浅間山

浅間山


【日 程】平成5年6月5日(土)
【メンバー】男2人
【天 気】曇り後雨
【コースタイム】JR小諸駅=TAXI=車坂峠=1:30=黒斑山=0:40=仙人岳=0:40=賽の河原=1:15=浅間山=1:00=峰ノ茶屋【5:05】

【記録文】
 『ちくま』から乗り継いだ『信州リレー号』の車中にて連れと落ち合う。そこそこの睡眠がとれた私と比べ、かなりの寝不足のようで、先が思いやられる。小諸で下車し、不要な荷物をコインロッカーに押し込み、タクに乗り込む。一気に標高2000m近い車坂峠へ。小諸ではどんよりとした空であったが、ここではそれが雲海に変化している。しかし、さらに上方にも雲がびっしりと埋め尽くされており、天気はあまり期待できそうにもない。
 ベンチで朝食をとってから、浅間山への第1歩を踏み出す。ゆるやかな登りを1つこなすとすぐに車坂山。八ヶ岳連峰の展望が素晴らしい。いったん下り、またじわじわと登る。噴火退避所が現れるとトーミの頭は近い。トーミの頭では一瞬ガスが切れ、浅間山の本体がゆっくりと姿を現す。ルートらしきものが左斜め上方へ向かっているのが見え、あらためて『行くしかない』と思う。ここからは外輪山の尾根を時計回りに進む。数回のアップダウンをこなすと黒斑山。ここから先は登山禁止地域である。天候が急速に悪化しそうにもないことを確認し、登山禁止のロープをまたぐ。
黒斑山から望む膨大な浅間本峰黒斑山から望む膨大な浅間本峰
 蛇骨岳までは樹林帯の中を行くが、残雪が若干ある。つい先程黒一色の浅間山を見て感嘆していた己にここが標高2000m以上を超えた世界であることを痛切に再認識させた光景であった。蛇骨岳からは岩肌むきだしの荒々しい尾根道となる。Jバンドで尾根を離れ、賽の河原への急降下となるが、とても岩が脆く、今にも落石がありそうで非常に怖い。駆け降りた賽の河原は浅間本峰と外輪山に囲まれた広大な平坦地で、本峰への急登に備え、大休止をとる。ここからいよいよ本峰の攻略に取り掛かる。岩だらけの殺風景な光景に、糸を引くように登路が延びている。腰を据えてじっくりと1歩1歩高度を上げるしかない。連れが寝不足を訴える。相当に苦しそうだ。しかし、ここまで来てしまった以上、戻るより進んだほうが早い。ここは頑張ってもらうほかに無い。数十分の仮眠をとっただけで、登行を再開する。ようやくに火口壁に辿り着いたと思うも、ふと顔を上げればまだ遥か上方に真の本峰火口壁が隠されており、我々の登行意欲に巧妙に揺さぶりをかける。しかもガスが辺りを覆い始める。急速にモチベーションが低下するのがはっきりと分かる。それでもヨロヨロの体に鞭打って登り切る。火口壁にさえ到達すれば、あとは平坦なルートを半時計回りに進むだけだ。硫黄臭が鼻孔を刺激する中を突っ切り、最高点とおぼしき場所に辿り着く。同時に小雨が降り出した。記念写真を撮っただけで、すぐに下降に取り掛かる。しだいに雨が本降りになる中、富士山の砂走りの要領で体重を砂礫にぶつけ、登りとは打って変わった驚異的なペースで駆け降りる。峰の茶屋に着く頃には雨は土砂降りとなった。登山禁止を破った我々を罰するかのように…

 この日は長野に泊る。明日はレンタカーでの草津白根お手軽プランである。


      

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