのブナ林の黄葉は最高潮! ほんまに美麗。うっとりしながら進んでいると、ガスが完全に晴れた前方に急峻な岩峰が見えてきた。あれが前ーか〜 瞬間汗が引いたような感じ。ここからは務めて前方は見ないようにする。しかし、歩いている間に前ーは大きく、覆い被さるようになり、嫌でも目に飛び込んでくるのであった。

 前ーの基部に行き着くまでは、非常になだらかなルートで結果的に一回も休憩を取らないまま、基部まで来てしまう。ここでもあまり疲れを感じなかったので、そのまま勢いで岩場に向かう。梯子と簡単な鎖場が続く。鎖が逆に邪魔なくらいで何と言うことはない。

荒沢岳と前ー 荒沢岳と前ー(拡大はクリック)

 グイッと上がって中間点に来ると、ガイドの写真等でお馴染みの前ーの威圧的な姿がすぐ目の前に飛び込んでくる。これをそのまま登ったらえらいところだが、岩峰の東側を巻いてゆくのは知っていたので、特に驚きはない。

 果たして、道は岩棚を下り気味にトラヴァースし始めた。鎖もあるが、これも邪魔。まあ、ルートの目印程度の意味はあるかな。それよりも横断中は上から落石がありそうで、こちらの方が怖い。横断を終え、再び登り始めてからが、一応最難部ということになるのだろう。鎖場が延々と続く長い登りとなる。さすがに多少の高度感は出てくるが、登りに関してはここも鎖はいらなかった。

前ーから荒沢岳を望む

 あっけなく前ーを越える。それでもそれなりに緊張はしていたのか、周囲の展望の良さにここで気づく。今日の展望は最高! 越後駒や未丈ヶ岳、浅草岳がよく見える。しかし何と言ってもこれから向かう荒沢岳はかっこええ〜 前ーからゆるやかにたわんだ尾根が最後は壁のように頂稜に突き上げていく。自分がこの急峻な尾根を登らないといけないことを忘れ、しばし魅入られてしまった。

 さあ、はるか頭上の荒沢岳へ。たわんだ尾根を一気に通過すると、標高差400m以上の一気の登りとなる。この山は前ーの岩場の通過がクローズアップされがちだが、それ以上に体力が要求される山だ。前ーで一息つけてしまうと、この登りはそうとう辛くなるでしょう。私もその一人です。ほんまに下りで膝がもつだろうかと不安になる位の直上の末、頂稜へ。反対側には期待通り、平ヶ岳の雄大な姿が目に入ってきた。そして、日光白根も続く。一人で歓声を上げながら、最後の簡単な岩登りをこなし、大展望の山頂へ。

荒沢岳山頂

 私が本日の一番乗り。誰もいない静かな山頂で存分に展望を楽しむ。越後三山が指呼の間。その奥に兎岳、巻機山と続き、今夏の激闘が懐かしい谷川連峰がその後ろに控える。北側も守門浅草岳とその背後、はるか彼方に飯豊の山並みが見渡せる。東方には明日登る予定の会津朝日岳から丸山岳、そして会津駒へと連なっていく秘境の山並みが一望。

 登る過程のしんどさといい、展望の素晴らしさといい、近年最高の山頂だった。岩場の下りがあるので、ビールを遠慮したのが大いに悔やまれた。
 40分位後に登ってきた重装備の人がいたので、まさか縦走するのではと尋ねたところ、何と兎岳までのヤブ尾根の登山道を復旧しに来たらしい。只見山岳会の人で今日から泊りがけで作業するとのこと。兎岳まで全線の開通にはまだまだ数年かかるようだが、何とも頭の下がる思いである。完成したらここから4時間位で兎まで行けるらしい。言われてから兎岳から越後三山へと連結する尾根を見ていたら、なるほど、ところどころ踏跡はついているようだ。復旧したら魅力的なコースが生まれるだろう。
 さらにのんびりとしていたら、次々と人が上がってきたので、ようやく腰を上げる。まだ10時半だが、何と言っても痛めた膝でこのロングコースを下らないといけないのだから、時間の余裕が欲しかった。そろりそろりと下る。急な下り故に手を使いながらの下降となったため、膝への負荷を抑えることができた。

