−やや単調ながらもアルプスを常時バックに安曇野を往く…−
山行概要
2019年5月4日(土) | |
塩の道 | |
快晴 | |
単独 | |
JR信濃大町駅=0:25=館之内仁科氏居館跡=0:50=佐々屋幾神社=0:05=盛蓮寺=0:25=仁科神明宮=0:15=竈神社=0:45=池田一丁目=0:20=宇佐八幡宮=0:20=内鎌延命地蔵尊=0:45=JR安曇追分駅=1:15=JR穂高駅【5:25】 |
記録文(写真はクリックで拡大)
5時に起床。この日も快晴!
快晴の空に、有明山と燕岳が映える。
近所のファミマで朝食を取ってから、JR穂高駅へ。穂高駅から穂高神社を挟んで南東方向に5分ほど歩いたところに登山者も利用できる無料の大駐車場が整備されていたのを知っていたので、そこに車を止める。
穂高駅からもアルプスが全開! 常念岳(右)と蝶ヶ岳(中)が眩しい…
そして、6時30分発の大糸線始発で信濃大町にバックする。
快晴の空の下、信濃大町駅を出発! 駅東の踏切で大糸線を渡り、県道51号線を南下する。
松崎という交差点の少し先で、左に分かれる細道に入り、徐々に大町市街の東側の高台を進むようになる。
そうなると、俄然、反対側のアルプスの見栄えが良くなってくる。
左から、爺ヶ岳、鹿島槍、五竜岳が並ぶ。壮観!
ゆるやかに反時計回りにカーブしながら、徐々に東へ方向を変えていくと、館之内という集落に入り、公民館の前に仁科氏居館跡があったことを示す案内板が立っていた。
ここには、平安末期から戦国時代まで大町地域を中心とする安曇地域を治めてきた仁科氏の初期の居館があったらしい。このため、「館の内側」という意味で「館之内」という集落の名前がついたらしい。
仁科氏は、室町時代の初めごろには、現大町市街地の天正寺のある位置に居館を移したが、南東の山の上にあった木船城との関係から戦国時代まで舘は使用されていたらしい。
館之内集落には、今も「堀跡」、「クネ内」、「縄手」など居館に関係した地名が残っている。
居館跡前の水田からは、白馬から蓮華岳までが一線に並ぶ。このためなかなか先に進めない…
木舟という集落に入り、以降南下を続ける。細い舗装路で車の往来はほとんどなく、静かな街道歩きが楽しめる。
さらに南下した山下という集落まで来ると、今度は餓鬼岳が真正面になって来た。
これだけ安曇野から立派に見えていたとは、迂闊にも初めて気づいた…
閠田(うるうだ)という集落に入ってくると、佐々屋幾神社が東の山側の森の中に建つ。
江戸時代までは私言(ささやき)大明神と呼称され、その後、私言(ささやき)が佐々屋幾(ささやき)と変化したらしいのだが、垂神天皇(紀元前23年〜70年)の御代に安曇の地を開拓した仁品王が、仁科神明宮を建立し、その参拝時に家臣日光白水朗の妹を見初め私言かれたので、妹は御所にあがり妹耶媛の名を賜り王の妻となり、仁科氏の祖となったという伝承が残り、それが「ささやき」の由来となったという事らしい。
佐々屋幾神社のすぐ南が曽根原という集落で、西に少し寄り道したところに、盛蓮寺(じょうれんじ)という重文を持つ寺院があったので、少し寄り道。
盛蓮寺の創建は不詳だが、古くは七堂伽藍が軒を連ねる大寺だったとされ、鎌倉時代の中期になると、この辺りを治めていた仁科氏の祈願所となり、現在地に移されたとされる。
画像の観音堂は文明2年(1470年)の建築で松本平最古の寺院建築である。木造平屋建、三間四面、寄棟造り、茅葺形銅板葺(当初は茅葺)、平入、室町時代中期に建てられた御堂建築として貴重な存在であり、既に昭和24年(1949年)には国の重要文化財に指定されている。
この他、本尊の如意輪観音像(市指定文化財・鎌倉時代)、薬師如来像(同・室町時代)など貴重な文化遺産を所蔵している。
盛蓮寺から南下し、宮本集落に入り、左折し、仁科神明宮へ。いよいよ国宝の本殿を拝む時が来た。
この辺り安曇野一帯は古来諏訪神社と穂高神社の信仰が篤かった地域であるが、神明宮に関する限り、創祀以来御祭神は天照大神の御一座のままである。
勧請した伊勢の外宮にならい、仁科神明宮も20年に1度、社殿の造営を行う式年遷宮を行ってきた。南北朝時代の永和2年(1376年)からの造営棟札は、すべて保存されており、重要文化財に指定されている。
600年を超える長い間1度も欠かすことなく奉仕されその記録を遺してきたことは全国に例がなく、最古の神明造を持つ神社と言われている。
仁科氏が主家の武田氏と共に滅亡してからは、松本藩主がこれに代わって式年遷宮を奉仕したが、寛永13年(1636年)の造替を最後として、その後は全て新築ではなく修造に留まり現在に至っている。現在の社殿は、寛永造替時のものと推定され、300年を経ている。
そして、ちょうど本年の令和元年(2019年)が式年遷宮に当たっており、国宝の本殿は、素屋根に囲われてしまい、残念ながら全貌を眺めることができなかった…
