大峰山縦走

大峰山縦走


【日 程】平成3年5月3日(金)〜6日(月)
【メンバー】男4人
【コースタイム】5/3 近鉄橿原神宮前駅=TAXI=大峰大橋=0:35=一本松茶屋=1:45=山上ヶ岳=0:40=小笹ノ宿C.S.【3:00】
     5/4 C.S.=0:30=阿弥陀ヶ森=0:10=脇宿跡=0:50=大普賢岳=0:55=稚児泊=0:30=七曜岳=1:10=行者還小屋=1:00=一ノタワ=1:40=聖宝ノ宿=0:55=弥山小屋C.S.【7:40】
     5/5 C.S.=0:20=八経ヶ岳=1:35=舟ノタワ=1:35=孔雀覗=1:00=釈迦ヶ岳=0:30=深仙宿=0:20=太古ノ辻=1:05=前鬼C.S.【6:25】
     5/6 C.S.=0:50=不動滝=1:25=前鬼口バス停【2:15】

【記録文】
5/3 霧
 私の怠慢から下市口からのタクの予約が取れず、橿原神宮から倍の金額をかけて大峰大橋へ乗りつける。大橋から見上げる大峰の稜線は真っ白。先が思いやられる。ここで食糧、団装の分担をする。
 女人結界のゲートをくぐり、いざ出発。『ようお参り』と声を掛け合いながらの登行である。洞辻茶屋を越えた辺りから、残雪(というよりは新雪)が現れ始める。油こぼし、鐘掛岩などの難所を滑りやすい足場に注意しながら越えると、大峰山寺の宿坊が見えてくる。最後は幅の広い石階段の参道をひと頑張りで、大峰山寺に到着。境内は一面の雪化粧である。昼食を取る場所がなく、仕方なく本堂の軒下でガタガタ震えながら済ませる。
 ピークにいたという実感を最後まで得られないまま、奥駆の縦走に向かう。平坦なルートをぶっとばし、今日の目的地、小笹ノ宿へは一本でたどり着く。ここは快適なサイト場で、我々のほかに5、6組がサイトしていた。夕方になっても天気は相変わらずで、小笹ノ宿は深い霧の中にすっぽりと包まれていたのであった。明日の天候を気にしながら早々に震えながら寝た。

5/4 霧後晴れ
 3時起床、4時発。ヘッドランプを付けての歩行。いつも思うことだが、宗教色の強い山域でのヘドラン歩行は不気味だ。天気も依然、不良である。気が滅入りながらも、暗闇の縦走路を駆け抜ける。ハイペースで阿弥陀ヶ森、脇宿を通過し、急登が続く大普賢も一気に攻略する。ピークの展望は良さそうだが、視界は濃霧に閉ざされていた。記念写真を撮っただけで、ピークを後にする。急坂を下り弥勒岳を越えると、国見岳の岩稜帯となる。サツマコロビと言われる鎖場の長い下りが続き、下りきった小さな平が稚児泊。ここで今までの緊張感から解放される。ここでレーション。ホッとしたのも束の間、七曜岳までは再び岩場が続く。鎖場を2、3か所程こなし、ピークに到着。このころより、ガスが切れ始め、大台の山並みが姿を見せ始めた。今日も1日中ガスかと諦めていただけに、嬉しさもひとしおである。七曜岳からはうって変わって、なだらかな稜線を行く。物凄いスピードでガスが飛ばされてゆき、大峰の主稜線が望めるようになる。ただし今日の目的地、弥山はあまりに遠く、高い。周りの景色に気を取られている間に、行者還岳への分岐を見逃してしまい、行者還小屋に直行してしまう。小屋前で本日2回目のレーション。完全に天候は回復し、枝の上に残っている雪がキラキラと反射してとても美しい。周りの景観を充分に堪能した後、縦走を再開。なだらかな稜線がなおも続く。途中の1486ピークでは大台の大パノラマが展開、予定外の休憩をとる。このころから、ペースはガクッと落ちるが、前半の貯金がきき、行程には影響はなさそうだ。一ノタワの避難小屋で昼食。
 ここから稜線は西に直角に向きを変え、弥山を真正面に見ながらの歩行となる。弁天の森を越え、聖宝宿跡までは下り基調の道で楽勝。ただ前方の弥山がより高く、より大きくなってくる。聖宝宿跡からは今日最後の、そして最大の急登が始まる。ジグザグの連続でとてもしんどい。最後の力を振り絞り、なんとか一本で弥山小屋にたどり着く。今日は本当に良く歩いた。サイト場横の国見八方から山上ヶ岳がはるか彼方に見えた。今日も雪上キャンプ。夜は相当に冷え込んだ。

