穂高連峰・焼岳

穂高連峰・焼岳


吊尾根からの槍吊尾根からの槍


焼岳からの槍穂焼岳からの槍穂


【日 程】平成3年9月21日(土)〜23日(月)
【メンバー】単独
【コースタイム】9/21 河童橋=1:15=徳沢=0:45=横尾=1:55=涸沢=1:15=穂高岳山荘【5:10】
     9/22 穂高岳山荘=0:30=奥穂高岳=1:00=紀美子平(→0:20/←0:15:前穂高岳)=1:15=岳沢ヒュッテ=1:10=上高地(五千尺ロッヂ)【4:30】
     9/23 五千尺ロッヂ=0:25=焼岳登山口=0:45=五合目=0:25=焼岳小屋=0:30=焼岳=1:50=河童橋【3:55】

【記録文】
9/21 曇り
 無謀にも指定券を購入せず京都から乗った『ちくま』は、ラッシュなみの混雑で、おかげで私は松本まで立ちっぱなしの仕打ちを受ける。結局寝れたのは、新島々〜上高地間のみ。ボーッとしながら朝もやの河童橋を後にする。梓川左岸のなじみの道を行くが、気が付けば1ピッチで横尾山荘の前にいた。寝不足のわりに調子は良く、まだ決めかねていた今夜の宿を穂高岳山荘にしようと決心し、休憩もそこそこに出発する。ルートは屏風岩の裾を迂回しながらゆるやかに高度を上げてゆく。
横尾谷から見上げる北穂横尾谷から見上げる北穂
 横尾からは初めてのコースなのに懐かしい気持ちがするのはなぜだろう。やっぱりアルプスはいい、と一人うなずき、歩を進める。本谷橋から本格的な登りが始まるが、一人の利点を最大限に利用し、無謀ともいえるペースで突っ走る。周りの木々がかなり色付いてきたなと思ったころ、涸沢に登り着く。中途半端な季節のせいか、閑散としているが、そのことが穂高の内院にやって来たという印象をさらに強めたようだ。しみじみと憧れの場にやって来た幸せをかみしめる。もう8年もの間山登りをやってきたのに、涸沢にすら行ったことがないというコンプレックスがかなりあったのだ。空腹感で我に返り、京都駅で慌てて購入した粗末な昼食をとる。目の前の穂高に吸い寄せられるように、パンを1つ半食べただけで、ザイテンに向かう。はるか頭上の稜線まで果てしなくジグザグの登りが続く。しかも傾斜は上に行くほど強烈になる。涸沢を攻略したのと同じペースで突入した私はザイテンの中ほどでひっくり返ってしまった。寝不足のダメージが一気にやって来たようだ。これ以後は10分1ピッチの牛歩戦術に切り替え、ヘトヘトになって穂高岳山荘に到着した。まだ1時だったので涸沢岳でもピストンしようかと思ったが、見る見るうちにガスがすべてを覆い隠してしまったので、夕食まで睡眠不足解消に努めたのであった。

9/22 曇り後晴れ
 5時半起床、6時には出発できたが、依然としてガスがかかっており、しばらく様子を見る。30分もすると上空の辺りが明るくなってきたので、ガスは切れると判断、奥穂に向かう。2〜3のなんでもない岩場を通過し、そろそろ頂上だろうと思う頃に一気にガスが切れた。直ぐ前方に奥穂のピークが現れ、背後には槍が浮かび上がる。思わず駆け出してしまい、一気にピークへ。見慣れた山々の豪勢な出迎えを受ける。ほとんどの山はこちらが見下ろす位置にある。3190m、圧倒的な高さに酔いしれる。だんだんと周囲が騒がしくなってきたので、渋々前穂に向かう。吊尾根のルートは全然覚えていない。周りの山々を眺めるのに忙しく、足元なんか注意している暇は無かったのだ。前穂が覆い被さるようになってくると、すぐ紀美子平。前穂へはかなりの急斜面の直登となる。落石にだけ注意し、ガムシャラに高みを目指す。ピークは以外にだだっ広い。西穂から槍までの稜線が一直線に並ぶ。思わず圧倒される自分を感じる。ほぼ2時間はピークにいただろうか、大満足のうちにピークを後にした。
前穂を振り返る前穂を振り返る
 後は眼下の上高地に駆け降りるのみ。相当の急降下が延々と続く、膝泣かせのコースだが、今日は膝も絶好調で軽やかにステップを刻む。1ピッチで岳沢ヒュッテに到着。テラスでビールを飲みつつ、穂高を仰ぐ。最高のつまみにビールもすすみ、千鳥足で上高地に向かうはめになる。上高地着12時半。今日中に返る予定であったが、どうしても焼岳に行きたくなり、急遽宿泊手続きを済ませる。寝ぐらを確保してからは、梓川のほとりで穂高を眺めつつ、ビールをひたすら飲んだ。

9/23 快晴
 5時半に小屋を出発。行く手にはぼんやりと焼岳が浮かぶ。最近登山解禁になったばかりということで、人が多いかなと思ったが、私のほかにはだれもいないようだ。昨日からの好調を維持し、ペースはグングン上がる。焼岳はどんどん大きくなり、頂上部は数箇所から噴煙を上げているのが見て取れる。焼岳小屋で西穂からの稜線に突き上げる。ここからの焼岳は思わず登頂をためらうほどの迫力。焼岳へはザラザラの急登となる。非常にスリッピーで思うようにはかどらない。しかも所々にペンキ印があるだけで、はっきり言って道は踏跡程度である。ガスでもかかれば、登頂は困難であろう。噴煙の間を縫うように進み、火口壁に登り着く。エメラルドグリーンの火口湖が現れる。最高地点はここから火口壁を半周したところ。途中崩れやすい岩場があり、注意を要する。岩ガラガラのピークからは、360°の展望が広がる。特に至近距離の乗鞍岳はその膨大な裾野が一望のもとで、イヤでも登行意欲をそそる。
焼岳からの乗鞍岳焼岳からの乗鞍岳
 ピークには1時間程いただろうか。大満足のうちに帰路につく。帰りは常に穂高が真正面だ。充実したこの3日間を振り返りつつ、人で溢れかえる上高地に戻った。
焼岳頂上の火口湖焼岳頂上の火口湖


      

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