仁科神明宮を後に、街道を南へ。徐々に南西方向に進路を変え、池田町に入り、正科集落へ。ちなみに信州は「科(しな)」の付く地名が多いが、これは「階(しな)」から来ており、傾斜地の多い地形を指すらしい…
正科集落には、竈(かまど)神社が鎮座する。元禄8年(1695年)に建てられたという記録が残っており、そこには「荒神」と記されている。「荒神」とは、台所の神様のことで、屋内の火の神または火伏せの神として“かまど”に住む神様とされ、奈良時代から始まった、神仏習合により生まれた神様である。
毎年敬老の日とその前日の例大祭では、舞台曳き、舟曳き、獅子舞、岡崎踊りが行われる。岡崎踊りとは、絶世の美女と噂された遊女と丁稚奉公の醜男の恋物語を踊ったものらしい。
竈神社から西側の県道51号線に出て、高瀬川左岸の平坦な車道をひたすら南下する。アルプスの展望はあるものの、単調で、気温が上がってきたのもあり、ダルい…
何とか池田町の中心部らしい池田一丁目の交差点へ。少し南の駐車場とトイレのある交差点で右折し、県道の1本西の筋を南下する。
すぐに十王堂と石仏群が道の左側に佇んでいた。
「十王」とは、冥界にあって死者の罪業を判断する10人の王のことであり、生前に十王の供養をすることにより、その罪を軽くしてもらうことができるとの信仰から祀られたのが十王像であるとのこと。
ここからも単調… 集落を抜けると一面耕作地となり、ひたすら南下を続ける。
救いはアルプスの姿だ… 有明山(中)と左奥には、燕岳をはじめ表銀座の面々が…
朝には近くに見えていた、鹿島槍と爺ヶ岳も、遥か彼方になった…
畑の中にポツンと森があるなと思ったら、宇佐八幡宮だった。
その名の通り、建久年間(1190−98年)、本家の宇佐八幡宮より御分霊を勧請し、村の産土神として祀ったと伝えられている。
毎年9月中旬の例祭では、舟曳きも行われているとのこと。
さらに南へ。内鎌という集落に入って来た。
地蔵堂が石仏とともに公民館の敷地に建っている。
内鎌集落は過去に高瀬川の氾濫で随分痛めつけられていることから、水難からの無事を願って延命地蔵に祈願したと考えられている。
ついに単調な道とお別れ… 十日市場という集落で直角に西に方向を変え、高瀬川へ。そして高瀬橋で川を渡る。
ここからもアルプスが素晴らしい! 餓鬼岳(右奥)、有明山(中)、燕岳(左奥)が眼前だ…
そして、後立山連峰! 右奥の遥か彼方に聳える白馬の山麓を2日前に歩んでいたのだ… なかなかに感慨深い…
橋を渡ると安曇野市(旧穂高町)に入り、安曇追分駅は近い。
「追分」の地名は、この近くで千国街道の池田通り(私が歩んできた高瀬川左岸のルート)と松川通り(高瀬川右岸ルート)が分岐するからである(大町市で合流する)。
信濃追分駅から先も住宅地と耕作地のミックスする中を舗装路が続く。
この辺りまで来ると、有明山が正面に見えるようになり、より「信濃富士」らしくなってきた。
安曇追分〜穂高駅は、土塀の蔵を持つ、立派な古民家が多い。
多くの家族連れで賑わう、かじかの里公園の横を抜けると穂高橋で、ようやく穂高駅が近づいてきた。
穂高橋を渡ると、烏川沿いにしばらく西に進んでから、南へ穂高駅を目指す。
最後は相当気温が上がり、汗だくでの到着だった。本日の予定終了〜 いよいよ明日はゴールの松本だ…
明日の行程は短めなので、まだ未登の一等三角点百名山、美ケ原の武石峰に登ってから、塩の道を再開しようと思っていたので、美ヶ原の麓の浅間温泉で車中泊しようと思い、向かったが、温泉街に24時間開放してそうな駐車場が見つからず、やむなく目星を付けておいた日帰り温泉もある「なぎさライフサイト」という巨大商業施設の駐車場で寝ようと思い、転進したが、ここも24時間供用している駐車スペースが全部埋まっていた(多分、松本駅まで徒歩15分くらいのところで、無料なので、施設に用が無い者も相当止めていると思われる…)。すぐに空きそうになかったので、仕方なく、今旅で既に2泊して勝手知ったる、穂高の「安曇野しゃくなげの湯」へ向かい、この日は15時過ぎから(笑)車中宴開始!
この日も風呂に沈没し、18時過ぎには就寝(笑)、爆睡した…
参考タイム
5/4 | JR信濃大町駅 7:10 ⇒ 7:35 館之内仁科氏居館跡 7:35 ⇒ 8:25 佐々屋幾神社 8:25 ⇒ 8:30 盛蓮寺 8:35 ⇒ 9:00 仁科神明宮 9:15 ⇒ 9:30 竈神社 9:30 ⇒ 10:15 池田一丁目 10:15 ⇒ 10:35 宇佐八幡宮 10:35 ⇒ 10:55 内鎌延命地蔵尊 10:55 ⇒ 11:40 JR安曇追分駅 11:45 ⇒ 13:00 JR穂高駅 |
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