伊勢街道その3(垂水〜松阪)

−伊勢街道第3弾。松阪まで足を延ばす−

山行概要

日 程
2021年2月6日(土)
山 域
伊勢街道
天 気
晴れ
メンバー
単独
コースタイム
近鉄南が丘駅=0:25=加良比乃神社=0:25=玉造院=0:25=雲出橋北詰=0:15=松浦武四郎誕生地=0:10=松浦武四郎記念館=0:20=月本追分=0:40=六軒追分=1:20=近鉄松阪駅【4:00】

記録文(写真はクリックで拡大)

 土日の好天が約束された。不要不急の外出は×とのことだが、車利用の一人歩きでコロナに感染する訳もないし、伊勢街道を一気に片付けることに。
 今回はいつもの車中泊ではなく、松阪駅前の宿を確保していたので、車を止めさせてもらってから、近鉄で前回のゴール地点の南が丘駅に向かう。
 前回と逆に新興住宅街を抜け、垂水会館の前で伊勢街道に復帰し、南に進んで行く。
 細い路地を進んでいくと、加良比乃神社の入口が現れ、西へ少し寄り道。

加良比乃神社 9:40

 加良比乃神社は、第11代垂仁天皇の御代、皇女の倭姫命が天照大神を奉じて伊勢への旅の途中に立ち寄った「壱志藤方片樋宮」のことであるといわれている。
 「加良比」は「片樋」のなまったものだと言われ、この地は水が不便な地であり、この神社のある場所の片側が急な斜面になっているため、樋を用いて泉の水を引いたことに由来すると言われている。

高茶屋神社 10:00

 さらに南へ進み、高茶屋の集落に入ると、高茶屋神社の入口があったので、ここも西に寄り道。
 高茶屋神社の祭神は玉柱屋姫命。この神は天牟羅雲命(あまのむらくものみこと:葦原中国に純な水をもたらした神)の末裔で、天日別命(あめのひわけのみこと:神武天皇の東征の際、伊勢を平定し、統治したという。皇太神宮大神主の伊勢氏の祖)の娘という。
 元々は「粟島社」と称していたが、明治期に近隣の神社を合祀し現在の名称となる。

広大な耕作地が広がる 10:11

 JR高茶屋駅の南側の踏切で紀勢本線を渡ると、周囲は広大な耕作地となり、建物が全くない…

玉造院(ぎょくぞういん)の八十八箇所 10:14

 耕作地帯から再び雲出という集落に入ると、玉造院という寺院があり、境内に入ってみると、八十八箇所の地蔵が祀られていた。

円福寺 10:33

 雲出の集落をさらに南へ進むと、雲出川に突き当たる直前で、街道筋から少し西に入ったところに円福寺が建つ。
 円福寺の開創は不明であるが、この辺り雲出島貫(くもずしまぬき)は、宿場町が形成され、大いに栄えたといわれており、伊勢詣での人々で参拝も多かったと思われる。
 また、境内には、推定樹齢400年以上のソテツがあり、津市指定の天然記念物である。

雲出橋北詰に建つ常夜燈 10:40

 雲出川に突き当たり、堤防上に上がる。かつて雲出川には橋がなく、ここに渡しがあったようだ。
 上流側(西側)に少し進むと、雲出橋があり、南北の詰それぞれに常夜燈が建っている。
 この常夜燈は、かつては渡し場口にあったもので、高さ4.6m、竿石には「奉献」、「天保五年(1834年)甲午三月建」と刻まれている。この時代、おかげ参りが全国的に流行し、その旅人の安全や神宮への祈願のために多くの常夜燈が建てられた。

雲出橋からの雲出川上流方面 10:43

 雲出橋で川を渡ると松阪市に入る。下流方向に少し進み、渡し口で街道筋に合流。小野江という集落に入る。
 この辺りもかつての宿場町だったのか、家の玄関には「えび屋」などの旧屋号が掲げられている。

松浦武四郎の実家跡 11:04

 集落内にひときわ古く、大きい町家が現れるが、これが、北海道の名付け親として名高い、松浦武四郎の生家であり、「松浦武四郎誕生地」として、松阪市の史跡に指定されている。現在は松阪市の所有となっており、私も内部を見学させてもらった。画像は、母屋ではなく、庭に立つ土蔵ほか。

小野江神社 11:09

 松浦武四郎の生家から、街道筋を南西に離れ、小野江神社に立ち寄る。
 小野江神社の創建は不明で、古来から八王子神社と称していたが、明治元年(1868年)、勝速日神社と改め、さらに、明治41年(1908年)、周辺の貴布禰神社他11社を合祀し、小野江神社と単称した。
 さらに南西方向に寄り道し、松浦武四郎記念館へ。展示物はどれも素晴らしかったが、入口ホールの床に描かれた、手書きの詳細な北海道の地図は圧巻だった。何でも松浦武四郎は、北海道の地名をアイヌ語を基に約9800も名付けたらしい。

