−自分史上最も苦労した日帰り山行 行動時間丸12時間… 笈ヶ岳、強敵でした−
山行概要
2018年4月21日(土) | |
超快晴 | |
OT氏、ジロー、私 | |
白山一里野温泉車止めゲート=0:45=中宮展示館=0:25=ジライ谷渡渉点=1:20=1271ピーク=1:10=稜線合流点=1:00=シリタカ山北側コル=0:45=主稜線合流点=0:35=笈ヶ岳=0:45=シリタカ山北側コル=0:50=稜線合流点=1:55=ジライ谷渡渉点=0:20=中宮展示館=0:50=白山一里野温泉車止めゲート【10:40】 |
記録文(写真はクリックで拡大)
ここ何年かの最大の懸案事項、それが白山北方稜線の最高峰、笈ヶ岳。夏道がほぼ無く、GWの頃しか登れないこともあって、なかなかタイミングが合わないこともあったが、実際に3年前には、白山一里野温泉から少し先の車止めゲートまで入り、3時過ぎに勇躍歩き出したのだが、すぐに雨が降り出し、30分ほどの歩行で撤退し(笑)、銀杏峰へ名誉ある転進(笑)を図ったのだ。
そして、今回、やっとリベンジの機会がやって来た。片道5キロの林道歩きを避けるため、本来は中宮温泉までの除雪作業が完了するGW以降が良いのだが、今回はメンバーのタイミングを優先し、特に、笈ヶ岳に一度登頂している屈強なジローの招聘に成功したため、この日に決行することにした。そして、事前の天気予報は完全無欠の快晴である。週明けから日々テンションを上げながら、週末を迎えたのであった。
草津駅に20時に集合し、白山一里野温泉へ。23時過ぎに到着。先客が1台あった。
早速ジローが持ってきたテントを設営するが、私とジローは車内で寝たOT氏を横目に、宴会開始…(笑) 結局1時前まで起きていた気が… 出発予定は4時なのだが…
そして3時半、OT氏に叩き起こされる。テントの中に目覚まし時計を3時、3時半に合わせていたはずなのだが…(笑)
慌てて準備を完了し、何とか4時過ぎに出発。
満点の星空の下、出発。しかし、いきなり車道は下っていくので、げんなり…
20分ほど歩いたブナオ橋で蛇谷の右岸に渡り、以降、中宮展示館までずっと右岸を行く。
結構ハイペースで歩き、5キロを45分で歩き切った。しかし、標高は車止めゲートからほとんど変わっていない…(涙)
もうヘドランは不要の明るさになった。
ここでゲイターを装着し、散策路に入る。
蛇谷右岸の上部を山襞を巻きながら進む。山襞をトンネルで抜ける個所が2箇所。距離は短くヘドラン不要。2つ目のトンネルは往路では気付かなかったが、獣の糞だらけで最悪…
短い渡渉が1箇所と、残雪が埋まった小谷のトラヴァースが2箇所。ここはだいぶ空洞ができており、復路は踏み抜きそうで怖かった…
ジライ谷出合に到着。ここで散策路は終点。老朽化した東屋が建っている。この散策路は無雪期でもあまり歩かれていないようだ。
飛び石を躊躇するOT君…(笑)
私も鋸岳でのドボンの悪夢がデジャブ…(笑) ジャンプ力とか、バランス感覚とかが、一番衰えを実感するところ…(涙) 何度か躊躇した挙句、ようやくジャンプに成功!
