熊伏山

−秘境遠山郷のふるさとの山を秋葉街道の青崩峠から登る−

   
  

山行概要

日 程
2015年10月25日(日)
山 域
南アルプス南部前衛
天 気
快晴
メンバー
単独
コースタイム
塩の道遊歩道入口=0:10=青崩峠=0:30=青崩ノ頭=0:20=前熊伏山=0:15=熊伏山=0:10=前熊伏山=0:15=青崩ノ頭=0:20=青崩峠=0:10=塩の道遊歩道入口【2:10】

記録文(写真はクリックで拡大)

 何故か、奥秩父の金峰山〜甲武信ヶ岳縦走からの連戦。  4時に起床し、道の駅「遠山郷」を後に、静岡県側へ山越えを図る。本来は秋葉街道沿いのR152で青崩峠を越えるはずなのだが、中央構造線に位置するせいか、崩壊が激しく、未だに国道はつながっていない。車道は、青崩峠の東にある兵越峠を越えているのだ。
 暗闇の林道をひたすら登り、兵越峠へ。

兵越峠を通過 4:38

 兵越峠は、地元ではユーモラスにヒョー越峠とも表記され、「峠の国盗り綱引き合戦」というイベントで余りにも有名。この日の10時半頃から開催されるらしいが、当然ながら、今は人一人いない。
 このイベントは、1987年から、毎年10月の第4日曜日に、国境の領土を賭けた綱引きイベントで、「遠州軍」(浜松市天竜区)と「信州軍」(飯田市)の代表同士がチームを組んで綱引きを行い、勝ったチームが「国境」を1メートル相手側の領土に動かすことができるというもの。峠にはこの時に決められた「国境」と標示された札が常時設置されていた。
 今年は信州軍が勝ったらしく、国境は、信州側に3m移動している(笑)

 兵越峠から浜松市に入り、ひとしきり下ると、唐突に物凄く立派な草木トンネルを通過する。三遠南信自動車道の一部として作られたらしいが、中央構造線に位置するため、地盤が脆く、結局、三遠南信自動車道のコースから外れてしまったらしい。このトンネルだけが浮いた存在になってしまっているのだ。行政に携わる者として、何ともやるせない気持ちになってしまう。
 トンネルを抜けると、すぐに「青崩峠」と「足神神社」を示す道標が現れるので、左折し、翁川をさかのぼっていく。
 駐車スペースが現れると、少し先に「塩の道」の石碑が見えた。熊伏山の登山口にようやく到着。
 周囲は真っ暗なので、とりあえずラーメンを作って時間をつぶす。
 5時半を回り、だいぶ明るくなってきたので、行動開始。石碑の横から、秋葉街道の風情ある石畳の道を登っていく。この熊伏山はヒルで悪名高く、最初はビクビクしながら登っていくが、さすがに10月下旬ではおとなしくしているようだ。

青崩峠 5:50

 10分ほどで青崩峠に到着。遠江と信濃の国境で標高1082メートル。この峠を境にして遠州側では信州道と呼び、北側の信州では秋葉街道と呼んだ。縄文の昔から遠州と信州を結んでいる「塩の道」であり、ここ青崩峠を境にして街道の呼びを別にしていた。ここを越えて信州に塩が運ばれており、青崩峠は「塩の道」最大の難所と言われていた。
 また、武田信玄による1572年の徳川領侵攻では、軍兵の一部がここを通過したらしく、信玄が家康を一蹴した三方ヶ原の戦いにつながる。
 熊伏山へ向かう。最初は階段も整備された遊歩道のような道だが、すぐに青崩と呼ばれる凄まじい崩壊地の縁に沿った急登となる。
 足元は落ち葉が堆積し、滑りやすく、木を掴みながらの苦しい登行が続く。青崩の最上部の縁を通過する辺りは、滑落注意。覗くと吸い込まれそうだ。

青崩ノ頭 6:23

 何とか急登を突破し、送電線鉄塔の立つピークに到着。ここが青崩ノ頭で、木々の間から朝日を浴びた南アルプス南部の主稜が目に入る。
 尾根筋が明瞭になり、ブナも現れる静かな森の中をさらに登る。

前熊伏山 6:45

 1600mを抜いた。本峰へはあと少し。

熊伏山 7:02

 快調に登り続け、かなりタイムを縮めて本峰へ到着。残念ながら期待していた南アルプス南部の展望は木々に遮られ、もう一つ。
 風が強く寒いので、早々にピークを辞す。
 もと来た道を一気に下る。山行も3日目に入り、体が覚醒したようで、全く疲労を感じない。

南アルプス南部の大観 7:47

 青崩ノ頭から少し下った辺りで、聖岳、池口岳をはじめとする、南アルプス南部の面々が姿を見せてくれた。昨日もそうだったが、今日も凄い快晴だ。
 青崩の縁を慎重に下る。

遠山郷方面 8:05

 青崩峠のすぐ上に、遠山郷を見下ろす絶好のポイントがある。中央構造線に沿って秋葉街道がはるか北へ伸びていく。

秋葉街道の石畳 8:10

 すっかり明るくなった青崩峠から、秋葉街道を下る。登りの時には暗くて良く分からなかった街道の様子を味わいながらのんびり下る。

信玄の腰掛岩 8:14

 罰当たりにも腰かけようと思ったが、表面が苔で濡れていたので断念…
 余裕で車に帰着。すぐ下流の足神神社にお参りしてから、枚方までの長距離ドライブへ。
 快晴のもと、天竜川沿いの快適なドライブを楽しみ、新東名の浜松浜北ICから、新名神をつなぎ、枚方の実家には13時前に到着。佳い三連休でした。

参考タイム

10/25塩の道遊歩道入口 5:405:50 青崩峠 5:506:20 青崩ノ頭 6:256:45 前熊伏山 6:457:00 熊伏山 7:157:25 前熊伏山 7:257:40 青崩ノ頭 7:458:05 青崩峠 8:058:15 塩の道遊歩道入口

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