八経ヶ岳からの御来迎八経ヶ岳からの御来迎

5/5 快晴
 3時半起床、4時半発。今日の行程も長い。ガチガチに凍った道を慎重に鞍部まで下り、いよいよ主峰、八経ヶ岳へ。さほどの登りはなく、快調に近畿最高峰の絶頂に到着。ここで日の出を迎える。今日はド快晴で展望は抜群、近畿の主だった山々はすべて見える。
 最高の気分で縦走を開始。昨日と同じくなだらかな尾根をハイペースで突き進む。舟ノタワの辺りより、笹尾根となり、展望のきく明るい縦走路となる。そして高原の気分に溢れる楊枝の森で奥高野、果無山脈を眺めながらの快適なレーション。ここから仏生ヶ岳へは、かなりの急登となるが、天候の良さにも引っ張られ、快調に越える。孔雀岳へは倒木に少々てこずるが、ピークを越えてすぐの孔雀覗からは五百羅漢の奇観が展開、一同息を飲む。大休止の後、いよいよ今日のメイン釈迦ヶ岳へ向かう。途中、三郎岩、両部分けなどの簡単な岩場を越えると、ピークへの最後の直登にかかる。物凄い急斜面でこれまで快調に越えてきた我々もさすがにバテる。昨日とはうって変わり、気温もかなり上がっており、ピークに着く頃には、みな汗だくであった。しかし、ピークからの眺望は最高で、特に南方にははるか彼方にまで熊野の山並みが続き、紀州の奥深さに感動する。ここでランチにする。360度の景観を楽しみながらの贅沢な食事となった。

釈迦ヶ岳から八経ヶ岳を振り返る釈迦ヶ岳から八経ヶ岳を振り返る

 満ち足りた気分で縦走を再開。今日の目的地、前鬼まではまだまだ長いのだが、釈迦ヶ岳のピークを踏めたことで、何か気が抜けたようで、皆一気に疲れてきた。ゆえに深仙宿までの急降下はとても足にこたえ、何度もこけそうになる。深仙宿はいいサイト場だが、水場は当てにならないので注意。ここで30分も休んでしまう。すっかり重くなった腰を上げ、ダラダラと太古ノ辻まで高度を下げる。ここで主稜と別れ、前鬼への長い下りが始まる。
 前半部はかなりの急降下であり、足に相当にこたえる。必死に下降を続ける。傾斜が緩やかになってくれば、前鬼は近い。宿坊が見えた時は、さすがに嬉しかった。前鬼は想像とは違い、開けた感じのするところで、草原状の最高のサイト場である。素早く設営をし、素早く食事を済ませ、ビールで乾杯。大満足のうちに深い眠りについたのであった。

5/6  晴れ
 3時起床、4時発。朝一番のバスに乗るため、今日も早く起きる。半時間ほどの下りで吊橋に到着。ここからは林道の歩行になる。途中に不動の大滝があるほかは非常に単調な林道で、またコースタイムもなぜか辛く、とても長く感じた。前鬼口のバス停には7時前に到着。3泊4日にしてはとても密度の濃い、内容のある山旅であった。


         

   

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