愛鷹連峰縦走

愛鷹連峰縦走


【日 程】平成8年6月2日(日)
【山 域】愛鷹連峰
【天 気】霧後晴
【メンバー】男4人
【コースタイム】十里木=1:15=越前岳=0:40=呼子岳=0:10=割石峠=0:10=蓬莱岳=1:10=位牌岳=0:30=袴腰岳=0:55=愛鷹山=1:30=赤野観音=0:40=鳥谷【7:00】

【記録文】
 昨日の箱根神山に引き続いての山行。
 御殿場を4時にタクシーで出発。運ちゃんは広大な富士の裾野をぶっ飛ばしてくれ、十里木まで30分弱で到着。登山口はちょっとした広場になっており、きれいなトイレもある。
 登山口で朝食をとった後、4時50分にスタート。コースタイムは約9時間、長い闘いの始まりだ。まずは、すぐ上に見える電波塔目指して、高原状の台地を急登する。電波塔からは、樹林帯となり、新緑の中を進む。回復するとみられた天気はむしろ昨日より悪いようで、標高800mを越えたあたりから、早くもガスに包まれる。期待していた富士の大展望は当然アウトで、いきなりから足取りが重くなる。
 皮肉にも、ろくに景色を見ずに登っているものだから、コースタイムはかなり縮まっているようで、高度計の数値もグングン上がっていく。登るにつれてガスはますます濃密になり、体をしっとりと湿らす。半分やけになりつつも、なおも登り続けると、何とコースタイムの約半分で越前岳に到着してしまった。(これで足が速いと勘違いした我々は後で苦しむことになる。)
 ピークはところどころ見通しがききそうだが、今日はなんの意味もない。止まっていると寒くて仕方がないので、早々と縦走を開始する。越前岳を出たのは6時25分であった。
 呼子岳へは、細い尾根のアップダウンが続く。今思えばこの辺りも結構危ない所はあったと思うのだが、なんせ我々の意識は鋸岳のみに集中しているので、特に困難さを感じることなく通過してしまった。
 呼子岳には7時5分着。依然としてガスが濃い。唯一のエスケイプルートが別れる割石峠も無言で通過し、蓬莱山へ登り返したのが、7時半。「この先危険」の看板が目に飛び込むが、黙殺していよいよ鋸岳の通過へと向かう。
 まずは西側の稜線直下をトラヴァース気味に下っていくが、急峻な上にガレ場で、しかも岩が浮きまくっており、恐ろしく神経を使う。ちょっとでも気を抜けば、連れに石を当ててしまいそうだ。何とかトラヴァースを終えると、今度は鎖を頼りに一気に尾根を乗越して東側に出るが、この鎖場は濡れている上に周りに手がかりになるようなものがいっさい無いので、鎖に全面的に頼らねばならず、かなりビビった。ようやく乗り越えた東側もさっき以上に切り立っており、ほとんどカニの横這い状態で、皆泣きながらの通過である。やはり岩場が濡れているのは致命的であり、悪天候では行くべきではないと反省するが後の祭り。結局、鎖、ロープ等のある悪場は10カ所ほどだったでしょうか、晴天時であれば問題ないと思いますが、悪天の中強行した我々はかなりシゴかれました。位牌岳(これもシャレにならない山名である。)にたどり着いた時はさすがにホッとしました。
ガスが幻想的な位牌岳山頂ガスが幻想的な位牌岳山頂
 位牌岳到着は8時50分であったが、「腹へった」の声が次々と上がり、ここでランチにする。
 腹を満たして、縦走を再開したのは9時50分。袴腰岳への縦走路はアップダウンがほとんどなく、今までが嘘のような平和なルートである。(鋸岳〜位牌岳間と距離は変わらないのに、コースタイムはなんと1/3)
 袴腰岳には10時20分着。分岐を左に取り、最終目標の愛鷹山へ向かう。天候に恵まれなかった今回の山行のハイライトはここからである。見事なブナ林がガスに包まれ、素晴らしい光景を現出させていたのである。乳白色のはずの霧が、ブナの新緑を受けて、ライトグリーンに光っている。僕らの吐く息も葉緑素に満ちあふれているかのようだ。周りすべてのものが新緑に一体化している。こんな幻想的な光景はこれまで見たことがない。漂うようになおも進むと、ブナ林が切れたあたりで、今度はいきなりガスが晴れた! 今まで全く目にすることのできなかった駿河湾が眼下に、正面にはずんぐりとした愛鷹山の全貌が現れたのだ。この御馳走に最後の愛鷹山への急登も一気に攻略し、一等三角点の埋まるピークにたどり着く。
 愛鷹連峰の縦走は念願だっただけに、気分はサイコー! 樹林に覆われ、展望皆無なのもご愛敬だ。200名山はこれで129登目。写真を撮りまくる。
愛鷹山頂にて愛鷹山頂にて
 あとは、眼下の駿河湾へ向けて駆け下りるのみ。ピークを11時55分に出発する。この下山路はよく踏まれており、調子に乗った我々は走る、走る。最後は急にタイムが辛くなったコースにうんざりしましたが(ほとんど走っているのに、一向にタイムは縮まらない)、皆比較的元気に鳥谷のバス停に降り立ちました。(14時20分着)
 天候には恵まれなかったが、久しぶりに充実感のある山行ができました。


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