前ーを目指しての下降

 登りの時と同じように前ーのピークでひと休み。呼吸を整え、岩場の下降へ。やはり下りは登りの時よりも神経を使う。通過に20〜30分かかるので、集中力を切らさないことが大事である。疲れてきている下りではなおさら。とか言いながら、結構楽しんで岩場を通過。ここからが長かった。前山までダラダラ尾根が続く。なかなか高度が落ちない。周りの鮮やか過ぎる紅葉に気を紛らわせながら進む。

前山付近を下る

 前山の分岐で最後の休憩をとる。ここから一気の下りとなる。膝はサポーターのおかげか何とかもってくれた。明日もやれそうでホッとしつつ、急な支尾根を木々の助けを借りながら、銀山平へ無事下った。
 荒沢岳はその山容、ピークまでの行程、ピークからの展望と三拍子揃っていて、ここ数年の中では文句なく最高の山でした。

 さあ、温泉、温泉。すぐ近くに今年オープンした銀山平温泉「白銀の湯(しろがねのゆ)」が出来たことが分かっていたので、迷わずそちらへ。登山口からは車で5分弱。北ノ又川沿いの石抱という山奥の平に整然とコテージが立ち並ぶ。その中でやや大振りの建物がお目当ての温泉だった。越後駒、中ノ岳、そして荒沢岳を望みながらの露天風呂は最高に気持ち良い。しかも、皆登った山ばかりだからなおさらである。何かここのロケーションは上高地に似ているような気がした。

 再びシルバーラインを抜け、小出の街へ。ここで今回の目的の一つである魚沼産コシヒカリの新米と地酒「八海山」の特別本醸造をゲット。明日は会津朝日岳に登るつもりだが、今日中に只見の近くまで進んでおけばよいので、まだ時間がある。それではと、近くの小千谷の街に向かうことにする。ここには河井継之助ファンの私にはこたえられない、戊辰戦争で越後長岡藩が賊軍になるきっかけとなってしまった、河井と土佐藩岩村精一郎との会談場となった慈眼寺があるからである。今までこの辺りを何度かうろうろとしたことはあるが、なかなかタイミングが合わず悔しい思いをしていたので、やっとチャンスがきた。

慈眼寺にて

 いかにも古い町並みの中、慈眼寺を探すのにだいぶ苦労したが、何とかたどり着いた。会見の間が保存されており、無理を言って見せてもらった。若造の岩村に相手にされなかった河井の無念さはいかばかりだったか…

 町外れの魚沼神社も参拝してから、再び小出に戻り、R252をゆっくりと進む。夕暮れの空に守門岳が大きい。運転しているだけで癒される景色を味わいながら、入広瀬村へ。ここの寿和温泉は3年前に守門岳を登ったときに入っているが、その時の豪快な露天風呂と泉質の印象が良かったので、今日の移動はここまでとする。そうと決まればまずはビール! 村内を何度か通り抜け、偵察すると駅近くに居酒屋を発見したので、開店と同時に飛び込んだ。ここのおかみさんはこの日浅草岳に登ったとかで、話も盛り上がり、京都から来たというと馬刺しを山盛りにしてくれた。おかげでベロベロになってしまい。寿和温泉の露天風呂に終了時刻まで沈没… この日は温泉の駐車場で爆睡。

翌日の会津朝日岳へ

参考タイム

10/11京都市内(中京区) 14:0519:00 名立谷浜SA 19:1020:20 ゆ〜パーク薬師 21:0521:30 道の駅ゆのたに(泊)
10/12道の駅ゆのたに 05:3006:00 銀山平 06:1508:05 前ー 08:1008:45 休憩(1755m付近) 08:5009:15 荒沢岳 10:3011:25 前ー 11:3012:45 前山分岐 12:5013:10 銀山平 13:1513:20 白銀の湯 13:5014:20 小出市内 14:3015:10 小千谷市内 15:4517:00 入広瀬村

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