那岐連峰縦走

−蛇の大量出現に悶絶−

   
   
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滝山への縦走路を行く(拡大はクリックしてください)

山行概要

日 程
2002年9月15日(日)
山 域
那岐連峰
天 気
曇り時々晴れ
メンバー
男2人
コースタイム
蛇渕ノ滝=0:55=大神岩=0:35=那岐山=1:05=滝山=1:20=爪ヶ城=0:55=声ヶ乢【4:50】

記録文

 京都から手軽に日帰りできる300名山も少なくなってきた。そんな中で那岐山は貴重な存在だったが、ようやく山行のタイミングが巡ってきた。いつも長距離歩行(表比良全縦六甲全縦東海自然歩道:箕面〜沓掛)でご同行願っている超健脚のK氏という助っ人招聘も成功し、那岐山だけでは物足りないので、連峰縦走を企む。(私の持っているガイドでは、三山縦走は手頃なタイムで出来るのにもかかわらず、別々に登るコースばかりで、縦走コースを紹介するものはなかった。車の回収がネックなのか)
 秋雨前線の影響でころころと変わる天気予報にやきもきしながら、雨を覚悟での決行。実際走行中は細かい雨が降り続いていた。途中休憩した中国道揖保川PAのトイレでゴキブリ&巨大蛾の襲撃を受け、超虫嫌いの私は失神寸前。思えばこれが悪夢の始まりだった。
 ナビの威力でスムーズに登山口へ。一番上の第3駐車場に車を止める。先客は1台だけだった。空はどんよりと曇っており、縦走はほとんどあきらめて出発。明かりがほとんど差し込まない植林帯に突入する。
 すぐにCコースの分岐を分け、Bコースを登る。道は2人が並んで歩くことができるほど、恐ろしいくらいに整備されている。大きくジグザグをきってコース取りがされているので、距離は伸びるが、息はほとんど上がらない。昔の直登していたと思われるルートもチラホラと見受けられる。どっちかと言うと私はこちらの直登の方が好みだ。自然観察等の案内板も数多く立っており、地元の小学校などの格好の遠足コースになっているのだろう。

大神岩からの日本原高原

 とかなんとか言ってる間に大神岩に到着。ここで標高は1000mジャスト。岩頭に立つと眼下に日本原の広大な高原が一望のもと。空中写真を見ているようだ。東の播州方面には後山や日名倉山も良く見える。反対側には那岐山の頂稜もすぐ頭上である。

 しばらくはゆるやかに尾根を行く。辺りは植林から自然林に変わった。ブナもちらほらと目に入る。八合目の標識がある所から稜線へ最後のつめとなる。一気の急登で林を抜け、笹原に飛び出した。

三角点ピークからの滝山

 小屋の立つ三角点ピークに到着。心配していた天気も雲の切れ間から晴れ間が覗くようになってきた。西の滝山へ気持ちの良い笹の稜線が伸びている。日本海側の山々も良く見える。かすかに海岸線らしきものも見える。一方、前線が停滞している南方は暗雲で真っ黒… それでも小豆島まで見えており、日本海と瀬戸内海を同時に見ることができた。

最高点へ向かう

那岐山最高点

 笹の稜線をまずは那岐山の最高点を往復。水場の分岐、避難小屋を経て10分で山頂に到着。急に薄いガスが流れてきたが、それでも展望はまずまず。北東には氷ノ山扇ノ山、西北には泉山も確認できた。

 さあ、目の前に雄大な滝山に向かって縦走開始。きれいに刈り払われた笹の稜線で、快適なことこの上なし。自然と歓声が上がるほど。このまま鼻歌気分の良い調子で滝山まで余裕の縦走と思われた。

縦走路から那岐山を振り返る

 異変が起きたのは滝山の手前のピーク周辺であった。ルートの真ん中にアオダイショウが悠然と横たわっている。アオダイショウなら別に怖さは感じないが、実は同行者が山行前にこのコースをネット検索した時に、「滝山周辺でマムシを目撃」という記録文を見ていたので、マムシ出現の恐怖が一気に現実味を帯びてきたのである。

 一気に先頭を歩く私の姿勢がへっぴり腰となり、ペースも落ちる。その恐怖心をあざ笑うかのように、立て続けにアオダイショウが3匹出現。その都度山中に響き渡る私の悲鳴… そしてついに奴は現れた。滝神社への分岐の直前でふてぶてしくとぐろを巻いてこちらをにらんでいるマムシを発見。アオダイショウはこちらに気づいた途端に逃げていったが、こいつは全く逃げようとしない。何度も声や石を投げて威嚇して、ようやく奴は面倒くさそうに姿を消した。

展望ない滝山頂上

 ビビりの私は完全にパニック状態。分岐から滝山まで這うようなペースで泣きながら到着。おりしも滝山はガスで白一色。悲惨なムードも満点である。山頂のきれいな展望台に逃げ込み、善後策を検討する。しかし、蛇ごときで縦走中止など私の輝かしい?山歴に泥を塗ることになる。連れのK氏には虚勢を張って山行を続行する。

