平ヶ岳

平ヶ岳


【日 程】平成3年10月10日(木)〜12日(土)
【メンバー】男3人、女1人
【コースタイム】
 10/10 JR小出駅=BUS=奥只見ダム船着場=船=尾瀬口=0:25=奥銀山キャンプ場=1:00=平ヶ岳登山口C.S.【1:25】
 10/11 C.S.=0:45=前坂=1:15=下台倉山=0:50=台倉山=0:10=台倉清水=0:50=白沢清水=1:15=姫池=0:05=平ヶ岳C.S.【5:10】
 10/12 C.S.(平ヶ岳往復45分)=0:50=白沢清水=0:35=台倉清水=0:15=台倉山=0:40=下台倉山=0:50=前坂=0:30=平ヶ岳登山口=0:50=奥銀山キャンプ場【5:15】

【記録文】
 社会人となって初めての10月連休。サークルの現役の連中と何とか日程が合ったので、平ヶ岳を目指すことにする。
 平ヶ岳は中学生の時に「日本百名山」を読んで以来、ずっと憧れていた山で、学生の時に何度かプランは立ててみたのだが、心の奥で「とっておきの山なので大事にとっておきたい」という気持ちが働いたのか、今まで登らずに残っていた山である。でも、1年前に尾瀬の至仏山から初めて平ヶ岳の雄大な山体を眺めた途端、居ても立ってもいられなくなり、そのときに来年の紅葉の時期に訪れることを誓ったのであった。

 10/10 曇り
 いつものように急行「きたぐに」で長岡へ。北ア組が降りる富山からようやく眠れるのもこれまたいつものことだ。長岡から上越線の鈍行に乗り込みで小出へ。ここからバスに乗り込み、銀山湖にはるばる到着。普通の山ならここで歩きはじめるところであるが、これ位のアプローチでは、まだまだ登山口には達しない。ここからなんと船に乗り込み、銀山湖を縦断、南岸の尾瀬口に上陸する。さらに尾瀬行きのバスが出ており、登山口である鷹ノ巣までそれに乗っていけばいいのだが、バスは混雑しているし、また、明日以降のウォーミングアップも兼ねて、車道を歩くことにする。
 始まりかけた紅葉を楽しみながら、ゆっくりと車道を進む。他の3人とは久しぶりの山なので話もはずみ、大して疲れることなく、登山口の道標のあるポイントまでやってきた。ここから細い車道を少し進んだ所に小平地があったので、ここでテントを設営、台風が来ているらしく、天気が心配だが、とにかく今日は寝よう!

 10/11 曇り後雨
 目覚めてみると、予想通り時折雨が落ちる不安定な天気である。まあ、本格的な雨でもないし、台風も外れただろうという、いい加減な判断で登ることにする。
 ザックが重い。一人だけ社会人の私は、最近山小屋泊りの怠惰な山行ばかりで、テント山行は久しぶりなのだ。おまけにこの鷹ノ巣尾根は、大まかに3分割すると、最初と最後が急登ということもあり、情けないほど息が切れる。本当に下台倉山まではかなりの急登で、しかも周囲は伐採直後のためか、丸刈りで岩混じりのあじけない景色である。ガスの切れ間から時折、燧や会津駒が望めるのが救いだ。
登りの途中から燧を望む登りの途中から燧を望む
 急登が一段落し、樹林帯に入る。すると、今度は「ぬかるみ地獄」が待っていた。どこをどう通っても、もぐる。最初はみんなよけながら歩いていたが、しだいに気にせず道の真ん中を進むようになる。
 みな靴の中をチャポチャポ言わせながら、最後の急登にとりかかる。この登りもまたエグイ。周囲の木々の背は低くなり、台風の影響かかなり風が強く、よろめきながらの登行である。
 突然、地形が平坦になったのと、地塘が現れたのを見て、広大な頂上台地の一角にたどり着いたことを知るが、ガスと突風の中では感激しようもなく、テン場へと急ぐ。
 こんな天気ではだれも登らないのか、この日テントを張ったのは僕らだけだった。雨は相変わらず、断続的に降り続いており、この日の登頂は諦めた。天候の回復も期待できないようで、ここにきて、自分の判断の甘さと後悔がつのった。

 10/12 曇り後晴れ
 目覚めると、周囲はやはりガス一色。それでも雨と風は止んでいるので、ピークに向かうことにする。平坦な木道に「晴れていたら…」と思ったのは僕だけではなかったはずだ。すぐにピークに着くが、せっかく「とっておきの山」に登ったというのに、ほとんど喜びはない。記念写真だけを撮って、ピークを退散。再登を誓うが、この山の遠さを思うと、はっきり言って自信はない。
悲惨なピークにて悲惨なピークにて
 停滞しても無駄なようなので、テントを撤収し、下山することにする。ぬかるみはさらにひどくなっており、おかげで、ニッカホースまで泥だらけになる。さらに追い討ちをかけるように、下台倉山を過ぎたあたりから何と晴れ間が見えてきた。(結果的にはこの数時間だけだったが)
 今までくすんでいた景色がにわかに鮮やかな色彩を発する。「何だかなあ…」と溜め息をつくが、最後まで雨のままよりは、もちろん少しでも晴れた方が良い。最後は周囲の紅葉に結構満足して登山口まで下ったのでありました。


   

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