しかし、早朝の水量の少ない時点で、この体たらく。帰路が非常に不安である。
ここからジライ谷左岸尾根に取り付くが、はっきり言って、道か崖か良く分からない超急登。手をフルに使わないと登ることはできない。しかも私は寝不足のせいか、超絶不調…(涙) 足が全く前に出ず、2人にあっという間に引き離され、単独行の様相…(笑) 写真も撮る余裕全くなし。
ルートはずっと細尾根を行くのと、うっすらと踏み跡もあり、赤テープもそれなりにあるので、ルートミスの心配は全くないが、大岩のあるピークに登るまで、腰を下ろせる箇所がほとんどない、とんでもないドSコースである。多分、自分史上最大の急登だったと思う。
非常にも大岩ピークからいったん下り、今度は1271ピークへの非情の登り返し。
徐々に残雪が出てくる。ジライ谷左岸尾根には薄い踏み跡が付いているが、ブッシュが結構うっとおしいので、できるだけ雪上を進む。
大岩ピークからは多少傾斜は緩むが、私の調子はさっぱり上がってこない。息が切れて、1分以上続けて歩けない…
先行する2人から大幅に遅れて、1271ピークに到着。あ〜しんど〜
前方に冬瓜山から続く稜線が目に入るが、まだまだ遠い… ほぼ雪上となった尾根を牛歩で進む。
這いずるように、何とか稜線へ。しんど過ぎて周りの景色に目が全くいってなかったが、振り返ると白山が光り輝いていた。
ナイフリッジが危険な冬瓜山の残雪状況が分からなかったので、冬瓜平経由で進む。
稜線の北側へ下り始める。すぐに目の前には笈ヶ岳が全貌を表し、テンションアップ↑
冬瓜山の真北を巻く辺りまでは、なだらかな雪原が続き、これまでのドS急登とはえらい違いで天国である。
冬瓜山の真北辺りで、心配していたデブリが… しかし、小規模で回り道することなく進むことができた。しかし、稜線を見上げると、いつ雪の塊が落ちてきてもおかしくなさそうで、結構怖い。
冬瓜山を巻き終わると、平坦地も終わる。徐々に稜線を目指して右上方に登って行く。また遅れだす私…
この往路はシリタカ山のすぐ北側のコルを目指したが、上部はけっこう急… 舐めていた私は今回ノーアイゼンだったが、下を振り返ると、ちょっと背筋が寒くなりました…(笑)
キックステップで慎重に登る。ところどころアイスバーンになっていて、ステップが入りにくい箇所があり、そこは笑顔が消えた…
何とか稜線に復帰。しかし、ここから先も一筋縄ではいかない。
まずは小ピークを一つ越える。登りは大したことないが、稜線南側に大きなクラックが… 怖い…
小ピークを越えると、100mほどを一気に下る。あ〜帰りが辛いな…
そして、登り返す1626ピークは、岩峰がそそり立っていて、どこを登るのかといった感じ。
画像右上の岩峰が1626ピーク。心配したが、踏み跡は岩峰の北側を回り込んでいったので、一安心。
しかし、稜線への登りがめっちゃ急。ノーアイゼンでは怖いところもあったが、この頃には気温が上昇し、滑落の心配なし。
最後は少し藪を漕ぐ箇所(今回、結果的に稜線の藪漕ぎはここだけで、コンディション的には最適な時期に登れたと思う)もあったが、何とか笈ヶ岳から南に伸びる主稜線に到達。
ここまでくれば、我々の行く手を阻むのは小笈だけだ。
なだらかだが、この辺りは雪の踏み抜きが多く、時折股下まではまることも…
小笈が近づいてきた。左奥には雪の全くない笈本峰が…
人形山を手前に、はるか東方には北アルプスが勢揃い! しかし、稜線上部がガスっており残念…
ついに、ついに、笈ヶ岳が手に届くところに…
ピークは残雪全くなく、私は直下の残雪にビールを埋める(笑)
ついに笈ヶ岳を攻略!
ラーメンを調理する間、冷やしておいたビールで感動の乾杯!
しかし、出発から6時間半もかかってしまった… ちゃんとトレをしなければ…
休んでいると寝てしまいそうなのと、帰路も長いので、名残惜しいが30分程でピークを辞すことに。
笈ヶ岳を背に小笈を登り返す。右奥には大笠山も大きい。あれも登らねば…
小笈を越えると、なだらかな極上の雪陵歩きが続く。
白山の主峰群(右)と、三方崩山(左)が全開! 手前右の高みはシリタカ山で、これからあの山の手前まで稜線を進んでいく。
立ったまま小笈の下りを滑り降りた私は、最後にテレマークを決める!(笑)
主稜線と分かれ、1626岩峰の急斜面を巻きながら下る。登りの時はやや緊張したが、スーパー快晴につき、この頃には雪はすっかりグサグサで、大股で駆け下りる。
けっこう辛い登り返しを一つこなすと、シリタカ山が目の前だ。
登りの時はシリタカ山のすぐ北側のコルから下っていったが、下りは、より効率的なルート取りと思われた、コルから小ピークを一つ越えて下った辺りから適当に下り始める。
「高速大股ストライド下降」がここでも炸裂し(笑)、登りの時とは異次元のスピードで進んでいく。
そして、尻セードも炸裂!
