市尾〜葛城

−古墳と風格ある町並みを満喫−

   

山行概要

日 程
2007年11月10日(土)
山 域
市尾・葛城
天 気
晴れ後曇り
メンバー
単独
コースタイム
近鉄壺阪山駅=0:30=市尾墓山古墳=0:05=市尾宮塚古墳=0:10=今住=0:25=掖上鑵子塚古墳=0:15=琴弾原日本武尊白鳥陵=0:40=宮山古墳=0:50=名柄=0:35=極楽寺=0:20=かもきみの湯【3:50】

記録文

 とある快晴の休日。またもや家庭をないがしろにして、家出する。とりあえず橿原神宮前行きの電車に飛び乗り、それから行き先を考えるのはいつものこと。
 壺坂山駅で下車。高取山に行くか最後まで悩んだが、何故か正反対の西へ向かって歩き出す。その訳は、「大和の置き薬」の発祥地と言われる御所市の今住を目指すことにしたから。いつも参考にしている近鉄の「てくてくマップ」では一つ先の市尾駅がスタート地点となっているが、明日香と葛城間のトレースをつなげるため一つ手前の壺阪山駅から歩くことにしたのだ。

葛城山を望む 8:58

 陸橋で近鉄吉野線を渡り、高台に建つ高取町役場前を通過、のどかな耕作地の中を進んでいく。行く手に葛城山が雄大な姿を見せている。
 育成小学校から南に進路を取ると、一目で古墳と分かる陵墓が目に飛び込んでくる。

市尾墓山古墳 9:26

 これが市尾墓山古墳である。製薬会社の横を通り、古墳に接近。綺麗に整備された古墳の上で一休み。6世紀初めの前方後円墳。ここでサンドウィッチをほおばる。天気はサイコーで、二上、葛城の山並みが美しい。

天満神社前の古木 9:29

 市尾墓山古墳のすぐ横の森が天満神社。
 境内の奥には、ここにも古墳が…

市尾宮塚古墳 9:32

 宮塚古墳も6世紀頃の前方後円墳。古墳の石室が覗けるようになっていた。
 神社を後に、のどかな畑沿いの道をのんびり歩くと、狭い路地に古い家並みが残る一帯にたどり着く。

今住の古い町並み 9:46

 JR和歌山線をくぐるとさらに白壁の民家が続く、いかにもいわくありげな集落となる。ここが今住の集落で、胃腸薬のロングセラー「三光丸」はここで生まれたらしい。(すいません。三光丸って初めて知りました…)

 一番豪壮な屋敷が三光丸のクスリ資料館で、自由に見学もできるようであったが、気軽に入れるような雰囲気ではなく、ここはパスした。
 老人ホームのすぐ先を左折し、さらに細くなった路地を進む。大和棟の民家が続き、しみじみと来てよかったなあと喜びに浸る。

明日香方面の展望 9:58

 民家が尽きると、静かな山間をゆるやかに上り下りするようになる。のどかな景観に癒される。
 舗装された車道だが、車の通行はほとんどないので、気分よく進んでいく。

掖上鑵子塚(わきがみかんすづか)古墳 10:09

 JR掖上駅からの車道に合流するあたりが掖上鑵子塚古墳。全長150m余りの前方後円墳で、なかなかの規模を誇っているが、土を盛ったのではなく、もともとある山の尾根を利用した「丘尾切断」と呼ぶ珍しいつくりらしいが、そういう風に見てみると、なるほど南から伸びる尾根の末端がぶった切られてできているように見えた。

葛城の国へ 10:19

 分岐を左へ。すぐに峠状の地形を越え、御所市営のグラウンドと、秋津鴻池病院が目の前に現れる。そしてそのバックには雄大な葛城山が広がり、葛城の国に入ったことを実感。

琴弾原日本武尊白鳥陵 10:24

 市民グラウンドに沿うように反時計回りにカーブ。畑の向こうに古墳と思しき顕著な隆起が目の前に。これが琴弾原日本武尊白鳥陵である。
 日本武尊が伊吹山の神と素手で戦い、「能褒野」で力尽きた後、尊の霊は白鳥となり、大和の「琴弾原」を経て、河内の「古市」方面に飛び去ったとの伝承があることから、「能褒野」、「琴弾原」、「古市」にそれぞれ白鳥陵が存在しているらしい。

