櫛形山

−アヤメ平のアヤメは数えるほど… それでも原生林は見事でした−

   
   

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山行概要

日 程
2003年7月5日(土)
山 域
南アルプス
天 気
曇り時々晴れ
メンバー
単独
コースタイム
池ノ茶屋林道終点=0:30=櫛形山=0:15=裸山=0:10=アヤメ平=0:20=裸山=0:45=池ノ茶屋林道終点【2:00】

記録文

 7/4 曇り時々晴れ
 4月の人事異動で出向していた民間会社から市役所本庁に戻った。慣れぬ仕事に山に行く余裕がなかなか生まれず、このままだと秋口位まで山歩きは無理かなと覚悟していたが、急に週末の木・金に東京出張が入った。
 これを利用しない手はない。しかも場所は立川。中央線の山に登ってこいと言われているようなもんだと勝手に解釈。前からアヤメの季節に行くつもりだった櫛形山を目指すことにする。
 出張終了後、すぐに「かいじ」に乗り込み、甲府へ向かう。予報に反し、勝沼付近から甲府盆地と南アルプスの連峰が一望できる。以前、冬に乾徳山茅ヶ岳を登りに来た時にいつもここから純白の南アに度肝を抜かれたものだ。
 レンタカーを借り、市内の甲斐善光寺、東光寺、武田神社、積翠寺を足早に回る。

甲斐善光寺

 東日本最大級の伽藍を誇る。お戒壇廻りも本家そっくり。

東光寺

 臨済宗のお寺。本尊の薬師如来坐像と庭園が見物。

武田神社

 ご存知、武田氏の本拠、躑躅ヶ崎館の跡に建てられた神社。

積翠寺

 境内に信玄の産湯に使った井戸がある。

 この日は櫛形山の麓で車中泊するつもり。温泉の近くにしようと思うが、ここ数年、魅力的な日帰り入浴施設が色々と出来ており、悩んだが、南アルプス市(旧甲西町)のやまなみの湯に決める。

信玄堤から鳳凰三山を望む

 一旦甲府からは西の竜王町に向かい、釜無川の信玄堤に沿って南下、富士と南アを眺めながらの快適なドライブを経て、無事温泉へ。

 至近に居酒屋と本屋もあり、駐車場も広く、静かで快適な夜を過ごすことができた。

 7/5 曇り時々晴れ
 4時起床、何と言ってもアヤメのシーズンなので、混み合う前に山を終えるつもりである。予報どおり天気はまずまずのようだ。南へ増穂町から道標に従い、丸山林道に入る。

丸山林道途中から富士を望む

 背後に雄大な富士が浮かぶ中、思いのほか長い林道をひたすら山の奥へ。そろそろかなと思ったころにようやく池ノ茶屋林道の分岐が現れ、げんなりする。池ノ茶屋林道に入ると時折、白峰三山が望めるポイントがあり、その都度車を止めてしまう。

 やっと着いた林道終点の登山口には、広い駐車スペースと休憩舎が整備されていた。車内で朝食をとってから出発。Tシャツに短パン、そしてジョギングシューズという舐めきった出で立ちである。今回出張なので重い荷物を敬遠したせいもあるが、こんな格好で登山が許されるのもこのコースならではだろう。
 ルートもこんなふざけた格好を十分許容してくれそうな完璧なものだった。道幅は広く、アヤメ祭りに合わせたのか、下草も綺麗に刈り払われていた。適度な傾斜の斜面を登っていく。背後には悪沢、赤石が望め、何度も振り返りながら、快調に登る。
 ゆるやかな頂稜部にたどり着けば、展望はあまり利かないが、原生林の中を縫う気持ちの良いトレールが続く。梅雨時らしく、森は瑞々しく、山から遠ざかっていた身には少々刺激的過ぎる光景である。

