烏ヶ山・米子城跡・月山富田城跡

−中国地方の山旅4連戦の初日。大山山系の怪峰、烏ヶ山と2名城を巡る−

 
 

山行概要

日 程
2020年9月19日(土)
山 域
大山山系
天 気
曇り後晴れ
メンバー
単独
コースタイム
新小屋峠=0:35=新小屋分かれ=0:40=烏ヶ山(北峰)=0:10=南峰=0:30=新小屋分かれ=0:30=新小屋峠【2:25】
米子城内膳丸跡登り口駐車場=0:10=本丸跡=0:05=米子城内膳丸跡登り口駐車場【0:15】
山中御殿下駐車場=0:15=二ノ丸跡=0:05=本丸跡=0:10=山中御殿下駐車場【0:30】

記録文(写真はクリックで拡大)

 珠玉の4連休。アルプステント山行も考えたが、何か天気がすっきりしない。ギリギリまで決行するか悩んだが、中国地方の、特に日本海側が天気良さそうだったので、車中泊での日帰り4連発を企てる。

 そして当日。3時に起床し、4時前に枚方を発進。さすがにこの時間では高速もガラガラ。快調に進み、蒜山ICから本日のターゲットである烏ヶ山の登山口である新小屋峠には7時前に到着。峠には2台分しか駐車スペースがないが、私が一番乗りだった。

ブナ林を往く 7:08

 早速歩き出す。烏ヶ山の尖った山容から、いきなりの急登を覚悟していたが、拍子抜けするほどの穏やかな登りで幕を開ける。
 しかも、素晴らしいブナ林がいきなり広がり、決行して良かったなぁと、しみじみ思う。その後もゆるやかな登りが続き、最後、一瞬だけロープのある急登となり、烏ヶ山南峰から北東に伸びる尾根上に到達した。

圧倒的な烏ヶ山 7:43

 ここからもしばらくは緩やかな登り降りを経て、ようやく急登が続き、烏ヶ山らしさを見せてくる。登り始めはガスに覆われていた烏ヶ山も姿を見せ、その険阻な姿に身が引き締まる。
 腰辺りまで藪に覆われている箇所も頻発し、レインウェアを着るか着まいか迷っているうちに、びしょ濡れになるいつものパターン(笑)…
 ロープが付けられている岩場も何箇所か現れ、険しさが増していくが、息を切らしながら一気に南峰まで登り切る。
 この辺り、宇多田ヒカルが天然水のCMで座っていた大岩があるはずだが、ガスに巻かれ、発見できなかった。

だいぶ登ってきた 8:03

 南峰からは、完全に岩稜歩きとなる。南峰を下り、ロケットのような見た目の北峰へ挑むが、見た目ほどの険しさはなく、慎重に登れば、あっけなく本峰の北峰に到着。

矢筈ヶ山 8:30

 天気はまだまだ回復途上で、雲に覆われている部分の方が多いが、北側には矢筈ヶ山の姿が見渡せた。

大山 8:30

 大山上部は厚いガスに覆われており、しばらくは晴れそうになかった… 残念…

北峰を振り返る 8:37

 下山開始。南峰への登り返しの途中からは、往路ではガスですっきりしなかった北峰の岩峰がくっきりと見渡せた。

南峰からの眺め 8:40

 南峰から登ってきた方向を見下ろす。ここまで確認しておきながら、ここから鏡ヶ成キャンプ場に下るルートに入ってしまうという失態。
 すぐに鎖場が現れた(登ってきたルートに鎖場はなかった)ので、ロスは最小限に抑えられたが、まさかの凡ミスであった。

