−4日連続快晴の完全無欠の大縦走! トムラはいつも光り輝いていた…−
山行概要
2016年7月6日(水)〜9日(土) | ||
大雪連峰 | ||
MM(♀)、KN(♂)、私 | ||
クチャンベツ沼ノ原登山口=2:00=沼ノ原分岐=0:30=大沼=0:40=五色の水場=2:55=五色岳=0:40=忠別岳避難小屋分岐=0:15=忠別岳避難小屋【7:00】 | 忠別岳避難小屋=0:10=忠別岳避難小屋分岐=0:45=五色岳=1:35=化雲岳=0:30=ヒサゴ沼分岐=1:40=北沼=0:40=トムラウシ=0:35=北沼=1:50=ヒサゴ沼分岐=1:45=五色岳=0:30=忠別岳避難小屋分岐=0:15=忠別岳避難小屋【10:15】 | 忠別岳避難小屋分岐=0:20=忠別岳避難小屋分岐=0:50=忠別沼=1:55=高根ヶ原分岐=1:15=白雲岳避難小屋C.S.=0:20=白雲岳分岐=0:25=白雲岳=0:30=白雲岳分岐=0:10=小泉分岐=0:25=赤岳=0:15=小泉岳=0:30=板垣新道分岐=0:10=緑岳=0:10=板垣新道分岐=0:20=白雲岳避難小屋C.S.【7:35】 | 白雲岳避難小屋C.S.=0:20=白雲岳分岐=1:05=北海岳=0:55=間宮岳分岐=0:20=裏旭キャンプ指定地=0:35=旭岳=1:00=姿見ノ池=0:15=姿見駅【4:30】 |
記録文
やっぱりトムラに今年も行きたくなった。ならば、2年連続失敗している、石狩岳からの縦走を企むのが順当だが、去年、石狩岳を日帰りで登ってしまったのと、今回、登山経験の浅い職場の仲間と休暇日程が合ったこともあり、未だ未踏の沼ノ原からのコースに決めた。
そして、体力的負担を軽減するため、忠別岳避難小屋をベースに2泊し、トムラを空荷で往復してから、白雲で1泊し、旭岳に抜ける、3泊のプランとした。
7/5 晴れ
いつものように北海道へは激安のピーチを使う。片道15000円ほどなので、貧乏人はこのチョイスしかない。
MKのシャトルで4時前に自宅を出発。関空の第2ターミナルには6時に到着し、無事7時5分発のフライトで新千歳へ。ここまでは昨年の行程と全く同じである。
ガスカートリッジを確保するため、いつものようにスノーショップの到着店に向かうが、改修中で店が無くなっていた… 2階にもスノーショップの出発店があるので、陳列されてなかったが、店員に聞いたら奥から出してきてくれた。カートリッジ3個無事ゲット!
そして、今年は札幌経由で旭川へ向かう。
旭川着は12時25分。この日は層雲峡に入るだけなので、時間に余裕がある。それに接続も良くなく、JR石北本線は次の上川行まで、2時間半もある…
そこで、盛大に前祝をやることに。昼呑みの場所に選んだのは、「まつじん」こと「松尾ジンギスカン」旭川支店。私は生大で昼から昇天!
ベロベロになって鉄道で上川駅へ。さらにバスに乗り換え、やっと層雲峡に着いたのは、16時半になっていた… 何とも長いアプローチ…
今日は層雲峡温泉のノーザンロッジに投宿。3人で素泊まり計10000円とコスパも良好。温泉を堪能し、近くのコンビニで最後の買い出しを行い、またも宴会… 泥酔して寝た。
7/6 曇り後快晴
3時に起床。泥酔状態で意識不明になった私は、掛け布団無しで寝ており、起きたら、喉がめっちゃ痛い… 迂闊にも風邪をひいてしまった! 迂闊すぎる…
それでも行くしかない。糖質絶賛制限中(笑)の私は、納豆3パックとヨーグルトでエネルギーチャージ!
4時に予約していた層雲峡観光ハイヤーさんのタクシーで、一気にクチャンベツ沼ノ原登山口へ。10、000円也(涙)…
登山口は広場になっており、車は1台のみだった。どんよりとした曇り空の下、5時前にスタート。満載状態で20キロ弱のグレゴリーバルトロ85が軋む。重い!
