−爽やかな新緑の森を抜けて、大峰屈指の名峰へ−
山行概要
2016年6月11日(土) | |
大峰山脈 | |
晴れ | |
単独 | |
和佐又山ヒュッテ=0:15=和佐又のコル=0:35=笙ノ窟=0:15=石ノ鼻=0:40=大普賢岳=0:30=小普賢岳=0:20=笙ノ窟=0:20=和佐又のコル=0:15=和佐又山=0:15=和佐又山ヒュッテ【3:25】 |
記録文(写真はクリックで拡大)
ここまで空梅雨気味の本年。この週末もそこそこの天候が見込まれたので、金曜日の晩、酒を控えて、枚方の実家に泊まる。
3時起床。そして起床から10分そこそこで車を走らせる。今回は、大峯の大普賢岳を目指す。遥か25年前に、奥駈北部縦走の途中でピークを踏んでいるが、ガスで真っ白だったこともあり、全くピークを踏んだ記憶が無い…
そして、世界遺産としての大峯を味わうためには、大普賢岳の支峰、日本岳の壮絶な絶壁中腹にある、75の靡(なびき、修行場のこと)の第62番、笙の窟(しょうのいわや)の探訪はマストだろう。
と言う訳で、車を南へ走らせる。ずっと下道だが、この時間帯なので、快調に到着と思いきや、ナビの設定が甘く、何故か、桜井市辺りをウロウロしてしまい、和佐又山ヒュッテの有料駐車場に着いたのは6時前になっていた。
駐車料金1000円とHPに書いてあったので、ヒュッテの中を覗いたが、声をかけても誰も出てこなかった…
身づくろいをして発進。和佐又山は後で登ることにし、大普賢岳に直接向かうルートへ。登山口には立派なチップ制のトイレがある。
しばらく、コンクリ舗装道を登っていき、キャンプ場(スキー場?)の草原を抜けると、歌碑が3連で建つ広場に到着。
「見返り台地」と呼ばれているらしく、歌碑は、笙の窟で修行したり、縁のある、日蔵上人、行尊大僧正、西行法師のものである。ここから登山道が始まる。
和佐又山と日本岳を結ぶ稜線を目指して、山腹を絡んでいく。もう新緑ではないのだろうが、それでも若葉が気持ち良い。早朝なので、適度に涼しく、至極快適に和佐又山と日本岳の鞍部(和佐又のコル)に到達。
ここから、北に90度方角を変え、日本岳の大岩壁目がけて進むのだが、ここからの稜線もこの先の絶壁が信じられないくらいにゆるやかである。それに下草がほとんどなく、うるさい藪もない。でもこれは多分、鹿に食われて全滅しているでしょうね…
気が付けば、絶壁の基部に到達したようで、西へトラヴァースし始める。
指弾ノ窟、朝日窟と順番に窟が現れ、そして、どこまで聳え立っているのか計り知れないほどの大岩壁の下に、笙ノ窟があった。
笙ノ窟は、奥駈道からは離れた「入峯中」の行場で、平安時代以来、多くの修行者の参籠修行が行われた場所で、特にこの窟での雪中参籠は峯中随一の荒行とされた。
笙ノ窟の先にも鷲ノ窟あり、そこを抜けると、いよいよ笙の窟尾根を目指しての登りが始まる。急なルンゼ状のところを落石に注意しながら登り、一気に笙ノ窟尾根へ登りつく。
ここから大普賢岳へは、急峻な尾根道となるが、鉄製の階段整備が行き届いており、危険はない。それでも急な階段の連続に、体力的にはけっこうしごかれながら、石ノ鼻へ到着。
ルートからすぐ左に入った岩頭からは、正面に大台ケ原を望み、反対側には、八経ヶ岳から釈迦岳までの北奥駈の主稜が一望できる。
ここで縦笛を吹いているオッサンがいて、「コンドルが飛んでゆく」などを吹きまくっており、何とものんびりとした雰囲気が山中に漂っていた。
ここから小普賢岳までも階段の急登が続く。肩のようなところに「小普賢岳」の標柱があり、地図ではピークへのルートはないが、後ろのピークに向かって踏み跡が続いているので、どうも登れるようだ。帰りに寄ることにし、本峰へ向かう。
大普賢岳へは、勿体ないくらい、いったん大きく下り、キレットの底のような鞍部から、一気に登り返す。さすがに本日の最大の急登となり、かなりスローペースに抑えているつもりだが、それでも息が続かなくなる。
いったい何段の階段を越えてきたのであろうか。うんざりする頃、ついに大峯の主稜線、すなわち奥駈道に合流した。大普賢岳へは、ここから奥駈道を南に100mである。
ピークは展望良好。八経、釈迦は当然として、ここで初めて、北側の、稲村ヶ岳、山上ヶ岳の両雄が並び立って聳えているのが見えた。
特に山上ヶ岳は、昨年12月の極寒オーバーナイトハイクの激闘が懐かしい。
のんびりとピークで休憩… と言いたいところだが、小虫が飛び回っており、のんびりできないので、10分ほどで下山開始。登ってきた道をどんどん下る。
小普賢岳へは、明瞭な踏み跡がピークまで続いていた。テープも各所に付けられており、迷いようがない。しかし、5分程急坂を登って到着したピークは、展望0… 完全に好事家(ピークハンター用)の山である。
急なルンゼを慎重に下り、一気に笙ノ窟まで下ると、後は鼻歌ルートが続く。
帰路は、ヒュッテから登り着いた鞍部を通過し、和佐又山を登る。そこそこの急登を経てたどり着いたピークは、痛々しい立ち枯れの木が目立つが、それ故に展望は利き、正面に大普賢岳の岩壁を前面に押し立てた雄大な姿が見える。
ピークから九十九折れの急坂を一気に下り、鹿除けのフェンスを通過して、和佐又山ヒュッテへ到着。車は来た時の3倍ほどに増えていた。
10時前に到着。結果的には楽勝でした。ちょうど近くの名湯、入之波温泉の「山鳩湯」さんが10時から日帰り入浴できるので、そちらに立ち寄る。4年前に大台ヶ原を訪れた際以来の茶褐色に濁りきった、炭酸水素塩・塩化物泉の加温掛け流しの温泉を心行くまで堪能し、枚方へ戻る。
帰りもずっと下道だったが、枚方には15時前に着。今回も電撃戦だった…
参考タイム
6/11 | 和佐又山ヒュッテ 6:00 ⇒ 6:15 和佐又のコル 6:15 ⇒ 6:50 笙ノ窟 6:50 ⇒ 7:05 石ノ鼻 7:10 ⇒ 7:50 大普賢岳 7:55 ⇒ 8:25 小普賢岳 8:25 ⇒ 8:45 笙ノ窟 8:50 ⇒ 9:10 和佐又のコル 9:10 ⇒ 9:25 和佐又山 9:25 ⇒ 9:40 和佐又山ヒュッテ |
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