 ルートがブッシュ気味になるのが一番嫌だったが、幸いにも今までとおりの整備されたルートが爪ヶ城方面にも続いていた。しかも滝山を出てしばらくは、何故か1匹も姿を見せなかった。(ここで何匹か出ていたら、多分引き返して下山していただろう)
 今思うと奴らは日の当たるところで日光浴をしていたようで、日陰のところでは1匹も出なかった。滝山からしばらくは日陰が続いたので助かった。しばらく蛇が出ないので、久しぶりに回りの景色に目が行く。周囲の自然林はホンマに美しい。蛇さえいなければ良いコースなのに…

縦走路から爪ヶ城を望む

 那岐山〜滝山間はほとんどアップダウンは無かったが、滝山〜爪ヶ城間は900m弱の顕著な鞍部があり、嫌になるくらいに下る。蛇の恐怖心がだいぶと薄れてきた鞍部への大下りの最中に日の当たるポイントが何箇所かあり、ここでアオダイショウ3匹と今までで最大級のマムシ1匹が立て続けに出現! なんやこの山域は! 先に進みたくはなかったが、ここまで来てしまうと滝山に登り返す気力もなく、何とかマムシをやり過ごしてから、またしても超スローペースで進む。鞍部近くでは下生えの全くない階段の急降下になったので、これ幸いと鞍部に駆け下りた。

滝山〜爪ヶ城間の鞍部にて

 鞍部には「マムシ注意」の看板。何を今さらといった感じで怒り爆発である。ここからは爪ヶ城の北側をぐるりと4〜5時間かけて回る滝めぐりコースが分岐していた。爪ヶ城方面から降りてきた犬を連れたご夫婦がこのコースに進んでいった。マムシの早期探知に犬の存在はめちゃくちゃ羨ましく感じた。

 爪ヶ城へ登り返す。かなりの急登に加え、ブッシュが道を覆っているところも僅かながらあり、私は発狂寸前。最後は大声を張り上げながら爪ヶ城に到着。周囲の木々がうるさく余り展望はきかない。ともかくも蛇の恐怖からはしばしの解放。ここでランチにした。

爪ヶ城頂上

 後は降りるだけだが、気は抜けない。足下注意で慎重に下る。本峰すぐ下の爪ヶ城跡(三角点ピーク)に立派な展望台があり、那岐山、滝山のこれまでたどってきた山並みが一望。いつもなら縦走の満足感に浸るところだが、この日は「あの稜線には蛇が何匹いるのだろうか」と感想は蛇一色。

爪ヶ城跡からの那岐山・滝山

 矢櫃城跡への分岐を左に分けると、鎖場もある本格的な下りになる。地元では有名な山らしく、下から次々と登ってくるので、蛇への恐怖も幾分やわらぐ。と思ってたら雲海の丘の手前でアオダイショウ出現、これで計10匹の大台?に到達。こんなに一度に見たのはさすがに初めてだ。

爪ヶ城の下りから望む山形仙

 雲海の丘で小休止の傍ら、地元の日本原タクシーに連絡する。声ガ乢まで今から15分もあれば上がってくるというレスポンスの良さ。声ヶ乢までの最後の下りは、大きすぎるジグザグでなかなか高度が下がらないルートどりにヤキモキし、また、結構ブッシュがちで最後まで蛇の恐怖に怯えながらの下降となったが、もうこの日に蛇を見ることはなかった。

何とか声ヶ乢に下山

 我々の声ヶ乢到着とほぼ同時にタクシーも上がってきた。日本原高原を西から東へ一気に振り出しへ戻る。(3910円也) タクシーの運ちゃんにマムシの話をしたら、やっぱりこの辺りは多いらしい。しかもこの時期は産卵期でかなりマムシも気が立っているようだ。無事下山できて良かった。

 駐車場すぐ横の蛇渕ノ滝という標識が今山行を暗示していたのか… ムカついたので滝を見てやろうと思い、標識に従ったつもりだったが、こんな所で思いっきりルートミスをしてしまい(私に言わせれば標識の角度が悪すぎる!)、無駄な登り降りを10分以上もやらかしてしまった。やっとたどり着いた滝も特筆すべきものではなかった。最後まで「蛇」にやられた山行だった。
 気を取り直して温泉へ。美作インターに近い湯郷温泉に向かう。鷺温泉館は超満員でおまけに露天風呂工事中ということで、ゆったり気分からは程遠い状況だったが、汗を流せただけでも良しとしよう。
 途中、あまりの眠さでPAに駆け込む一幕もあったが、何とか夕刻には京都に帰還した。しかし、蛇さえいなければなあ… 那岐連峰は最高です。晩秋にでもまた行きたいです。

参考タイム

9/15京都市内(中京区) 03:0505:45 蛇渕ノ滝登山口 06:0006:55 大神岩 07:0507:20 八合目 07:2007:30 那岐山三角点 07:3007:40 那岐山最高点 08:0009:05 滝山 09:2510:10 滝山・爪ヶ城鞍部 10:2010:55 爪ヶ城 11:3011:35 爪ヶ城跡(三角点ピーク) 11:4012:10 雲海の丘 12:1512:35 声ヶ乢 12:4513:05 蛇渕ノ滝登山口 13:2513:55 湯郷温泉 15:0018:30 京都市内

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