比婆山連峰縦走

−穏やかな比婆山連峰を縦走! 天然記念物のブナ純林に癒される−

 

山行概要

日 程
2020年9月21日(祝)
山 域
中国山地
天 気
曇り後晴れ
メンバー
単独
コースタイム
ひろしま県民の森公園センター=0:35=出雲峠=0:35=烏帽子山=0:20=御陵=0:05=太鼓岩・産子の岩戸・命神社=0:05=イチイの巨木=0:20=越原越=0:25=池の段=0:15=立烏帽子山=0:20=立烏帽子駐車場=0:45=展望園地=0:20=ひろしま県民の森公園センター【4:05】

記録文(写真はクリックで拡大)

 4連休3日目。備後西城の「まちの駅ひばごんの郷」の駐車場で、予定通り4時に起床。
 近くのコンビニで朝食を取り、ひろしま県民の森へ向かう。R183からR314を北上し、比婆山温泉のところで山中に分け入る県道に入る。
 最後まで快適な2車線が県民の森まで続き、公園センターに車を止め、まだ夜も明けぬ前であったが、抑えが利かず、出発してしまう。
 毛無山に向かうルートを何度か分けながら(山と高原地図記載のルート以外にも何本が毛無山ルートがあるようだ)、ゆるやかに登っていく。出雲峠の標高が約1000m弱で、登山口の公園センターが既に約800mであったので、楽勝である。

出雲峠直下の水場 6:11

 出雲峠直下には避難小屋があり、水場もある。ここでしばし休憩。

稜線はブナがチラホラと… 6:38

 ここから主稜を歩くが、途中で尾根を乗り換えたりと、地形はなかなか複雑である。
 標高を上げるにつれて、ブナが姿を現す。この辺りでも素晴らしいと感じていたが、まだまだ序章であった…

烏帽子山の条溝石 6:50

 烏帽子山へも大した登りのないまま到着。一帯は草原で、展望良さそうだが、今日も頂稜は濃密なガスに覆われている(涙)…
 比婆山一帯には人工的に刻んだと思われる巨石が多いらしく、烏帽子山山頂には条溝石という岩が鎮座。溝の向きがこの先の比婆山核心部の御陵を指しているとのことだが、果たして…

ブナ林 7:09

 長居は無用と、とっとと縦走開始。再び樹林帯となり、幽玄な雰囲気の中、一人歩きを満喫する。
 天然記念物のブナ林が徐々に本領を発揮し出し、大木が頻出するようになってきた。

御陵 7:15

 樹林帯の尾根をゆるやかに登り降りしながら進んで行くと、地形図上の「比婆山」とされている1267ピークをいつの間にか通過し、比婆山の核心部である「御陵」に到着した。
 ここには、伊邪那美命の御陵と伝えられる苔むした巨石が横たわっており、イチイの巨木に周囲を守られているようだ。
 伊邪那美命は様々な神様を産んだが、最後に火の神・軻遇突智(カグツチ)を出産する際に大火傷を負い、命を落とし黄泉の国へ旅立ったとされている。その伊邪那美命の御陵が比婆山とのこと。これって、どっかで聞いたなと思ったら、熊野の花の窟神社だった。
 ガスっているのもあり、非常に霊気に満ちたスポットであった。

太鼓岩 7:21

 御陵の少し先で、太鼓岩等へ向かう分岐があったので、右折し、少し寄り道。
 命(みこと)神社の境内奥に、太鼓岩が鎮座していた。
 太鼓岩は、叩くと太鼓の音がするらしい…

産子の岩戸 7:22

 太鼓岩からさらに奥へ進むと、産子の岩戸が現れる。
 今にも赤子を産み落とそうとする姿に似ているとのことだが、あからさまですな(笑)…

命(みこと)神社 7:24

 産子の岩戸から来た道を戻り、再び命神社へ。
 命神社は、比婆山西麓の越原比婆山神社の奥宮であり、広島県で最も標高の高い場所に位置する神社である。

イチイの巨木 7:30

 主稜に復帰し、縦走を再開。
 素晴らしいブナの純林を抜けると、今度はイチイの巨木が目に入ってきた。
 イチイは暑さに弱いことから西日本での分布は高地に限られるが、比婆山の山頂部には稀にみる群落が形成されており、庄原市の天然記念物に指定されている。

ブナの純林 7:46

 ゆるやかにブナの純林の中を下っていく。
 今回に限ってはガスの方が幽玄な雰囲気がアップし、良かったと思う。
 下り切ると、越原越。ここで公園センターと立烏帽子駐車場に向かうルートを分け、池の段に登り返すルートに入る。
 登るにつれて、ついにガスが切れ、青空が広がってきた。

池の段からの眺望@ 8:20

 草原帯に飛び出すと、池の段の頂上部に出る。ピークは立烏帽子山への分岐から、さらに南へ少し進んだところ。
 この辺りは、かつて牛の放牧が行われていたようで、比婆山連峰で最高の展望台と言われている。
 その通り、眺望は最高! 南峰は瀬戸内まで見渡せる。

