−八峰キレットを酔っ払って突破、始まりかけの紅葉も素晴らしかった−
山行概要
1993年9月23日(木)〜25日(土) | ||
後立山連峰 | ||
りゅうじん(♀)、きよみ(♀)、私 | ||
JR神城=タクシー・テレキャビン・リフト=地蔵ノ頭=1:00=小遠見山=0:50=大遠見山=0:25=西遠見ノ池=1:55=五竜山荘【4:10】 | 五竜山荘=0:55=五竜岳=1:25=北尾根の頭=0:20=口ノ沢のコル=0:55=キレット小屋=1:35=鹿島槍北峰=0:40=鹿島槍南峰=0:35=布引岳=0:45=冷池山荘【7:10】 | 冷池山荘=1:10=爺ヶ岳中峰=0:15=爺ヶ岳南峰=0:35=種池山荘=1:55=柏原新道入口【3:55】 |
記録文
9/23 雨後晴れ
神城駅に降り立った我々3人を迎えたのは、しとしとといやらしく降る秋雨であった。意気は上がらぬが、とにかく入山しなければ話にならず、文明の利器を最大限に利用し、地蔵の頭を目指す。途中テレキャビンが半開きのまま発進するという恐怖の一幕もあったが、なんとか地蔵ノ頭に到着。
周囲ガス一色の中、心して遠見尾根に取り掛かる。が、それほどの急登はなく、小遠見、中遠見と順調に通過する。
大遠見で昼食をキメた後、西遠見ノ池の辺りからはガスが切れ始め、険しい稜線が見え隠れ。
ようやくアルプスにやって来た感慨がおしよせてくる。
西遠見山からは、五竜山荘も望めるようになるが、ここからの登りはとにかくキツい。西遠見からいったん大きく下り、登り返すのだが、頭上の白岳は首が痛くなるほどの角度で聳え、ペースは5分登って10分休むという素晴らしいものに。
3人とも『夜行明けだから』、『久し振りだから』、『天気もいまいちだし』などと登るより言い訳を探すのに忙しくなる。期待していた巻き道も入口が発見できず、疲れを倍加させる。拷問のような急登をジリジリと進み、なんとか白岳のピークへ。
天気は本格的に回復に向かい、白馬連峰や毛勝三山が雲海の上に浮かんでいる。そして城塞のような五竜岳を正面に見ながら、足取りも軽く五竜山荘へ最後の一本。
とりあえずはビールでしょう。しかし、飲みすぎ&つまみの食べすぎで小屋の夕食はほとんど食べられませんでした…
9/24 曇り後晴れ
5時起床、6時発。天気は高曇り。雨の心配はなさそうだ。ただ、今日の岩陵歩きを考えると、少々陰鬱な天気ではある。
威圧的な五竜目指して緊張気味にスタート。
五竜岳へは頂上直下に三点支持が必要な岩場が2、3か所あったが、特に問題なく到着する。ピークは縦走路から西に少し進んだ所。
剣岳がめっちゃ男前です。
ここから見るのがベストショットですね。双耳峰のバランスが美しすぎます。
ここからがいよいよ後立山連峰の核心部ということで、覚悟してピークを後にする。いきなりG4への急下降が始まるが、とにかく滑りやすく、また今にも石を落としそうで、非常に神経を使う。G4、G5の通過それ自体は、一部に鎖場があったりするものの、特に問題はなかった。
この後もキレット小屋まで、散発的に岩場が現れるが、顔色が変わるような所は特にはなかった。
高曇りだった空も北尾根の頭を通過する頃より晴れ間が顔をのぞかせてきた。
何だかんだ言っても、アルプス縦走はやっぱりエエです。
もう鹿島槍を仰ぎ見るほどに接近。キレット小屋で予定どおり昼食をとる。景色も天気も最高の中、すっかりゴキゲンの私はビールも飲み出す。まだまだ先は長いのに…
昼食後、いよいよ八峰キレットの通過。ガイドブックなんかには相当に怖いと書いてあったが、何のことはなく、いつキレットを通過したのかさえはっきりしないほどであった。しかし今日の天王山はこの先にあった。鹿島槍北峰への急登である。すっかり出来上がったいた私はヘロヘロで全く行程はかどらない。同行者の厳しい叱責を受け、なんとか吊尾根に登り詰める。
ザックをデポし、すぐ目の前の北峰をピストンする。雲上に白馬から五竜が一直線に浮かぶ。ヘロヘロになっただけに縦走の感慨は深い。
デポ地点に駆け降り、返す刀で南峰への急登を攻略する。
南峰ではさらに展望が広がり、写真は槍穂から薬師まで見えてます。
行程の大半を消化した安堵感からか、お茶を沸かしたりしてここで小1時間ものんびり過ごしました。
南峰を後にしたのはすでに15時半であった。そして、今日最高の景観に恵まれる。稜線を挟んで越中側は紅葉に彩られ、雲海の信州側にはブロッケン現象が頻発する。1歩、1歩周りの光景を噛み締めるように進み、極上の景観に酔う。
最後の最後ですっきりと晴れ渡りました。
超スローペースのおかげで、冷池山荘に到着したのは、大きく日も傾いた17時だった。
9/25 晴れ後曇り
山荘前で御来迎を拝んでから、さらに、のんびり朝食をとって出発。今日は扇沢に下りるだけなので、余裕の出発。
赤岩尾根の分岐から。南から見ると吊尾根が間延びして、いまいちですね。
爺ヶ岳へはルート的にはなんの問題もない。北、中、南峰と順に踏んでゆく。
ここまで来ると、剣がほぼ真正面に。量感たっぷりです。
種池山荘の背後の山並みは赤沢岳。山荘付近の紅葉が素晴らしい。
今日はガスの上がりが早い。展望が…
鮮やかな紅葉の中を下る。ゆっくり進んでいるつもりなのだが、種池山荘へはすぐに降りたってしまった。
名残は尽きぬ稜線を後に、柏原新道を下る
黄葉の森を下る。後半部のモミジ坂で膝が爆笑状態にはなったものの、怪我なく扇沢に下ることができた。
山行の余韻を味わう間もなく、タクシーが現れ、このまま大町温泉郷の薬師の湯へ直行。あっけなく充実した3日間は終りを告げたのであった。
山行データへ
諸国名山探訪
Copyright(C) Hiroshi Fujita All right reserved