−微風快晴の下、陶酔の古道歩き−
山行概要
2003年1月5日(日) | |
葛城古道 | |
快晴 | |
単独 | |
近鉄御所駅=BUS=風の森=0:20=高鴨神社=0:25=菩提寺=0:20=高天彦神社=0:05=橋本院=0:15=極楽寺=0:30=名柄=0:15=一言主神社=0:20=九品寺=0:45=近鉄御所駅【3:15】 |
記録文
昔、金剛に登った時に、地図を見てとても気になった地名、「風の森」。R24が通じているので、奥高野へ向かう途中、何度か通り過ぎたこともあったが、なかなか行く機会に恵まれないまま。でもついに、仕事、天候、モチベーションと全てのタイミングが合い、訪れる時がきた。
近鉄の橿原神宮前、尺土を経由し、御所で下車。すぐにバスに乗り、風の森バス停で下車。その名の通り、寒気が抜けた好天のこの日でも、風が抜ける峠。
屏風のように立ちはだかる金剛に向かって歩き出す。すぐ右に分岐する枝道を拾うと、風の森神社。森の中にぽつんと祠だけが立つ簡素な神社。
さらに山手へ。振り返ると馴染みの山々が展開、奥高野、大峰、大台、龍門山地、額井火山群、そしてつい2日前に訪れたばかりの大和三山。これほど展望が良いとは… 下手なピークに勝ること数段。
行く手に鳥居が見えてきた。これが高鴨神社。私の地元京都の上賀茂、下鴨神社を創建した大和朝廷の有力豪族、鴨氏の氏神である。本殿の他に境内にはいくつもの社殿が並ぶ。早朝の張り詰めた空気が心地よい。いつもこの空気感が味わいたくて、山間の社寺を好んで訪れるのだ。
隣の葛城の道歴史文化館はなぜか閉まっていたので、先へ進む。途中山手の菩提寺に寄り道。息せき切って急登を登った価値は十分。山門の仁王像は迫力満点。それとかなりの高台なので、境内から望む龍門山地と高見山から国見山、薊岳まで連なる台高北部のスカイラインが素晴らしい。
いったん県道へ戻り、高天(たかま)への道標に従い、再び山手へ。ひとしきり車道を登った所から、薄暗い杉林へ入る。階段の急登が続く。いったい高天はどんな高みにあるのか? ひたすら登る。
不意に林を抜け、前方にはご神体の顕著なピークに抱かれた高天彦神社が現れた。登場が劇的だっただけに、より神秘性が高まる。念入りに参拝。さらに冷気が強まった境内にしばし佇む。
神社から高天集落の細い路地を抜け、先日の積雪が残る日陰の車道を下ると、こんな山間に不釣合いな大屋根の建物が近づいてくる。
これが高天寺橋本院で、行基が開いた由緒ある古刹である。
寺前は明るい庭園が整備されていて、休憩に最適。
街道は急に細く、さらに昼なお暗い杉林に降りてゆく。小さな堰堤を跨ぐと、また明るい山間に飛び出し、ゆるやかに下ったところが、極楽寺。鐘楼門がとても興味深い。
県道を跨ぎ、なおも下る。人の匂いがしだいに濃くなる。古い町並みを進むようになると名柄の集落。集落はずれの豊田と記された交差点から再び山手に向かい、県道を右折すると今日始めて飲食店に出会う。ちょうど昼時だったので、迷わず一服。
さらに県道を北へ。一言主神社への道標に従い、西側の山手へ。急な石段を登ると本殿が目の前に。
一言だけ念ずれば願いがかなうと言うので、賽銭を奮発、ひたすら念じてしまった。(願ったのは非常に世俗的なことだったが…)
一言主神社から九品寺間は、葛城古道のハイライトだろう。いかにも大和の古道らしく、鄙びた山村の中に、細道がのびる。そして目の前には大和三山を始め、大和盆地が展開、意図的なスローペースで山里歩きを満喫。
九品寺では、千体石仏に圧倒された。ここも行基の開山。優しい表情の行基像が静かに佇む。
なおも細道を北へ。気がつけば葛城山がすぐ横手に聳えていた。
猿目橋への分岐を逆に東に山を下り、鴨山口神社へ。続く櫛羅(くじら)の集落から、迷うことなき一本道を御所まで下る。途中の崇道神社の謂れには感慨もひとしお。やはり「崇」の字は「祟」の意味なのか。
葛城古道、約13キロ。アップダウンが多いので、結構歩き応えのある古道歩きだった。それにしても、美しい地名が多いし、景色も秀逸だし、何度でも歩いてみたい気にさせる素晴らしい古道だった。
参考タイム
1/5 | 風の森バス停 09:30 ⇒ 09:50 高鴨神社 10:00 ⇒ 10:25 菩提寺 10:30 ⇒ 10:50 高天彦神社 11:00 ⇒ 11:05 橋本院 11:10 ⇒ 11:25 極楽寺 11:30 ⇒ 11:40 住吉神社 11:40 ⇒ 12:00 名柄 12:05 ⇒ 12:15 昼食 12:35 ⇒ 12:40 一言主神社 12:45 ⇒ 13:05 九品寺 13:15 ⇒ 13:35 山口神社 13:35 ⇒ 13:50 崇道神社 13:50 ⇒ 14:00 近鉄御所駅 |
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