北峰 8:48

 尾根上部の岩場を慎重に下ると、北峰が一望できるポイントがある。晴れてきたので、往路の時と比べ迫力が段違いである。

のんびり下る 9:30

 新小屋分かれまで戻ってくれば、もう終わったも同然。後は鼻歌を歌いながら、素晴らしいブナ林の中をのんびり下った。

 まだ10時前なので、城巡りにモードチェンジ。まずは続日本100名城の米子城跡を目指す。再び米子道に乗り、スムーズに米子市街に移動。米子城跡は市街の南西の中海に面した湊山にある。駐車場を探して湊山の周りをウロウロ走らせていたら、野球場の奥に駐車場があった。

内膳丸跡登り口 10:45

 この辺りは二ノ丸だったようで、城主の御殿や、その台所、藩の役所が置かれていたらしい。ここから内膳丸や本丸へ登ることができるようだ。
 急坂を登っていくと、内膳丸の一角に登り着く。「内膳丸」とは、米子藩主の中村一忠の家老であった横田内膳正村詮が担当して構築したためそう呼ばれているが、スルーして、反対側の本丸方面へさらに登り続ける。

本丸の石垣 10:49

 昔、番所があったとされる本丸直下の平から見上げる本丸の石垣は、なかなか豪壮だ。

鉄門跡 10:52

 本丸の外側を時計回りに進んで行くと、見事な枡形が現れる。
 ここが鉄門跡で、かつては鉄板が打たれた門があったとのこと。ここから本丸内へ。

本丸跡からの眺望@ 10:58

 湊山山頂に位置するだけあって、本丸からの眺望は思いのまま。こちらは西方の中海方面を眺めたもの。
 本丸には、中村一忠が建てた独立式望楼型4重5階の天守が建っていたが、高さは21mはあったと考えられており、本城である鳥取城の天守(2重2階)を凌ぐ高さであった。
 本丸にはさらに、吉川広家が建てた初代の天守であるといわれる、独立式望楼型3重4階の大型櫓も建っていて、この他、城全体で櫓が30基建つなど、相当な規模であったことが伺える。

本丸跡からの眺望A 11:01

 反対側の東方には、当然ながら大山の姿が… だいぶガスも取れてきました。
 米子城は、天正19年(1591年)頃に吉川広家が建設を始め、関ヶ原の後、慶長6年(1601年)、豊臣家の家臣だったが、関ヶ原前に徳川家に加担していた中村一忠が伯耆国を与えられ、米子城を完成させた。
 米子城は、山陰一の名城と謳われたが、慶長14年(1609年)に中村家は断絶し、その後、米子城は鳥取藩の家老・荒尾成利の預かりとなり、江戸期の間、存続した。明治になり、民間に払い下げられ、石垣を残して取り壊された。
 車に戻り、続いて、安来市の広瀬にある日本百名城で、山陰の太守尼子氏の本拠地であった、月山富田城跡に向かう。

駐車場から城跡を見上げる 11:57

 広瀬町に入り、城の懐にある程度入り込んだところにある駐車場まで車を進める。
 何と、月山富田城は19年振りの再訪である。その時はあまり時間が無かったので、さわり程度で終わっていたのだ…
 駐車場からまずは、山中御殿跡の一角に侵入する。御殿跡の奥に山頂部の郭への登り口がある。

山中御殿跡を見下ろす 12:02

 すぐに「七曲り」と呼ばれる九十九折の急登が始まる。だいぶ暑くなってきたので、さすがにバテ気味…
 それにしても、前回来た時は、踏み跡程度の山道だったのが、今では立派な遊歩道に整備されており、隔世の感がある。

