嘉津宇岳・本部富士

−本部半島の盟主と沖縄唯一のふるさと富士に登る−

   
  

山行概要

日 程
2017年12月14日(木)
天 気
曇り時々晴れ
メンバー
単独
コースタイム
嘉津宇岳登山口駐車場=0:20=嘉津宇岳=0:15=嘉津宇岳登山口駐車場【0:35】
円錐カルスト国定公園遊歩道入口=0:05=本部富士登山口=0:20=本部富士=0:20=円錐カルスト国定公園遊歩道入口【0:45】

記録文(写真はクリックで拡大)

登山口駐車場をスタート 9:35

 登山口からすぐに亜熱帯ジャングルの中を進む。ルートはしっかりしていて全く迷う心配はないのだが、鬱蒼とした森に圧倒される思いがする。

密林を行く 9:46

 ルートはずっとこんな森の中を進む。しばらくは緩やかな登りが続くが、全体の半分くらいを過ぎた辺りから。岩混じりの急登が始まる。

あっと言う間に頂上へ 9:55

 頂上直下で一気に眺望が開ける。強風と足元の鋭利な岩に気を付けながら(次の本部富士もそうだが、この辺りカルスト地形で、鋭利な石灰岩が露出している地帯が続く。私は素手で登ってしまったが、軍手着用は必須と思う)登り続けると、最後のちょっとした岩場を超えると、あっけなく頂上へ。
 頂上はまさに岩峰となっていて、360度の展望が広がる。僅か452mながら、頂上らしい頂上である。画像は名護市街を見下ろしたもの。

八重岳方面を望む 9:56

 向かいには八重岳の姿が… あちらの方が嘉津宇岳より僅か1m高く、本部半島の最高峰であるが、八重岳の山頂には、NTTや米軍、自衛隊の通信アンテナが林立し、頂上まで車道が通じていることから、山容を含めると、やはり嘉津宇岳が本部半島の盟主と言えよう。
 風が強いので、早々に下山する。鋭利な石灰岩に囲まれ、コケたら血だらけになりそうなので、登りの時より遅いくらいのペースで下る。軍手を持って来たら良かった…
 途中、外人のハイカーとすれ違う。やはりそれなりに有名な山らしい。

登山口駐車場からの嘉津宇岳(左) 10:23

 帰りもあっという間に駐車場へ。
 これなら午前中にもうひと山行けそうだ。登頂候補に考えていた本部富士へ向かうことに。

 本部富士も嘉津宇岳と同様、カルスト地形の山で、特に円錐カルスト地形の山らしい。円錐カルスト地形とは、約2億年程前のサンゴ礁が隆起した古い石灰質の地形で、炭酸ガスを含む雨が石灰岩を侵食して独特の円錐カルストを形成し、日本ではここだけに見られる北限の熱帯カルスト地形らしい。
 周囲の石灰岩が溶かされた円錐形の残丘で、その美しい円錐は、沖縄県で唯一「全国ふるさと富士」に選ばれていることからも良く分かる。
 先ほどの山入端交差点まで戻り、R449で海岸沿いに本部半島を北西に進む。瀬底島を横目にさらに北上し、本部町の中心街も通り過ぎる。本部富士らしき山容の山が近づいてくるが、登山口までが非常に分かりにくい。
 R449からそのまま道なりでR505に変わった国道を「謝花」という集落にある交差点を右折し(標識無し)、200mほど進んだT字路をまた右折する(「本部富士」の標識あるが非常に見辛い)。そして100mほど進んだT字路を左折するのだが、この道が非常に細いのでかなり不安になるが、途中ゴルフ場の間を抜け、沖縄そば屋を過ぎ、さらに山奥へ入っていくと、最後車道が右に曲がるところに、登山案内らしき看板が立っており、もしやと思い確認すると、予想通り本部富士の登山口であった。路肩に車を止める(2台がやっとか…)。
 あ〜分かりづらかった〜 分県ガイド「沖縄県の山」とスマホがなければ、たどり着くのは無理だったかもしれない。コースタイムは45分なので、ここまで来れた時点で、ほぼ登れたも同然である(笑)と、この時は思っていた…

遊歩道から本部富士への登山道(左)へ 11:20

 この登山口は、実は本部富士の登山口ではなく、本部町が整備した「円錐カルスト国定公園遊歩道」という周囲のカルスト地形を巡るための遊歩道の入口であった。
 ジャングルの中を整備された遊歩道を5分ほど進むと、階段状に整備された遊歩道の左手に「本部富士→」という標識が現れる。

なかなかエグいルートが続く 11:22

 いきなり藪っぽい細道に変わる。さっきの嘉津宇岳はルートも幅広で、全く不安を感じなかったが、ここに来て急に不安な道のりとなる。この時期なので活動していないとは思うが、冬眠をしないとされるハブも怖い…
 そして、物凄い急登である。登山口からすぐにこの画像の岩場が立ちはだかる。先ほどの嘉津宇岳同様、鋭利な石灰岩で手が痛い… 嘉津宇岳であれだけ懲りたのに、なぜ途中のコンビニで軍手を調達しなかったのか… ホンマに舐めてます。

ウフグシムイを望む 11:29

 何とか岩場を突破する。ここからは向かい側に対斜面のウフグシムイと呼ばれるピークが目の前に聳える。
 その後も、急登、藪、間断なく現れる蜘蛛の巣に何度か心が折れそうになる。しかも足元の露出した鋭利な石灰岩のおかげで、ステップが定まらず、何とも歩きにくい。(運動靴を履いていても、何度か痛い思いをした…)
 山頂まで大した距離はないのに、かなりシゴかれました。沖縄本島の山を完全に舐めてました…。

本部富士頂上?@ 11:40

 最後の方は背の低い木々に覆われた岩稜を登るようになり、西方には伊江島をはじめ、本部の海が遥かに広がる。
 岩場の歩きにくさは最後まで続いたが、何とか頂上と思しきところへ。
 しかし、頂上を示す標識がなく、この山は富士と呼ばれるほどの端正な山なのに、少し北側に同じくらいの高さの岩峰がある双耳峰であり、どちらが頂上か分からなかったので、仕方なく、また藪に突入する(僅かながら踏み跡はある)。

本部富士頂上?A 11:42

 数分の登り返しで、もう一つのピークにやってきたが、こちらにも標識はなく、やはりどっちが本当の頂上か最後まで良く分からなかったが、まぁ、周辺にこの2箇所より高いピークはないので、本部富士登頂は確実でしょう(笑)
 画像は、北側のピークから南側のピークを振り返ったもの。
 南峰に戻り、しばし休憩。それにしても、この本部富士、僅か250m、30分足らずで登れる山とは思えない重厚感溢れる山でした。

下山道から伊江島を望む 11:53

 下山開始。鋭利な石灰岩だらけの登山道を慎重に下る。これだけ気を遣う下りは久方振りである。軍手をしていないので、ちょっとのスリップで血まみれ必至である。
 今日の最終便(17時)で渡る予定の伊江島がはっきりと見渡せるが、うかうか展望に見とれていられない。登りの時より遅いくらいの超スローペースで何とか登山道の入口へ。
 無事下山終了。安堵感が半端ない。後は遊歩道をのんびりと車まで戻るだけだ。

参考タイム

12/14 嘉津宇岳登山口駐車場 9:359:55 嘉津宇岳 10:0510:20 嘉津宇岳登山口駐車場
円錐カルスト国定公園遊歩道入口 11:1511:20 本部富士登山口 11:2011:40 本部富士 11:5012:10 円錐カルスト国定公園遊歩道入口

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