 道標に従い、入り組んだ民家の間を抜けて陵下へたどり着く。階段を登り、陵の正面に立つ。ここでのんびり休憩しようかと思ったが、近くに巣があるのか複数のスズメバチが哨戒活動をしており、おっかなくて仕方が無いので、急速撤退。コンビニが建つ冨田の交差点を過ぎ、また静かな丘陵歩きとなる。

葛城山が近づく 10:41

 それにしても古墳が多い。巨勢山古墳群の条池南北古墳やみやす塚古墳など、次から次へと古墳が現れる。正面には葛城山が全開で、ホンマに気持ちの良いウォーキングである。

室集落にて 10:57

 室の集落に入る。細い路地に大和棟の旧家が並ぶそのたたずまいは、先ほどの今住の町並みに勝るとも劣らない。狂喜しながら狭い路地を進む。

桜田池 11:00

 不意に視界が開け、公園状に整備された桜田池のほとりに飛び出す。このすぐ横が宮山古墳。全長246mで全国で第16位の規模らしい。そうか、さっきから山に見えていたのがこの古墳だったのか。

八幡神社 11:07

 宮山古墳は、第16代仁徳天皇の皇后となった磐之媛命(いわのひめのみこと)の父にあたる人物で、朝鮮半島の戦で数々の武勲をあげ たとされる葛城襲津彦(かつらぎそつひこ)の墓と目されている。
 八幡神社が登り口になっていて細い山道を登ること数分で石室のある古墳上部に着く。石室には野犬が潜んでいて、私の気配を感じ、ダッシュで逃げていったが、私はというと腰が抜けそうになった。

宝国寺 11:20

 神社に戻り、西へ。途中、宝国寺に立ち寄る。本堂の前に粘土の瓦が固まって石になった「瓦岩」があるのと、真言密教の秘法「胡瓜の加持」でも有名。

 さらに西に行くとR24と出合う室の交差点に到着。ここにあるお好み焼き屋がちょうど開店の時間だったので、これ幸いと入店し、生中2杯にすじ焼き&お好み焼きですっかり上機嫌。昼から飲めるとは何という贅沢。
 「てくてくマップ」のコースはこの辺りで終点。ほろ酔い気分ですっかりお疲れ様モードであるが、ここまで歩いてしまうと、以前歩いた葛城古道につなげたい。どこかで寝転がりたい欲求を封殺し、室の交差点からさらに西へ向かう。もう葛城山の山裾と言っても良い所まできているので、坂道が続く。さっき体内に吸収したばかりのビールが汗として噴き出してきた。
 ヒーヒー言いながら、豊田の交差点で約5年前に歩いた葛城古道に合流。温泉(かもきみの湯)目当てで、南に進路を取る。ここからは水平のトラヴァース道となり、ホッと一息。すぐに名柄の集落となる。

名柄の家並み 12:44

 先ほどの今住や室に勝るとも劣らない趣のある家並みが続く。集落を抜けると、少し登ってはトラヴァースを繰り返す。

大和平野を見下ろす 13:04

 だいぶ雲ってはきたが、左斜め後方(北東方向)には大和平野が眼下に広がり、空中散歩を楽しんでいるようだ。

極楽寺鐘楼門 13:21

 懐かしい鐘楼門が目に入ると極楽寺。ここからの台高や大峰の眺めはいつもながら最高! やっとビールも抜けたようだ。思いのほか汗をかいてしまった。

 後は適当に見当をつけて、かもきみの湯に着陸するだけ。何度か細道が交錯し、思いの方向にすんなり下れなかったが、何とか温泉に着陸することができた。
 御所行きのバスの都合もあったが、ここで2時間半余りの長逗留。大満足でバスに乗り込み、葛城の国を後にした。

参考タイム

11/10近鉄壺阪山駅 8:409:10 市尾墓山古墳 9:259:30 市尾宮塚古墳 9:359:45 今住 9:4510:10 掖上鑵子塚古墳 10:1010:25 琴弾原日本武尊白鳥陵 10:2511:05 宮山古墳 11:1511:30 室交差点(昼食) 12:1012:45 名柄 12:4513:20 極楽寺 13:3013:50 かもきみの湯

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