月本追分 12:00

 松浦武四郎記念館を後に、街道歩きを再開。途中、コンビニで昼食を取る。さらに南へ水路沿いに進むと月本追分。
 月本追分は、伊勢街道と奈良街道の分岐点で、伊勢街道最大と言われる石標が建ち、「さんぐうみち」、「いがこえならみち」との案内が彫られ、伊勢へ向かう旅人と、伊賀を越え、奈良へ向かう旅人が交差した場所であり、役人が常駐していたほか、旅籠や支度店が軒を並べ、大変な賑わいを呈していたという。

香良洲(からす)道分岐 12:06

 月本追分からすぐ南には、「香良洲(からす)道」の分岐を示す石標が建つ。
 香良洲道とは、伊勢街道から分岐し、香良洲神社へ通じる街道で、香良洲神社は、内宮の祭神、天照大御神の妹神とされる稚日女命(わかひるめのみこと)を祀っているため、「お伊勢詣りをして加良須に詣らぬは片参宮」と言われ、年中参拝者が絶えなかったらしい。
 どんどん南下し、中勢バイパス(R23)をくぐり、六軒の集落に入る。六軒は、伊勢音頭に「明日はお立ちか、お名残おしゅうや、六軒茶屋まで送りましょう。六軒茶屋の曲がりとで・・」と歌われた町である。

三渡(みわたし)川を渡る 12:39

 途中、三渡川を渡る。海が近い。
 名前の由来は、潮の満ち引きによって川を渡る場所が三箇所あったことによるらしい。

六軒追分 12:40

 三渡川を渡ると、道標が建っており、道標の銘文には「やまとめぐりかうや道」、「右いせみち六軒茶屋」、「大和七在所順道」とある。「やまとめぐりかうや道」とは、初瀬街道のことで、ここで分岐し、初瀬(長谷)から名張、青山峠を越え、いがごえ追分で伊勢街道へ通じている。
 大和七在所順道とは大和国の7つの名所・寺社だけではなく、畿内の河内・和泉・摂津・山城の名所・寺社を巡る道のことらしい。

市場庄の町並み 12:47

 六軒追分から少し南に進むと、市場庄の集落に入る。
 伊勢街道沿いに発達した集落で、おかげ参りの人々で街道沿いは大いに賑わったが、村の人々は農業のかたわら、みやげ物や雑貨などを商ったという。
 全国的にも珍しいといわれる妻入りと連子格子の町並が残り、当時の風情を漂わせている。

市場庄公会堂 12:49

 街道沿いに異質な建築物が…
 これが市場庄公会堂で、大正7年(1918年)に建てられ、昭和30年(1955年)まで、米ノ庄村役場として利用されていた。また、この建物は、神楽寺の境内の一部を利用して建てられたと言われている。
 この建物は、外壁が下見板張の寄棟造桟瓦葺平屋建で、正面中央に切妻造起り屋根の玄関を組み合わせた近代和風建築 である。現在は市場庄町の公会堂として利用されている。

舟木家長屋門 13:05

 市場庄から久米の集落に入ってくると、ひと際豪壮な古民家があり、玄関には見事な長屋門が…
 「舟木家長屋門」である。舟木家は、南北朝時代から続く家柄で江戸時代には久米村惣庄屋、津藩無足人となり、その後紀州藩主より「津領地士」としてお目見を許されるまでになったという。
 屋敷への出入口としてだけでなく、舟木家の格式を示すこの長屋門は、屋敷の南側に位置しており、中央に出入口を取り、向かって左側が侍部屋、右側が中間部屋として使われていたといわれている。
 門の正面中央より下の部屋に施された海鼠壁(土蔵などの外壁に方形の平瓦を貼り、目地を漆喰でかまぼこ形に盛り上げた壁)が特徴であり、寛政6年(1794年)に建築され、天保5年(1834年)年に改修されたと伝えられている。

松阪市本町の町並み 13:47

 JRを渡り南から南東方向へ進路を変えると、松阪の中心街が近い。
 阪内川を渡ると、本町に入り、昔ながらの町並みが広がる。
 松阪のまちは、3年前にさんざんウロウロしたので、今回は割愛し、腹が減ったので、「回転焼肉」がウリの「一升びん 宮町店」さんへ突撃する。

「一升びん 宮町店」さんで昼呑み@! 14:21

 店は近鉄線の反対側で、15分ほどかかって到着。しかし、回転焼肉は14時半ラストオーダーとのことで、残念ながら通常席での食事となってしまった…
 定番の塩タンでスタート!

「一升びん 宮町店」さんで昼呑みA! 14:33

 カルビ、赤身、バラ、切り落としの豪華4種盛の松阪肉セット3200円! ハイボールが進みまくり、昼から昇天…
 酔った勢いで、スロットに手を出してしまい、2万負け… 旅先で一体何をやってるのか…

部屋呑みで本日終了 19:21

 よろよろとホテルに戻り、部屋呑み… 炭水化物過剰摂取で背徳感が半端ない(笑)…
 そのまま酔いつぶれて寝た…
 明日はいよいよ伊勢だ。






参考タイム

2/6近鉄南が丘駅 9:159:40 加良比乃神社 9:4510:10 玉造院 10:1510:40 雲出橋北詰 10:4010:55 松浦武四郎誕生地 11:0511:15 松浦武四郎記念館 11:2511:35 セブン−イレブン松阪肥留町店 11:5012:00 月本追分 12:0012:40 六軒追分 12:4014:00 近鉄松阪駅

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