於茂登岳・野底マーペ

−沖縄県最高峰と悲恋伝説が残るとんがり山を登る−

   

  

山行概要

日 程
2003年3月21日(祝)
山 域
石垣島
天 気
曇り後晴れ
メンバー
単独
コースタイム
於茂登岳登山口=0:40=於茂登岳=0:35=於茂登岳登山口【1:15】
野底集落奥登山口=0:25=野底岳=0:20=野底集落奥登山口【0:45】

記録文

於茂登岳登山口

 駐車場スペースからすぐに鬱蒼とした森の中へ。明らかに関西の山とは植生が違う。シダ類が多いようだ。ルートは完璧に整備されていて、所々コンクリ舗装もされている。

鬱蒼とした森を進む

 戸惑ったのが、湿度の高さと足元がよく滑ること。森の中は雨上がりのせいか、ムシムシしていて、Tシャツ1枚で歩いているのに、数分で汗が噴き出してきた。それと足元の石(砂岩)と赤土の泥濘が本当によく滑る。濡れているとはいえ、これだけビブラムの効かない岩は初めてで、感覚を掴むまでは何度もこけかける。

大御岳ぬ清水

 歩き始めてすぐに大御岳ぬ清水という水場のある沢を渡る。近隣集落の水源地になっているようで、取水ポンプが沢筋に設置されていた。

標識は整備されている

 なおも小沢に沿って登っていく。要所要所に地元と思われる山岳会(山水会)による道標が付けられている。
 小滝を見ることが出来る分岐を過ぎると、しだいに傾斜は増し、階段の急登が始まる。要所にはゴムの滑り止めが付けられている。ここを突破すると再びゆるやかな道のりとなる。

ピークへ最後の急登を迎える

 2度目の急登個所が現れるが、ここは赤土で滑りまくる。ロープが垂らしてあったので、これを頼りに何とか突破。

ピーク直下の分岐

 ピークの直下で展望の良いNTTアンテナへの分岐が別れるが、まずはピークへ向かう。

ピークに立つアンテナ

 急に目の前が開け、巨大なアンテナが現れた。作業員さんが数名作業していた。この間、登山者は一人も見かけなかったので、登山口の車は全て工事関係者のものであったようだ。

沖縄県最高地点の於茂登岳頂上

 アンテナ前にもピークを指す標識はあるが、こんなもので惑わされる私ではない。一番高いと思われる地点に向かって、ヤブを突っ切る(踏み跡はあります)と、予想通り三角点を発見、もちろん展望はほとんどないが、沖縄県の最高峰を踏めたことに感動、おそらくもう2度と来ることはないんだろう。

NTTアンテナ付近からの展望

 帰路はNTTのアンテナに立ち寄ってみる。アンテナからは底原ダムや島北部方面が見渡せた。満足して帰路へつく。

竹富島を見下ろしながらの下山

 赤土の斜面をへっぴり腰で通過、何とかこけずに下ることに成功。登りの時はガスで見えなかった竹富島も見下ろせる。
 下からは小学校の生徒をはじめ次々と登山者が上がってくる。かなり人気のある山のようだ。

サッカーパークあかんま付近から振り返る於茂登岳

 予定より早く於茂登岳を登り終えたので、オプションとして考えていた野底(ぬすく)マーペも登ることにする。この山はネットで石垣島の情報を探していたときに偶然見つけた山で、何と言っても尖った山容が素晴らしい。往復1時間ほどで登ることができるとのことだったので、選択肢の一つに加えておいたのだ。
 沖縄県で一番長いトンネルらしい、於茂登トンネルを抜け、島の北側に出る。昼食を取るため、一旦反対側の米原集落に寄り道。山手の方にはいかにも南国らしいヤエヤマヤシの群落が見える。ここと西表島でしか見られないようだ。

ソーキソバを食べた米原の食堂

 米原の古びてはいるが、懐かしい感じにあふれた食堂に入り、ソーキソバを食べる。正午の少し前だったせいか、客は私1人。ソバが来るまでの間、食堂の窓から見える海をボーッと眺め、ゆったりとした時間の流れを味わう。日本の最南部にいる実感がじわじわと湧いてきた。

県道分岐から見る野底マーペ

 再び車を走らせ、海岸沿いに野底集落を目指す。天気は本格的に回復し、コーラルブルーの海が俄然輝きを増し、わき見の危なっかしいドライブが続く。
 校庭全面が青々とした芝生に覆われた野底小学校を過ぎるとすぐに於茂登岳にもあった地元山岳会による道標が現れ、ここを右折し、目の前に聳える野底マーペの尖峰に向かって車を進める。

野底マーペの登山口

 県道分岐から駐車スペースのある登山口は近い。
 皮膚がジリジリと音を立てそうな強烈な日差しが照りつける中、靴を履き替え、再び山の中へ。
 於茂登岳と同様、すぐに深い森の中に入っていくので、直射日光を受けることはないが、蒸し暑いことこの上なし。平坦なくぼ地のような所を進んでいくとすぐに進入禁止の立て看板に突き当たる。ここを右折し、何のためにあるのか良く分からなかった鉄の扉を通過すると、登りが始まる。

野底マーペにも道標はある

 於茂登岳ほどではないが、ところどころ道標があるので、道に迷うことは無い。
 山容どおり、しだいに傾斜が急になる。北西側からこの山を見ると、尖った岩峰に見えるので、どのように登っていくのかと不安に思っていたが、どうやら時計回りにぐるっと巻いて反対側からピークに登っているようだ。反対側は大した傾斜ではないらしい。

この赤土の斜面が曲者、とにかく滑る。

 赤土の露出した急坂を何度も滑ってつんのめりそうになりながら登る。ピークの直下で地元のおばさんグループ4人組とすれ違う。

マーペの伝説

 マーペの伝説を記した看板が現れるとピークはすぐそこ。積み重なる大岩を慎重に登り、遮る物何も無い岩峰の先端に到着。

ピークからの展望@ 絶壁の上から見下ろす。すごい高度感

 ピークは強風が吹き荒れていて、とても立っていられない。下から見上げていたとおり、ピークの北西側はすっぱりと切れ落ちており、わずか280mほどの小山なのに、かなりの高度感が味わえる。

ピークからの展望A 於茂登岳を望む

 展望は最高! どっしりと横たわる於茂登岳や西表島、そして何よりも島を取り囲むサンゴの海が何とも言えない。
 慎重に下る。もうすぐ登山口という所で不用意に木の幹を掴んだときに変な感触があり、よく見てみるとグロい毛虫だった。毒のあるヤツじゃなかったのか、刺されずに済んだのはホンマにラッキーだった。これがもしヤマンギだったら、この時点で旅は終わっていただろう。以後は極力木を掴まないようにした。このハプニング以外は順調に車まで戻った。

参考タイム

3/21於茂登岳登山口 09:4510:25 於茂登岳 10:4511:20 於茂登岳登山口 11:2511:45 米原集落の食堂(昼食) 12:0012:10 野底集落奥登山口 12:1512:40 野底マーペ 12:5013:10 野底集落奥登山口

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