池の段からの眺望A 8:22

 連峰最高峰の立烏帽子山を望む。指呼の間だ。

立烏帽子山山頂 8:40

 立烏帽子山へ向かう。標高差はあまりなく、余裕で攻略。
 連峰最高峰だが、展望は皆無… そそくさと下山する。

爽やか過ぎる 8:53

 立烏帽子山はすぐ直下に車道が通っており、そちらに下って行く。
 樹林帯を行くが、これがまた素晴らしい。先ほどのガスに包まれた幽玄な森も良かったが、日が射すようになり、透過光に包まれた爽やかな森も素晴らしい。

立烏帽子駐車場 9:02

 森を抜け、駐車場に飛び出した。トイレも整備されている。
 青空が眩しい〜
 ここから公園センターへの下山路が伸びている。

素晴らしい!@ 9:18

 ゆるやかな尾根を下って行く。県民の森があるせいか、比婆山はルート整備が完璧だ。非常に歩きやすい。
 頂稜のブナ林も素晴らしかったが、中腹のブナ林も負けず劣らず素晴らしい。

素晴らしい!A 9:20

 ブナの巨木も点在。歩いていて全く飽きない。東北は別格ですが、西日本でこれほど立派なブナ林は初めて見ました。比婆山恐るべし。

展望園地 9:50

 のんびり下ったが、あっと言う間に展望園地に到着。
 正面には、毛無山(右)と伊良谷山が見渡せる。
 やや傾斜の増した坂道を20分程で公園センターに戻ってきた。
 比婆山連峰、ここまで色濃く自然が残っていると思っていなかった。スマッシュヒットのハイクだった。

熊野神社の大杉 10:42

 県民の森の近くに、比婆山の遥拝所として信仰を集めた熊野神社があるので、少し寄り道していくことに。
 大鳥居の傍の駐車場に車を止め、境内へ。
 そそり立つ大杉群に圧倒される。熊野神社の社叢は、100本以上の大杉から成り、中には樹齢が千年を超えるものもあり、うち11本が広島県の天然記念物に指定されている。
 画像に写っているのは、広島県ナンバー1の幹囲を誇っている。

熊野神社一宮拝殿 10:44

 祭神は当然ながら、伊邪那美命。
 社伝では、「創建不詳、和銅6年(713年)までは比婆大神社と称し、嘉祥元年(848年)、社号を熊野神社と改称す」とあり、相当の古社である。

ただの民家にしか見えない「篠原温泉 高尾の湯」 11:09

 明日はできるだけロングドライブは避けたいので、東に戻ろうと思っていると、岡山と兵庫にまたがり、西の大峯山と言われている、岡山県最高峰の後山を登ろうと決めた。ということで、移動開始。
 カーナビでは東城ICから中国道に乗るという結果だったので、それまでのルート間で温泉を探したら、「篠原温泉 高尾(こおお)の湯」がヒットしたので、経由地に定める。
 目的地に着いたが、ただの民家しかなく、怪訝そうに近づくと、これが温泉だった。

ただの家の風呂にしか見えない「篠原温泉 高尾の湯」 11:19

 見た目はただの風呂だが、源泉掛け流しだ。
 高尾川のほとりに湧き出る水は、昔から地元の人が怪我や、病気の治療、農作業の疲れをいやす湯として、高尾の湯の名で親しまれてきたという。
 火傷や皮膚病に抜群の効果があり、飲めば胃潰瘍やアトピー性皮膚炎にも効能があると言われている。また、高尾の水を使ったコーヒー、お茶は、味色香りが一味ちがい、腐りにくいとされているのだ。そういえば、温泉スタンドもあったな。

 スベスベになった肌を撫でながら、運転を再開、東城ICから一気に佐用ICに飛び、県道をのんびり走って、兵庫県西端部の千種町にやって来た。非常に長閑な雰囲気が広がっている。
 ありがたいことに、町の中心部にローソンがあったので、ここで食料と酒を調達してから、北へ車で5分ほどで、後山の登山口である松の木公園まで進む。
 松の木公園には、後山が水源の板馬見山渓谷の奥をボーリングし、地下26mから湧出した霊水の自動販売機があった。
 車は10台ほど駐車可能だが、私1台のみ。山中で少々心細かったが、ここで車中泊することにし、この日も明るいうちから車中宴開始(笑)
 19時過ぎには爆睡していたと思う(笑) 車中宴&車中泊3連発であり、我ながら呆れてしまう…
 明日はいよいよ最終日、後山に突撃だ。

参考タイム

9/21ひろしま県民の森公園センター 5:356:10 出雲峠 6:156:50 烏帽子山 6:557:15 御陵 7:157:20 太鼓岩・産子の岩戸・命神社 7:257:30 イチイの巨木 7:307:50 越原越 7:508:15 池の段 8:258:40 立烏帽子山 8:409:00 立烏帽子駐車場 9:059:50 展望園地 9:5010:10 ひろしま県民の森公園センター

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