南アルプス縦走(北岳〜塩見岳縦走)

南アルプス縦走(北岳〜塩見岳縦走)


北岳山荘からの北岳北岳山荘からの北岳


【日 程】平成3年8月22日(木)〜25日(日)
【メンバー】男2人
【コースタイム】
 8/22 JR甲府駅=TAXI=広河原=1:45=二俣=1:40=八本歯ノコル=1:00=北岳山荘【4:25】
 8/23 北岳山荘(→0:35/←0:35:北岳)=0:20=中白峰=0:45=間ノ岳=0:30=農鳥小屋(→0:50/←0:50:農鳥岳)【4:25】
 8/24 農鳥小屋=1:10=三国平=0:15=井川越=0:05=熊ノ平=2:00=北荒川岳=1:05=北俣岳=0:25=塩見岳東峰=0:05=西峰=0:45=塩見小屋【5:50】
 8/25 塩見小屋=1:05=本谷山=0:35=三伏山=0:10=三伏峠=1:50=塩川小屋【3:40】

【記録文】
 8/21 曇り
 早朝の甲府駅に降り立った2人を出迎えてくれたのは、バス停に貼られた『集中豪雨のため林道通行不能』の貼紙。天気予報でもぐずついた天気が続くとの予報で我々はあっさりと山行を諦め、帰路についた。松本を過ぎ、中津川まで戻ってきたところでもう1度天気予報を聞くと、回復傾向にあることが判明、またもや方向を180°変え、甲府駅へ。甲府には終電で到着した。

 8/22 晴れ後曇り
 結局一睡もできずに午前3時にタクシーの相乗りで甲府を出発、広河原に到着したのは、まだ夜も明けぬ4時すぎ。準備や朝食やらで広河原を出たのは4時半。真っ暗な樹林帯に突入する。暗闇の中を無心に進めば、訳の分からぬまま大樺沢に飛び出す。日の出は近いようで、頭上のバットレスが紅く浮かび上がっている。ここからは常に北岳を仰ぎながらの登行になる。傾斜はそれほどではないのだが、なんといっても2人とも寝不足であるので、ペースはさっぱり上がらない。やっと辿り着いた二俣では不覚にも2人して寝てしまう始末で、トレ不足及び体力の衰えは隠しようもない。二俣からは傾斜もより急になり、這うように前進を続ける。最後に梯子を3か所ほど突破して、ようやく八本歯ノコルに到着。2人ともバテバテである。またガスが急に我々を取り囲み、せっかくの展望もだいなしである。軽くレ−ションをとるが、雨も降り出してきたので、途中で切り上げ、慌ただしく出発する。予定では今日中に北岳ピストンは済ますはずであったが、ショ−トカットし、北岳山荘への巻き道をとる。視界が全く効かず、どこをどう歩いているのかさっぱり分からない。終始ルートミスの恐怖に怯えながらもなんとか山荘に昼前に到着。昼食のあと2人とも爆睡。夕方に目が覚め、外を窺うとガスが切れており、夕食までの間、周囲の大観を堪能した。

北岳への登りから間ノ岳を見る北岳への登りから間ノ岳を見る
 8/23 晴れ後曇り
 5時起床、6時発。北岳のピストンに向かう。ド快晴の空の下、久し振りのアルプスの稜線を楽しむ。2人とも休養十分、またサブザックということもあり快調に歩を進め、難無くピークに到着。360゜の展望が広がり、自然と大休止。特に甲斐駒の颯爽とした姿が素晴らしい。
北岳からの甲斐駒、八ツ北岳からの甲斐駒、八ツ
 帰路も足取り軽く、小屋へはあっというまに帰投。レ−ションの後、間ノ岳への縦走へ。中白峰を難無く越えるが、この辺りからガスが周囲を覆い始め、間ノ岳のピークではついに展望ゼロ。ルートはしっかりしており、迷う心配はないが、せっかくの稜線漫歩もこれではだいなしである。とっととピークを後にし、農鳥小屋へ向かうが、岩がガラガラの地形でペンキ印がないとルートは分かりにくい。展望がないものだから、ピッチは上がり、小屋には11時ジャストに到着。小屋で昼食&昼寝の後、農鳥岳ピストンに向かうが、周囲は依然としてガス一色。証拠写真だけを撮っただけですぐさま引き返した。

 8/24 霧雨後曇り
 長丁場に備え、4時半に出発する。まだ薄暗い中、三国平への巻き道を探すのに苦労する。明るくなってからは、快調に飛ばし三国平へは6時に到着。樹林帯の中に突入し、約20分で熊ノ平。朝からすっきりしなかった空からポツリポツリと雨が落ち出す。今回天気には全然恵まれない。若干気落ちしつつ塩見へと向かう。この長大な稜線は北荒川岳まではほとんど樹林帯の中を行くので、まるで北山でも歩いているかのようである。アップダウンはほとんどないのだが、霧雨の中、足取りは重い。北荒川の頂で再び森林限界を抜け、モロに強風を受けながら進む。北俣岳への急な登りをほとんど泣きそうになりながらこなす。いつしか雨は止み、ピークから前方に塩見の特徴的な姿が浮かび上がる。塩見東峰へはさらにきつい登りが待っていたが、気力で登りきる。東峰は素通りし、一気に西峰へ。せっかくの3000m峰のピークも展望まったく無し。北岳からよくぞやって来たという感慨はあったが、ただそれだけといった感じで2人ともシラけ気味であった。写真だけ撮って、さっさと下降を開始する。30分ほど下った所の塩見小屋は非常にこじんまりとした小屋であるが、不運にも団体客が占拠していた。三伏峠までさらに下る気力はもうなく、小屋番の指示に従い、小屋横の常設テントに泊まることにする。心身ともに疲れた1日であった。

ガス一色の塩見岳頂上ガス一色の塩見岳頂上
 8/25 霧後晴れ
 今日もガス一色。南アらしいうっそうとした森の中を黙々と下るのみ。三伏山まで来て皮肉にも日が差してきた。ほとんど見ることのできなかった塩見の姿を目に焼きつける。三伏峠からは下山パワーが爆発し、塩川小屋まで2時間かからなかった。

 今回はほとんど下を向いて黙々と歩いていた。いいトレーニングになった山行だと自嘲気味に思う今日この頃である。


      

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