−19年来の宿願! 3度目の挑戦にして、ついに四国最高の縦走路を踏破!!−
山行概要
2009年10月10日(土)〜11日(日) | ||
剣山山地 | ||
単独 | ||
コースタイム | 見ノ越=1:30=剣山=1:35=丸石避難小屋=0:40=高ノ瀬=1:35=白髪避難小屋=0:30=カヤハゲ=0:55=三嶺=0:55=西熊山=0:20=お亀岩避難小屋【8:00】 | お亀岩避難小屋=0:30=天狗峠=0:15=天狗塚=0:15=天狗峠=0:35=第一ピーク=0:25=西山林道登山口=1:15=久保バス停【3:15】 |
記録文
10/10 霧後晴れ
前夜は京都を23時に発進。ホントはもっと早く出て、少しでも寝たかったが、1000円高速の誘惑に負けた…
計算どおり0時を越えてから海峡を通過、徳島に入る。高松自動車道と徳島自動車道が繋がっておらず、いったん下道に降ろされるのは解せなかったが、美馬ICから順調に貞光、一宇を経由し、暗闇のくねくね道を進む。剣橋、つづろ堂と懐かしく、ほろ苦い記憶が残るポイントを通過し、見ノ越には3時過ぎに到着。京都からは意外に近い。
連休前で駐車スペースが残っているか心配したが、ガラガラで拍子抜け。立体駐車場の1Fの端をキープしてしばし仮眠・・・
5時半にケータイのアラームで叩き起こされる。ねむ〜。意識朦朧の中、コンビニのおにぎりを無理やり詰め込み、ヨロヨロと出発。しかもメッチャ寒い(後で聞いたら、この日、剣山で初氷となったらしい)。体が寒さで動かん。こんなんで三嶺まで行けるのか?
剣神社への階段で今山行がスタート。
写っているザックは、今回就役したオスプレーのアトモス65。長年愛用してきたミレー65Lの退役に伴い、今後、ひろし軍の旗艦を担う期待の新造艦である。正直なところ65Lもあるんかいなという容量だが、単独テント1泊の装備なら余裕で収まる。そしてザック自体の軽さと背負い心地はさすがオスプレー。何よりも背中全面がメッシュになっている「エアスピードサスペンション」が秀逸。背中とザック本体が完全に分離するので、今山行中、背中が汗でベトベトになることは全く無く、快適に歩むことができた。
いつも入れ込みすぎて入り方に失敗して後半バテバテになるので、超スローペースでスタート。我ながらイライラするが、今日は長丁場になるので、我慢して登る。
ルート自体は何の問題もない。色づき始めた樹林の中をじっくり登る。気のせいか上部はガスっているな〜
御神体の岩峰が背後に聳え立つ。しかし辺りはガスで真っ白。寒過ぎる。
更に登る。しだいに笹の斜面になるが、それ故に風の直撃を受けるようになり、体感温度はさらに急降下…
17年振りの登頂。笹原を保護するため、ピーク一帯は木道が敷き詰められているので、あの時とは景色が一変していた。 天気予報から時間が経てばガスが晴れるのは分かっていたのだが、前回ド快晴だったし、寒くてたまらないので、今回は先を急ぐことに。
ピークを出て5分も経たずに晴れてきた… もう少しピークで粘っても良かったかな。
眼前に見覚えのある立派な山容が急に姿を見せた。
しかし、今回ピークはパス。巻き道にある水場で水を汲みたかったからという言い訳だが、先が長いので、急峻な次郎笈の山容に怖気づいたのがホントのところ。(結局、水も汲まなかった)
次郎笈の巻き道の途中からのショット。
すっかり晴れ渡った。これから丸石まで極上の笹原が続く。
右奥が三嶺で中景が丸石。最高の尾根歩きを満喫。台風が通過したばかりで影響を懸念していたが、特にルートに問題はなかった。
剣山と次郎笈(右)。朝一の激寒はどこやら、転寝をしたいほどのポカポカ陽気に変わった。
ここから樹林帯となり、ゆるやかに下っていく。
樹林の中に静かに佇んでいる。17年前はここに泊まり、翌日三嶺を目指すはずだったのだが、悪天で奥祖谷かずら橋に無念の下山となった。
ここから先は未知のトレール。しばらく樹林の中をダラダラとアップダウンを繰り返す。
いったん樹林が開け、目指す高ノ瀬の姿が目の前に。この少し先に高ノ瀬避難小屋が朽ち果てた姿を晒していた。
再び樹林に入り、ルートは一気に傾斜を上げていく。伊勢ノ岩屋を経由し、ピークをパスする巻き道があるはずなのだが、気がつかなかった。
けっこうきつい登りだった。今日初めて一汗かく。ピークは疎林に囲まれており、木々の間から次郎笈が顔を覗かせる。ここで食べ残しのおにぎりをほおばる。
高ノ瀬からもしばらくは樹林の中を進むが、しだいに笹が目立つようになってくる。
石立山分岐を過ぎると、視界が開けてきて、目の前には一面の笹に覆われた1732ピークが現れる。左手奥に見えるのは白髪山。縦走路からは外れているのだが、なかなかに登行欲をそそる山容である。
石鎚縦走の時も良かったが、こちらも最高! やっぱり四国の山の醍醐味はこれですね。
1732ピーク辺りにて。笹原の彼方に雄大な三嶺の姿が…
1732、1700ピークを越え、ゆるやかに下っていくと、白髪避難小屋に到着。三嶺を間近に望むロケーションは最高! いい加減疲れてきたこともあって、ここにテントを張りたい欲求がムクムクと頭をもたげてきたが、なんとか先へ進む。
白髪山への分岐を分けると、山火事でもあったのか、荒れた裸の急斜面を下る。
三嶺から西の主稜線も気持ちが良さそうだ。今日は三嶺で泊まるつもりだったが、先へ進みたくなってきた。連休なので三嶺の泊り客も多そうだし。
それにしてもこの辺りは完全に禿げ上がった山肌で、ホンマに何があったのか?
