経ヶ岳(越前)・法恩寺山

経ヶ岳(越前)・法恩寺山


【日 程】1998年9月12日(土)
【山 域】加越山地
【天 気】晴れ
【メンバー】男2人
【コース】唐谷林道入口=0:30=法恩寺林道合流点(迷走40分)=0:20=仙ヶ原=1:00=火口原=0:05=切窓=0:30=経ヶ岳=0:15=北岳=0:55=伏拝=0:15=法恩寺山=0:30=中ノ平=0:40=三頭山=1:05=平泉白山神社【6:45】

【記録文】
 京都を3時にスタート。敦賀から北陸道に乗り、平泉寺には6時過ぎに到着。空はどんよりと曇ってはいるが、気にせずタクシーを呼び、南六呂師奥の唐谷林道を目指してもらう。が、最近の水害の影響か、林道は見事に崩れており、止む無く林道入口のすぐ上からのスタートとなった。
 崩落した岩が点々とする林道を進む。法恩寺林道に合流してすぐに右に分かれる細い林道に入るが、この林道を終点まで行ってはいけない。最初に左に分かれる荒れた林道が唐谷コースの入口である。終点はただの砂防ダムの建設現場。何故分かり難いかというと、正規のコースの入口付近が水害でほとんど原形をとどめないほどに荒れているため。僕らも最初は入口に全く気づかずに通過してしまったのである。一度引き返した時も気づかずに通過し、法恩寺林道まで戻った時に軽4駆で上がってきた地元の人にルートを尋ねて、やっと入口が判明したのである。
 この林道、荒れているのは入口だけで、後は終点まで問題なく進む。林道終点に今日始めて道標を目にする。やっと登山道となる。唐谷に沿ったブッシュがちの細道を進む。途中で沢を渡り、小尾根に取り付く。ブナが美しい尾根道を少し登ると、再び沢筋に戻り、沢を忠実に詰めていく。滑りやすい道に注意しながら進むと、いつしか岩ガラガラの荒沢を進むようになる。歩きやすい箇所を適当に選んで登る。テープがいくつかあるものの、ルートははっきりとしていないので、この間注意が必要である。しだいに傾斜がきつくなるが、ルートは途中で沢筋を離れ、左手の小尾根を登るようになる。ここからルートははっきりとしているが、物凄い急登。ロープも各所にかけられている。
火口原にて。バックは経ヶ岳火口原にて。バックは経ヶ岳
 不意に急登が終わり、なんとも気持ちの良い小平地に出る。ようやく火口原の一角に出たのだ。木々の間に小川が流れるまさに別天地である。5分程進むと、ぽっかりと頭上が開け、カール底のような場所に飛び出した。目指す経ヶ岳が火口壁を従えて、悠然と姿を現す。急に元気付けられた我々は一気に切窓と呼ばれる稜線上のコルまで突き上げる。ここは名の通り、稜線が激しく落ち込んだ所で、それゆえにピークまでの登りは中々急である。寝不足のせいか、立ち止まることもしばしば。汗だくになる。
経ヶ岳から白山の主稜を望む経ヶ岳から白山の主稜を望む
 ピークではいきなり白山が目に飛び込んできた。これまで全く見えなかったせいもあり、この登場は強烈だった。手前に見える加越国境の山並み(赤兎、大長、取立山など)は皆立派な山ばかりなのだが、白山の高さ、雄大さに比べると、ただの引き立て役でしかない。私たちはしばらく汗を拭うのも忘れて、この大展望に酔いしれるのであった。
経ヶ岳〜北岳間にて経ヶ岳〜北岳間にて

北岳から経ヶ岳を振り返る北岳から経ヶ岳を振り返る
 ピークで昼食。炎天下の下でのカレーうどんは失敗だった。これまでの私にしては水の消費量が多く、一気にポリタンの残量が心細くなる。目指す法恩寺山はかなり遠くに見えたが、中ノ平の水場をあてにして、縦走を再開、稜線を北に向かう。さほどのアップダウンもなく、北岳に到着。赤兎への縦走路に心ひかれながら分岐を左折し、法恩寺山へ向かう。この稜線は展望は無いものの、自然林の中の緩やかなプロムナードコース。思ったより早く法恩寺山の一角、伏拝のピークに到着。小原への下山路は通行禁止となっていた。
 直角に左折し、ゆるやかに下っていくと、なんとスキージャムのリフトが新設されており、山上は無残にもボコボコにされていた。ここまで車が入るようだ。法恩寺の本峰へは、ここから5分で到着。これから経ヶ岳に登るには法恩寺山からのピストンが一番楽になるんでしょう。
法恩寺山から経ヶ岳を振り返る法恩寺山から経ヶ岳を振り返る
 そんな訳で、経ヶ岳から縦走してきた充実感も半減する中、平泉寺へ下山を開始する。が、今回の山行の苦闘の始まりは実はここからだった。まずはスキー場のせいで誰も歩かなくなったためか、ブッシュがルートを覆っている。踏跡はしっかりしているが、何ともうっとおしい。時折整備された道が右に別れるが、これは全てスキー場への分岐なので入ってはいけない。切れそうになりながら進むと、今度は唐突にびっしりと階段が整備された箇所に出る。これも歩幅が全く合わず、非常に疲れる。左手に舗装された車道がちらちらと見えるようになると中ノ平の避難小屋にようやく到着。
 ラッキーにも水道があり、既に水が切れていた私はガブ飲みするが、小屋の中には無常にも「この水飲めません」の張り紙。以後腹痛の不安と戦いながらの下山となる。小屋から車道を少し進むと、再び山道への分岐がある。車道の舗装色を変えているので、見落とすことはない。再びブッシュがちの山道が続く。今度は法恩寺林道を横切り、三頭山までほとんど平坦に進む。この辺りはきれいに刈り込まれ、距離ははかどるが、いかんせん標高が中々下がらない。三頭山のすぐ手前で平泉寺へのルートが左に分岐する。疲れた体に鞭打って三頭山のピークに表敬訪問。三角点があるだけの何の変哲も無いピークは分岐から1分もかからない。
 さあ、後は平泉寺まで駆け下りるのみ。良く踏まれた下降路を快調に下り始める。が、ルートが稜線から谷筋を下るようになってから様子が激変する。急にルートが濃密なブッシュに覆われ始めたのである。階段の跡は残っており、何とかルートを外さぬよう降りることはできるが、疲れきった体でのヤブ漕ぎは非常に辛い。全身蜘蛛の巣だらけになりながら、なんとか降っていくと、またしても水害の影響か、今度は完全にルートそのものが崩壊していた。土砂で埋まった沢筋を滑りながら慎重に降る。ほとんどの岩が浮いているので、危なっかしくてしょうがない。結局、平泉寺直前までこんな状態は続き、寺に降り立った時には全身泥と傷だらけになっていた。やはり、事前の調べが全くおろそかであり、非常に反省の残る山行となってしまった。

 車に戻り、勝山温泉センター水芭蕉に立ち寄り、入浴、仮眠してから、京都に戻った。


【参 考】
 06:50    唐谷林道入口
 07:20-08:00 法恩寺林道合流、ルート探索
 08:20-08:30 仙ヶ原
 09:10-09:20 休憩
 09:40-09:50 火口原
 09:55    切窓
 10:25-11:15 経ヶ岳
 11:30-11:35 北岳分岐
 12:15-12:25 休憩
 12:40    伏拝
 12:55-13:15 法恩寺山
 13:45-14:00 中ノ平
 14:40-14:45 三頭山
 15:50    平泉白山神社


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