何の変哲もない奥仙重にて

 奥仙重のピークは特に標識も無く、三角点が無ければ、通り過ぎてしまいそうな何の変哲も無い丘だった。

展望は期待できない櫛形山山頂

 さらに深みを増していく森の中を逍遥することわずかで、櫛形山のピークにたどり着いた。展望は木々の間から東方に富士が垣間見れる程度だが、この素晴らしい森の中では、贅沢は言えないだろう。

 サルオガセが目立ってきたトレールをさらに北へ。途中、原生林コースの分岐が右に別れるが、ここでは直進。不意に目の前が明るく開け、その名のとおり、裸山直下の平に飛び出した。
 ここでお目当てのアヤメの群落が登場。この時点では、これからたどるアヤメ平にこれ以上の群落があると思い込んでいたので、あまり見入ることなく、先へ進むことにした。

緑一色のアヤメ平から北岳を望む

 先ほど別れた原生林コースと再び合流し、なおも下っていくと、立派な休憩舎の建つアヤメ平に到着。さっそく、アヤメはどこかと、ロープで区切られた鑑賞路に入ってはみたものの、何と1本も咲いていない… 紫色一色になるはずが、緑一色の草原に呆然と立ち尽くす私であった。草原の彼方に優雅にたたずむ北岳の姿だけが救いだった。

裸山のアヤメを愛でる@

 復路は裸山に戻らず、原生林コースで帰ろうと思っていたが、これはいかんと言う事で、再び裸山へ。今回はアヤメの原をじっくりと味わう。

裸山のアヤメを愛でるA

 ここだけでも咲いてくれていて助かった。

 もう一度、アヤメ平方面に戻り、やっと原生林コースへ。右往左往とは正にこのことか。途中、地元の方とすれ違い、「アヤメは来週が見頃、HPで確認しなかったの?」と言われ、がっくりする一幕もあった。(じゃあ、何であんたも来てるの?) 帰りは大量の登山者とすれ違いになる。

白峰三山

 桜峠から駐車場までの最後の下りの部分で、登りの時には暗くて気づかなかったが、少し脇に入った所に丸太のベンチがあり、ここから今まで巧妙に隠されていた白峰三山をセットでやっと望むことができた。最後、どこかで見えないかなと期待していただけに、思わず歓声を上げてしまった。

悪沢・赤石・聖岳

駐車場

 のんびりと下って、駐車場に帰着。すでに満車状態で、さらに下からどんどん上がって来ているようだ。空いている時間帯に登山終了という当初の目論見どおりだったが、次々と上がってくる車を見ていると、アヤメのこの時期、櫛形山はかなりのオーバーユース状態になっているんだなと実感した。

 さあ、再び長い林道ドライブ。下から上がってくる車とのすれ違いに苦労しながら何とか麓へ。まだ9時だ。と言っても昼過ぎには甲府に戻る必要があったので、そんなにのんびりもできない。 周辺で始業の早い風呂を探すと、さくらの里・いこいの家(南アルプス市、旧若草町)があり、それでも30分ほど早くに到着したが、地元の方がかまわず入場して行くので、私もとっとと中に入る。どうも9時位から営業しているようだ。
 さっぱりし、昼前に甲府に戻る。駅前の郷土料理屋でほうとう&馬刺で一人祝杯を上げ、13時過ぎ発の特急ふじがわで静岡へ。新幹線を乗り継ぎ、京都には18時前には帰ってこれた。

 アヤメには少し早かったが、梅雨の真っ只中、天気に恵まれ、爽やかな原生林と南アルプス主稜の展望を楽しむことのできた山旅だった。  

参考タイム

7/4 14:30 甲府市内 16:2016:40 釜無川信玄堤 16:5017:30 やまなみの湯
7/5やまなみの湯 04:1505:00 池ノ茶屋林道終点 05:1505:45 櫛形山 05:5006:05 裸山 06:1506:25 アヤメ平 06:3506:55 裸山 07:0507:40 櫛形山 07:4508:15 池ノ茶屋林道終点 08:2009:30 さくらの里・いこいの家 10:1511:00 JR甲府駅

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