深い森の中をゆるやかに登っていく。クチャンベツ川支流のニシキ川を渡り、しばらく進むと、急登が始まる。泥濘の道で、歩きにくいことこの上なし。
何とか急登を突破すると、ゆるやかな台地に出るが、お目当ての沼ノ原へは、まだ着かない。見通しの利かない森をしばらく進む。
徐々に、木々の背が低く、また疎らになり、そして、木道が現れると、ついに、広大な沼ノ原の一角に到達!
高曇りの天候で、主役のトムラの姿はガスに隠れているが、石狩岳をはじめ、東大雪連峰が眼前に広がり、みな歓声を上げる。
石狩岳への分岐に到着。本来なら、ここに出てくるはずだったが…
分岐の僅かな砂地のスペースにテントが一張り。ここはテント指定地ではない。石狩岳から縦走して来たと言う羨まし過ぎる御仁に話を聞くと、「本来の大沼の指定地が、大沼の満水により水没しているので、止む無く、ここに張った」とのこと。
そうこう言っているうちに、トムラを覆っていたガスが飛び、ついにその全貌が明らかになった。我々のテンションがさらに上がる!
目に映るもの全てが絶景の沼ノ原を木道で進む。石狩岳分岐から30分ほど歩いた大沼は、やはり満水で、テントを張る砂浜は全く無かった。
大沼をぐるりと反時計に回り込むと、木道は終了。沼ノ原を後に、五色ヶ原へ向かう。泥濘に時折足を取られながら、ゆるやかな下り基調で進むと、五色の水場に到着。水量豊富な水場で、ここで各自1リットルほど補給する。
水場からしばらく急登となる。喘ぎながら登ること1時間ほどで、再び、ゆるやかな台地に到達。広義ではもう五色ヶ原の一角と言ってよいのだろう。以降、五色岳まで、高原状の地形が続き、急登はない。
しだいに残雪が現れるようになり、やがて幾度も広大な雪原を縦断するようになる。踏み跡が不明瞭で、どこがルートかよく分からないが、基本的には、雪原に突入した角度のまま、上方に上がっていけば、登山道に再合流できる。
しかし、今日の天候なら問題ないが、ガスに巻かれると、たちまち難渋すると思われる。油断できないコースである。
徐々に薄日が差すようになり、気温も上がってきて、雪原の末端では踏み抜き注意である。我々も何度も罠にハマった…。
残雪の無い箇所に、再び木道が現れ、一般的に五色ヶ原と呼ばれる一角に入ったことを知る。
傾斜はよりゆるやかになり、常に視界に入るトムラはより立派になってきた。
木道が太くなった箇所で大休止し、お湯を沸かしてティータイム。高原を満喫する。
唯一、残念だったのは、花のシーズンには少し早かったことか… 広大なお花畑を堪能することはできなかった。
果てしなく続くように見えた、広大な緩斜面もついに終わりの時が来た。五色岳に到着。
私は何と21年振りの再登である。
空はすっかり晴れ渡ってきた。展望は言うまでもない。
トムラは当然、一番目立つ。
そして、岩壁が印象的な忠別岳の背後には、旭岳をはじめ、表大雪の面々が並ぶ。
もう本日の目的地である忠別岳避難小屋まで1時間を切ったので、五色岳で心ゆくまで展望を満喫する。いや〜最高!
満ち足りて、五色岳を後にする。急坂を一気に下ると、コマクサの咲くゆるやかな稜線歩きとなる。
忠別岳との鞍部に避難小屋への分岐があり、右折。
いったん、これまでと逆方向に下る。五色岳が真正面だ。
大きな雪原を2つ下ると、避難小屋が建っていた。
避難小屋着14時。急な登りがほとんどなかったので、体力的には余裕だった。これなら酒をもっと担いできたら良かった!(ビール350ml×3、焼酎220ml×3、ウイスキー250mlのみ)
先客はオッサン1人。平日で本格的なシーズン前なので、あまり混まないと判断し、テントではなく、小屋泊まりとした。
水場は残雪が多過ぎて、小屋近くに流れがなく、仕方なく、小屋上方の雪原2つの間にある流れから採取した。
