巨勢(こせ)の道

−巨勢から葛城の国へ、静かな古道歩き−

   

山行概要

日 程
2005年11月27日(日)
山 域
巨勢の道
天 気
曇り後雨
メンバー
単独
コースタイム
近鉄葛駅=0:15=安楽寺塔婆=0:40=巨勢寺塔跡=0:10=阿吽寺=0:25=水泥古墳=0:40=栗阪峠=0:10=葛木坐御歳神社=0:25=船宿寺=0:15=風の森=0:10=かもきみの湯【3:00】

記録文

 前回の金剛山麓の旅と同様、とても遊んでいるような業務状況ではなかったが、やはり我慢できず、いつもの橿原神宮前行の急行に乗る。
 僅かの乗り換え時間で吉野線へ。久しぶりに高取城に行こうかとも迷ったが、当初の予定通り、巨勢の道を歩むことに。
 ガイドでは紹介されることは少ないが、この巨勢道は、飛鳥から高取町、そして御所市の古瀬(古代豪族巨勢氏の本拠地らしい)集落を経由して吉野や和歌山県へ至る古道で、持統天皇が30数回に亘って吉野へ行幸した道です。

 葛駅で下車。駅前で何か食べるものでも買おうかと思っていたが、なーんにもなし。諦めて、まずは安楽寺方面へ寄り道。
 JR和歌山線を渡り、R309に合流したところで、コンビニを発見。ここで朝食をゲット。僅かに国道を進み、すぐ左手の集落へ入っていく。

稲宿の集落 9:23

 いかにも大和らしい白壁の民家。安楽寺は集落の奥にある。

安楽寺 9:20

 本堂だけが静かに佇んでいた。寄り道した本命はこの奥なので、とっとと先へ。

安楽寺塔婆 9:29

 これを見るために寄り道しました。林に囲まれた小ぶりな姿に感動。
 三重の塔の初層だけが残っているもので、上に宝形の屋根を追加したもの。建築様式から寺は鎌倉時代頃に建てられたと案内板には書いてあったが、はっきりとした建立の年代はわかっていないらしい。
 塔婆下の階段でのんびりと朝食を取る。やっぱり来て良かったなあ。

 近くの新宮山古墳の横穴式石室に立ち寄ってから、葛駅にいったん戻る。実り多い寄り道でした。
 駅から近鉄の線路に沿って南下。右手には万葉集に詠まれた巨勢山が見えるが、半分近く切り崩され、無残な姿をさらしている。
 曽我川を線路と一緒に渡ると巨勢寺塔跡は近い。

巨勢寺跡 10:15

 近鉄とJRの線路に囲まれた平坦地に小さな大日堂が建っているだけですが、ここが法隆寺式伽藍配置と推定される巨勢寺の中心地。
 肝心の塔跡は、大日堂のすぐ横に礎石が残されている。

阿吽寺 10:28

 巨勢寺跡からすぐ南、R309沿いにある。巨勢寺の子院だったらしい。境内は椿の名所らしいが、この時期は一輪の姿もなし。
 線路沿いに戻り、南へ。

吉野口駅 10:38

 近鉄吉野線とJR和歌山線が乗り入れている。
 駅の南で踏切を渡り、曽我川に沿ってさらに南へ。対岸の遥か南東方向には大峰らしき山並みが見渡せる。ずっと車道歩きだが、車はほとんど通らないので、静かな古道歩きが満喫できる。

水泥(みどろ)南古墳の石棺 10:57

 川合八幡神社の少し先で葛城方面へ向かう県道と別れ少し寄り道。すぐ近くに水泥古墳があるから。南北の2基あり、いずれも6世紀後半のもので、巨勢氏などの地方豪族の墓らしい。
 この南墳の石棺には蓮華文が彫られている。一方北墳は西尾さんという家の裏庭にある。ここのお母さんが立ち話をしておられたので、お願いして、中を見せてもらった。人が余裕で入れるくらいの大きさで、お母さんの話では昔、ここでスイカを冷やしていたらしい。

 県道に戻り、朝町川に沿って葛城の国へ向かう。古い民家が多く、なんとものんびりした景色が続く。
 途中、大穴持神社に寄り道してみたが、かなりの急登をこなさねばならない。鬱蒼とした森の中にこじんまりとした社殿が一つだけ。人の気配が全く無く、少々怖かった。
 

朝町の集落 11:39

 県道に戻り、朝町集落の中を縫うように進む。

布袋様

 この辺りの古い民家には布袋様の瓦が多く見られました。

葛木坐御歳神社 12:01

 栗坂峠を越えると、正面に金剛の山並みがパッと広がり、葛城の国へ入ったことを実感。
 峠からひとしきり下ったところで左折し、今度は南にしばらく登ったところに葛木坐御歳神社。「稲の神様」です。誰もいない境内でしばし休憩。正午のサイレンが一帯に鳴り響く。

あぜ道を行く 12:06

 神社からしばらくあぜ道を進む。行く手には金剛が屏風のように連なる。今日一番のポイントか。
 あぜ道から一変し、静かな谷間の道を進む。途中腹が減って仕方がなかったので、平行して走るR24沿いのめし屋に立ち寄り、しばし補給。
 船路の集落に入ると、すぐに船宿寺の石標が現れる。

船宿寺 12:55

 花の寺として有名。しかし、着いたとたんに雨が落ちてきた。トレースをつなげるために、さらに南の風の森まで歩きたかったので、早々に立ち去る。

 傘を持ってきてなかったので、小走りで風の森まで登る。約3年振りのバス停に着いたときには体中から湯気が上がっていた。
 息つく間もなくR24を御所方面に駆け下り、何とか本降りになる前に「かもきみの湯」に到着。御所駅行きの次のバスの時間までの約1時間半、のんびりと風呂を楽しんだ。

参考タイム

11/27近鉄葛駅 9:109:25 安楽寺塔婆 9:3510:00 近鉄葛駅 10:0010:15 巨勢寺塔跡 10:1510:25 阿吽寺 10:3010:55 水泥古墳 11:0511:20 大穴持神社 11:2511:50 栗阪峠 11:5012:00 葛木坐御歳神社 12:0512:15 昼食 12:4012:55 船宿寺 12:5513:10 風の森 13:1013:20 かもきみの湯

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