下から登ってきたガイド付きの中高年パーティから呆れられていた…
あっという間に冬瓜平を通過し、少しの登り返しで稜線に復帰。登りはここから笈ヶ岳山頂まで2時間半かかったが、1時間半で帰ってきた。
いよいよ超ドSのジライ谷左岸尾根を下る。この時は「下りだし、登りよりはさすがにマシだろう」と舐めていたが、ここから先は、私の36年の登山人生で、一番辛い下りとなった…
何と写真を1枚も撮れていない… 下りの前半は藪と雪の踏み抜きに悩まされ、そして1271ピークを過ぎてからの超急降下で、私は死にました…(笑)
膝の踏ん張りが全く効かなくなり、トラロープに頼り切ってズルズルとずり下がって行く情けない下降姿… そして、ついには握力も限界に達し、滑落一歩手前のギリギリの状況…(涙) すぐ真下に蛇谷が見えているのだが、全く近づいている感じがしない… 先行の2人は全く見えなくなった…
ホンマに死ぬ思いで下り切った! と喜んだのも束の間、渡渉があるのを忘れていた。上から出合を見下ろしていると、OT君が渡渉点を探して右往左往している様子が目に入り、嫌な予感が…(笑)
果たして、近づいてみるとジライ谷は早朝の時点とは比べ物にならないくらい、雪融け水で水量が増していた…
ジローに指示されたポイントで、最後の力を振り絞ってジャンプ! 悲しいかな、自分のイメージの半分くらいしか跳べていなかったが、何とか対岸に到達。
先ほどと比べ、天国のような散策路を下っていく。
それでも足がボロボロで顔をしかめながらの下山…
散策路にはカタクリが群生。先ほどの激闘と比べると、天国にいるようだ。
雪渓のトラヴァースを踏み抜きに注意しながら通過し、糞まみれのトンネルに悲鳴を上げながら耐えると、ようやく中宮展示館に帰ってきた。
生還を実感… しかし、まだ5キロの車道歩きが待っている…
芽吹き始めた蛇谷の新緑を愛でながら、無意識で漂うように進む。途中、道路整備をしていた兄さんから山の様子を聞かれる。来週車道が開通するので、登るらしい…
最後は登り坂になる非情の林道をようやく終え、ゲートへ。ゲート前に大勢の人が谷の対岸を眺めていたので、何だろうと思ったら、熊が出たとのことだった…
1キロ先の白山一里野温泉でひと風呂浴び、山行の成功を噛みしめる。
腹が減ったので、勝山市内の「グリルやまだ」さんに寄り道。
ブタ・ビーフ・海老のカツが乗ったソースミックス丼1130円で大満足〜 充実の休日でした。
参考タイム
4/21 | 白山一里野温泉車止めゲート 4:05 ⇒ 4:50 中宮展示館 5:00 ⇒ 5:25 ジライ谷渡渉点 5:30 ⇒ 6:50 1271ピーク 6:50 ⇒ 8:00 稜線合流点 8:05 ⇒ 9:05 シリタカ山北側コル 9:10 ⇒ 9:55 主稜線合流点 9:55 ⇒ 10:30 笈ヶ岳 11:05 ⇒ 11:50 シリタカ山北側コル 11:50 ⇒ 12:40 稜線合流点 12:50 ⇒ 14:45 ジライ谷渡渉点 15:00 ⇒ 15:20 中宮展示館 15:25 ⇒ 16:15 白山一里野温泉車止めゲート |
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