行動中、まとまった食事をしてなかったので、16時頃から宴会開始! 後で到着した男女2人組(ガイドと客のプライベート山行で、ガイドが「ハリー」(日本人だが…)、客の女性が「悪魔」と呼ばれていた…)と盛り上がって、まだ明るい19時には酔いつぶれて寝た。
7/7 快晴
いよいよトムラへアタックする日。標準コースタイムは10時間を超えるが、サブザック行動なので、何とかなるだろう。水は各自1リットル程度しか持たずだが、残雪が多いので、これも何とかなるでしょう。
3時過ぎには白み始めるこの時期の北海道に合わせ、気合で2時起床、3時25分に出発する。
既にヘッドランプは不用である。雪原を登り返し、快調に五色岳へ。
赤味を帯びたトムラが出迎えてくれた。
化雲岳へは、ハイマツが密生する稜線を行く。夜露を心配していたが、あまり気温が下がらなかったので、全く濡れてなかった。
ハイマツ帯を突破すると、木道が敷設された、たおやかな高原が広がる。進むにつれ、池塘が頻出し、ウルップ草やチングルマ等が咲き乱れる、まさに地上の楽園状態となる。
通称「神遊びの庭」と呼ぶらしい。言い得て妙である。スマホの撮影が止まらない。
雪にべったりと覆われ、ルートが判然としない巻き道を分けると、化雲岳への最後の登りとなるが、大した登りでなく、余裕でピークに到達。
ピークには、化雲岩と呼ばれる巨石がポツンと立っている。今さらとしか言いようがないが、360度の大展望。十勝連峰の奥には、芦別や夕張岳の姿も見える。そして、遥か西方には、暑寒別岳の姿も…
ピークからゆるやかに下り、ヒサゴ沼へ続く木道を分けると、本格的な下り道となる。
一気に下り切ると、再びヒサゴ沼への分岐があり、ここから巨石が乱立する地形となり、いよいよトムラの城塞の中に入り込んだことを知る。
地形に占める巨石の割合はどんどん高くなり、やがて、岩しか見当たらない状態となる。
巨石の間をリズミカルに飛びながら進んでいく。
そして、ポイントポイントでは、小沼や雪田が現れ、全く飽きさせない。
夢のような登行が続く…
本峰を阻む最後の壁。これを越えると北沼だ!
本日一番の急登に取り掛かる。振り返れば、これまで歩んできたトムラの世界が眼下に広がる。
この急登を撃破すると、ついに、トムラを守る前衛部隊はなくなった。
打って変わって穏やかな平原が広がる。
目の前には、剥きだしになった、トムラの王冠部分、本峰が迫る。そして、その下には、豊富な残雪で、怪しくブルーに光る北沼が見下ろせる。
ここは本当に日本なのか? 今は本当に7月なのか?
北沼畔はまさに天国だった。頭上には雲一つない。これだけ天候に恵まれるとは… 日頃の行いを自画自賛する間抜けな3人である。
さあ、最後のアタック。巨石が積み上がる急登をグイグイ登っていく。テンションMAXの我々の前に、もはやトムラは無力であった… あっけなく3年振り3度目の登頂に成功!
2連続の快晴に嬉しさもひとしおである。
ピークは10名程の登山者で賑わっていた。忠別避難小屋で同宿だった2人とワイワイ盛り上がる。そして、2人の仲間の「ザキヤマ」が遅れて到着。何と今朝、クチャンベツ沼ノ原登山口を出発し、トムラに到達したらしい。物凄い健脚である。
のんびりと湯を沸かし、大展望のピークで至福のひと時を過ごす。
南方には、オプタテシケをはじめ、十勝連峰が全開! 3年前は正に激闘だった…
景色が良すぎて、トムラウシピークには1時間以上の長逗留となった…
さあ、戻ろう! 北沼を見下ろしながら、悠々と下る。
巨石地帯を再び突破し、ヒサゴ沼分岐へ大きく下る。
遥か化雲岳ピークに鎮座する化雲岩目指し、登り返していく。
化雲岳への登り返し。帰路はピークを通らず巻き道を通ったが、この巻き道、ほぼ8割方が残雪に埋もれていた。気温が上がってきたので、これは涼しくて助かった。
往路に合流し、再び神々の庭へ。ニペソツ岳にまた再登したい!