三ノ丸跡 12:10

 一気に山上郭へ登城。袖ヶ平(そでがなり)と呼ばれる、西方を監視する櫓があったと伝わる郭を一段上がると三ノ丸跡に到着。
 展望が一気に広がる。

二ノ丸跡 12:13

 三ノ丸跡から一段上がると広々とした二ノ丸跡に出る。さらに眺望が広がり、日本海まで一望できる。
 郭の西端には183.9mの三角点が埋まっていた。

本丸跡に建つ勝日高守神社 12:19

 二ノ丸からいったん下り、深さ7、8mの堀切を経て、いよいよ本丸跡へ。本丸跡の奥には勝日高守神社が建つ。
 勝日高守神社の創建は、欽明天皇31年(570年)に大国主命の分霊を勧請したのが始まりとされている。天平5年(733年)編纂の出雲国風土記にも記載があり、古くから信仰されてきたことが分かる。
 保元年間(1156〜1159年)、平家方の武将であった藤原景清が月山富田城を築くと城の鎮守社として崇敬庇護され、特に戦国時代に富田城の城主となった尼子氏は篤く信仰したと伝えられている。

本丸跡から二ノ丸跡を振り返る 12:23

 月山富田城は、出雲国守護代の尼子氏の本拠地となった。尼子氏は、4代経久の時期に出雲に基盤を造り上げ、嫡孫の6代晴久の代には山陰・山陽で8ヶ国を領する大大名となった。
 その大大名の本拠地に相応しく、天然の地形を利用した、最も難攻不落の要塞城といわれ「天空の城」とも呼ばれていた。その後、城を巡っても度々攻防戦が行われたが最終的に永禄9年(1566年)、尼子氏は毛利氏によって滅ぼされ、城も毛利領となった。
 関ヶ原以降、堀尾氏が城主となるが、慶長16年(1611年)に堀尾忠晴が松江城へ移ると月山富田城も廃城となった。

三ノ丸跡から広瀬の町を見下ろす 12:26

 満足して下山を開始する。あらためて、広瀬の町を見下ろすと、石州瓦が鮮やかだ。
 一気に下城し、明日登る予定の三瓶山に向かうこととするが、近くの富田八幡宮に寄ってくことに。

富田八幡宮拝殿と本殿 13:23

 富田八幡宮は、勝日高守神社の里宮とされ、伝承によると藤原景清が富田城を築いた際、元々鎮座していた勝日高守神社の境内を汚すのを嫌い、白羽の矢を放ち、刺さった場所を霊地として社殿を造営し、里宮としたと伝えられている。
 長い参道は苔むした石畳が両脇の杉、欅の大樹に覆われ、荘厳な雰囲気に満ちており、拝殿・本殿等は、県指定の有形文化財である。
 三瓶山へは100km近い一般道ドライブ。2時間以上かかった…

三瓶バーガー三瓶店 15:15

 三瓶山麓北ノ原に寄り道し、噂の三瓶バーガーのベーコンバーガーをゲット!
 この時間なので、誰も並んでいなかったが、翌日、正午過ぎに訪れてみると、長蛇の列ができていた。
 南麓の三瓶温泉に異動し、共同浴場「鶴の湯」さんでひと風呂浴びる。300円で源泉掛け流しの茶褐色のお湯に入ることができるのだ。地元の方々に感謝感謝である。

三瓶バーガー 17:26

 本日の車中泊ポイントを温泉街で探すが、同じく共同浴場の「亀の湯」さんの駐車場が空いていたので、ここで寝ることにし、近くのコンビニでつまみと氷を調達し、17時半から禁断の車中宴開始(笑)…
 島根県産の厳選された食材を中心に作られた三瓶バーガーと赤ワインのコンボで18時過ぎですでにベロベロに(笑)…

「亀の湯」さんに沈没… 19:03

 ベロベロのまま源泉掛け流し湯をのんびり堪能。
 4連休初日から、濃い1日となった。20時には寝ていたような…

参考タイム

9/19新小屋峠 7:007:35 新小屋分かれ 7:358:15 烏ヶ山(北峰) 8:308:40 南峰 8:409:10 新小屋分かれ 9:109:40 新小屋峠
米子城内膳丸跡登り口駐車場 10:4510:55 本丸跡 11:0511:10 米子城内膳丸跡登り口駐車場
山中御殿下駐車場 11:5512:10 二ノ丸跡 12:1512:20 本丸跡 12:2512:35 山中御殿下駐車場

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