五色岳では、例の3人組が宴会しており、すっかり出来上がっていた…
3人組の絡みから逃げるようにピークを後にし(笑)、忠別岳避難小屋には15時着。
我々も16時から宴会を開始し、小屋に戻ってきた3人組と合流し、大騒ぎとなった。特に「ザキヤマ」氏はベロベロで、トムラを1日で落とした勇者の面影は全く失せていた(笑)
この日も19時頃には就寝。微風快晴の最高の1日だった…
7/8 快晴
本日も2時起床、3時10分発。本日も完全無欠の快晴となった。昨日の晩で水を使い過ぎたので、各自500ml程度しか持っていないが、昨日同様、残雪で何とかなるでしょう。
「ハリー」一行に別れを告げて出発。
今日はザックを背負うが、2日分の食糧と酒を消費したので、幾分軽くなった。快調に稜線へ復帰し、北へ忠別岳の登りにかかる。21年前とは逆の行程だ。
忠別岳へは、標高差300m弱。腰を据えてじっくり登る。
頂上直下はキバナシャクナゲの大群落が迎えてくれた。
忠別岳は非対称山稜の典型のような山だ。西側は岩壁で切り立っているが、東側は天国的な穏やかさである。
目指す白雲岳は、相当な遠さに見えるが、高根ヶ原をはじめ、ほとんどなだらかな地形が続くので、そんなにかからないのだろう。
忠別岳を後に、北へ向かう。
一気に下ると、忠別沼の畔に出た。
ここも残雪と高山植物の群落とで、地上の楽園と化している。
昨日のトムラウシ北沼と甲乙つけがたい…
沼からは急斜面の雪田登りがある。これを早朝の雪が堅い時期に下るとしたら、少し嫌らしいと感じるところだが、登りでは特に問題なし。
登り切ると、高根ヶ原の一角となり、以降、延々と、なだらかな登りが続く。忠別岳とは逆に東側が切り立ち、西側がなだらかな地形である。
高根ヶ原の東側は切り立っており、崖に沿って進む
絶壁の下には高原沼が眩しく光る。背後は音更山と石狩岳。
当初の目論見どおり、平坦過ぎる高根ヶ原ゆえ、白雲岳がどんどん近づいてくる。避難小屋もはっきりと分かるようになってきた。
平坦地が尽き、いよいよ白雲岳に取り付く。避難小屋への登りは、巨大な雪渓上を行く。
振り返ると、大雪渓のはるか彼方にトムラが聳え、本州では味わえない圧倒的なスケール感を満喫する。
雪渓を登り切ると、白雲岳避難小屋に到着。すれ違った方の情報では、昨日、一昨日と結構な混雑ぶりと聞いていたので、山中最後の晩は、テントを張ることに。
自慢のヒルバーグソウロ。
小屋のすぐ下のテント場は、まだ残雪が大量に残っており、地表が現れている個所も半分はドロドロで、雪上に張った方がマシといった状況だった。
到着時間が早かったので、何とか乾いた地面のスペースを確保し、強風に悩まされながらも、テントを設営する。
軽食&ティータイムを取り、今度はサブザックで白雲岳へ向けて出発する。
白雲岳へのトレイルは、水場の奥から始まっている。稜線の白雲岳分岐まで、ひたすら登りが続くが、半分くらいは雪上を歩いただろうか。
白雲岳分岐では、北鎮岳や黒岳等、これまで見ることのなかった表大雪の面々が登場。「ここまで来たか」との感慨が溢れる。
ピークへのトレイルに入る。山頂近くには、グラウンドのような広大な平坦地が広がる。ピークの岩頭へは、これまでの行程で最大斜度の雪の壁を越えていかなければならない。
ド快晴の真昼間ということで、雪はグズグズで難なく突破した。
大勢の人で溢れる白雲岳山頂からは、旭岳の残雪と土の縞模様が見事だ。
そして、南方面はトムラが圧倒的に高い… 遥か東方には、斜里岳、雌阿寒岳、雄阿寒岳といった道東の名山も顔を覗かせている。
はるばる北海道に来て、これだけ快晴に恵まれるとは… 3人はまたしても日頃の行いを自慢し合うのであった(笑)
急傾斜の雪壁を慎重に下り、分岐へ戻る。まだ13時前で、時間がたっぷりあるし、何と言ってもこの好天を無駄に出来ないということで、向かいの小泉岳方面へ足を延ばすことに。
小泉分岐へ登り返し、赤岳へは、いったんゆるやかに左へカーブしながら下って行く。ほとんど木々のない裸の山稜で、風をモロに受ける。
赤岳は小さな岩頭の山で、特筆すべきものはないが、ピークハンターとしては、未踏の山を踏めて大満足であった。
北方は、ニセイカウシュッペ山がひと際目立つ。
それにしても、3日続きの快晴で、顔面と首が完全に紫外線に破壊された。もう年だし日焼け止めちゃんと塗らないとな…
小泉分岐に戻り、南へ向かう。平坦な小泉岳を通過し、緑岳に向かってのんびり下って行く。こっちに来て、裸の山稜は相変わらずだが、高山植物がグッと増えた。
小泉岳〜緑岳の鞍部は、白雲岳避難小屋へ向かう板垣新道が分岐するが、まずは緑岳の攻略へ。登りらしい登りもないまま、緑岳へ。
ずっと展望の良い稜線沿いに歩いてきたので、ピークだから特別何がある訳でもないが、先ほどの赤岳と同様、未踏のピーク攻略は嬉しい限りである。
この日の最後は、板垣新道。白雲岳避難小屋までのトラヴァースルートは、9割方雪の上だった。爽快な気分でテント場に帰着。
今日も結果的にコースタイムは10時間を超えたが、ド快晴の中、山を楽しみ尽くせるのだから、疲労感はあまりない。
テント場に1つだけあるテーブルを半分使わせてもらい、この日も16時から宴会開始!
満ち足りた気分でこの日も熟睡した。
7/9 快晴
あっと言う間に最終日になってしまった… この日は下山後の時間的余裕が欲しかったのと、テントの撤収で時間がかかることから、何と1時半起床である。
思惑通り、3時には、食事とテント撤収を無事済ませ、出発することができた。ヘッドランプを装備して歩き出す。今日も快晴のようだ。結局、1滴の雨も降らなかった。何と恵まれているのでしょうか? 昨日も辿った稜線への登り道をスローペースで登る。
白雲岳分岐では、空はすっかり白んできた。北海岳へ向けて、のんびり下って行く。
コースは、花ノ沢源頭の広大な雪田を巻きながら進んでいく。花ノ沢は、最後は層雲峡の銀河の滝となって石狩川に流れ込む支流である。
特徴的な山容の烏帽子岳の背後から日が昇る。
雪田を突破し、地表部分が現れた砂地の斜面を行くが、この辺りは「フラワーロード」と呼ばれるとおり、百花繚乱の状態だった。
北海岳へは、ゆるやかな登りがダラダラと続く。空の色が、紅色から、すっかり青空に変わる頃、北海岳の山頂に到着。
ついに裾合平の大火口が全貌を表す。対岸の北海道bQ北鎮岳のボリュームが圧倒的だ。そして、「ラスボス」のbP旭岳もだいぶ近づいてきた。
北海岳は私は再登だが、前回は黒岳からやって来たので、これからたどる間宮岳分岐までは初見となる。
荒涼とした砂地の稜線(火口壁)を時計回りにたどる。松田岳、荒井岳を越えていくが、どちらも特徴のないピークである(標識もない)。
間宮岳分岐に到着。これで11年前のトレースと繋がり、裾合平の一周が達成できた。そして、ついに「ラスボス」旭岳を阻む前衛峰はなくなった。いよいよである。
分岐から、裏旭のキャンプ場へゆるやかに下って行く。キャンプ場は地表がだいぶ出ていたが、キャンプ場から旭岳へは、すぐに雪の斜面となる。
上部に行けば行くほど、傾斜が強まり、最上部はかなりの急傾斜のようだ。雪が凍っていたらアイゼンが必要な感じだが、6時過ぎで既に雪はザラメ状で、これなら問題なしである。
さあ、4日間に渡った山行の最後の登りだ。雪を蹴り上げながら登っていく。見た目通り、登る程に傾斜は強まり、最上部で振り返ってみると、少々足が竦むほどだ。
とは言いながら、最後までステップがしっかりと作られていたので、何の問題もなく、雪渓を突破した。
この先の方が問題だった。急な砂地の斜面で、安定した足場が全くなく、重荷を背負っての登りは辛い。3歩上がって2歩下がる感じである。
「これが最後」と歯を食いしばりながら、何とか急傾斜地を突破すると、一転、ゆるやかな登りとなり、登山道の両サイドは、キバナシャクナゲが満開で迎えてくれた。
旭岳6時50分着。11年振り3度目の登頂。遥か彼方にトムラが聳える。「ついにここまで来たのだ…」 そして、さらに沼ノ原も確認できる。3年前の十勝〜オプタ〜トムラ大縦走に匹敵する満足感だ。
あと数時間もすれば、喧噪状態になるところだが、我々以外に誰もいないのも素晴らしすぎる! 早出は大正解だった。
満ち足りて、今山行の最終行程に入る。観光客でも登ってくるルートだが、砂礫の急坂でスリップ注意。油断した私も派手にコケてしまった…
運行の始まったロープウェイが到着する度に、大量の登山者が吐き出され、登ってくるので、それを掻き分けながらの下山となった。
ロープウェイ姿見駅には、8時半着。正にパーフェクト、完全無欠の山行が終わった…
ロープウェイ山麓駅に到着。とりあえずビールが飲みたいが、ここはいったん自重して、駅近くの広場で、夜露に濡れたテントを干す。
売店の開いた10時から揚げ物のスナック等をつまみに乾杯!!! サイコ!〜
11時15分発のバスで、1キロあまり先の旭岳温泉入り口バス停で下車し、湧駒荘(ゆこまんそう)さんへ。
含土類食塩、石膏泉の源泉掛け流し湯を、次の14時17分のバスまでゆったりと堪能する。完全に体がフヤケました〜
予定どおり、14時17分発の旭川駅行き「いで湯号」に乗り込む。ところが、乗って30分後にエンジン不調のため、バス乗り換えの事態に…
さらに、乗り換えたバスが、旭川近くに来て、今度はクラクションが鳴りやまないという、とんでもないトラブル発生! バスの前を進む車は大迷惑だったことだろう… 旭川電気軌道鰍ウん、バスの整備頼んまっせ〜
めっちゃおもしろかったが、結果として、旭川駅着が30分ほど遅れ、16時半発の「スーパーカムイ34号」で札幌へ。
札幌には18時前に着き、すすきの近くの今宵の安宿まで、タクシーを飛ばし、チェックインしてから、すすきのの私の行きつけの「おが」さんへ。
4年連続での訪問(去年はこんな感じ…)。まずはキンキのしゃぶしゃぶ!
そして、毛ガニ他で、大祝勝会〜
この後も、ジンギスカン、ショットバーと、2次会、3次会が延々と続いたのであった…
7/10 曇り
昨晩あれだけ飲んだのに、性懲りもなく7時には二条市場に突撃!
「大磯」さんに入店し、朝っぱらから酒をあおり、それぞれ好みの海鮮丼を頼み、一品にも舌鼓を打つ。
新千歳空港の「スープカレーlavi」さんで最後のフィーバー! 11:30
そして、新千歳空港に移動し、ここでも「スープカレーlavi」さんのエビスープ仕立てのカレーに悶絶!
最後までやりたい放題の2016夏の北海道の山旅だった。
参考タイム
7/6 | クチャンベツ沼ノ原登山口 4:55 ⇒ 6:55 沼ノ原分岐 7:00 ⇒ 7:30 大沼 7:35 ⇒ 8:15 五色の水場 8:25 ⇒ 10:40 休憩 11:15 ⇒ 11:55 五色岳 13:00 ⇒ 13:40 忠別岳避難小屋分岐 13:40 ⇒ 13:55 忠別岳避難小屋 |
7/7 | 忠別岳避難小屋 3:25 ⇒ 3:35 忠別岳避難小屋分岐 3:35 ⇒ 4:10 五色岳 4:10 ⇒ 5:45 化雲岳 5:50 ⇒ 6:20 ヒサゴ沼分岐 6:20 ⇒ 8:00 北沼 8:05 ⇒ 8:45 トムラウシ 10:00 ⇒ 10:35 北沼 10:35 ⇒ 12:25 ヒサゴ沼分岐 12:25 ⇒ 14:10 五色岳 14:15 ⇒ 14:45 忠別岳避難小屋分岐 14:45 ⇒ 15:00 忠別岳避難小屋 |
7/8 | 忠別岳避難小屋 3:10 ⇒ 3:30 忠別岳避難小屋分岐 3:30 ⇒ 4:40 忠別岳 4:50 ⇒ 5:40 忠別沼 6:00 ⇒ 7:55 高根ヶ原分岐 7:55 ⇒ 9:10 白雲岳避難小屋C.S. 10:55 ⇒ 11:15 白雲岳分岐 11:25 ⇒ 11:50 白雲岳 12:10 ⇒ 12:40 白雲岳分岐 12:45 ⇒ 12:55 小泉分岐 12:55 ⇒ 13:20 赤岳 13:25 ⇒ 13:40 小泉岳 13:40 ⇒ 14:10 板垣新道分岐 14:10 ⇒ 14:20 緑岳 14:25 ⇒ 14:35 板垣新道分岐 14:35 ⇒ 14:55 白雲岳避難小屋C.S. |
7/9 | 白雲岳避難小屋C.S. 3:05 ⇒ 3:25 白雲岳分岐 3:30 ⇒ 4:35 北海岳 4:40 ⇒ 5:35 間宮岳分岐 5:50 ⇒ 6:10 裏旭キャンプ指定地 6:15 ⇒ 6:50 旭岳 7:10 ⇒ 8:10 姿見ノ池 8:15 ⇒ 8:30 姿見駅 |
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