今日歩んできた縦走路が一望に。ここで、さおりが原から登ってきた単独のおっちゃんが現れたので、この辺りの禿山具合を聞いてみると、原因は鹿の食害らしく、この2、3年で一気に食い尽くされたとのこと。国や県も調査中らしいが、何で鹿が増えたのかよく分からないらしい。ほっとけば三嶺の美しい笹のスロープもすぐに食い荒らされるかもしれないらしい。心配。
三嶺がだいぶ近づいてきた。ボリューム感たっぷりの山容に感激。樹林帯の中、鞍部までいったん下るといよいよ三嶺までの最後の登り。
ピークの直前で岩峰が立ちはだかる。鎖場があるが、右手に巻き道もある。写真は巻き道の上部から鎖場を見下ろしたもの。特に危険はないが、それよりも超急登で足が前に出ない。
振り返ると、白髪山、カヤハゲの高度を超えた。ピークはもうすぐ。
剣山をバックに小屋がすぐそこに。ピークはさすがに人が多い。私の大きなザックを見たおばちゃんから聞かれたので、「見ノ越から来た」と答えたら、超ビックリされて、こちらがビックリした。そんなに大したことないと思いますけど…
別に頼んでないのですが、おばちゃんに無理やり撮られました。
人の多さ、水場の遠さ、テントが張れない、残りの体力、14時前という時間等々を考えて、やっぱりもう少し進むことにした。
またしても極上の笹の縦走路が続く。その長さ、高度と言い、さすが「四国最高の縦走路」と言われるだけのことはある。あえてスローペースに落としてのんびり進む。
ゆるやかにアップダウンを繰り返していく。ルートは何の問題もない。故にいくらのんびりペースとは言え、あっと言う間に三嶺は遠ざかってしまった。
どちらを見ても山また山。特にこれまであまり姿を見ることができなかった祖谷川を挟んだ北側の山々が印象深い。この辺りにはまだまだ登りたい山がたくさんあります。
西熊山も1800mを抜くだけあって、最後の登りは久しぶりに足にこたえた。
笹しかない山頂は展望最高。三嶺の美しい山容を望むのは、ここがベストポイントか。
とりあえずここで今日の登りは終了。後はお亀岩までのんびりと下るのみ。
稜線左下の辺りにお亀岩がある。背後の高みは地蔵ノ頭から天狗峠の山並み。
だいぶ陽は西に傾いてきた。秋山で15時を過ぎているのにまだのんびりと縦走を楽しめるのが嬉しい。これもテントを担いでいる恩恵である。
お亀岩から小屋を見下ろす。反対側にお亀池があり、テントサイトもあるが、小屋を覗くと数人しかいなかったので、今夜は小屋泊まりとした。結果的にテントは無駄になったが仕方がない。
この小屋は水場も近く、ロケーションは最高。そういえば、本日、水を汲もう汲もうと思いながらも重くなるのが嫌で結局一切補給しなかった。結局、ヴァームウォーター500ml1本で完走してしまった。秋山ならではである。
結局、今日の泊り客は6組、9人のみで、ゆったりと過ごせた。断熱マットも十数枚備え付けてあり、バイオトイレも完備である。
ロケーションも良く、最高の避難小屋だと思うのだが、連休に何でこんなに少ないのか… 何にしてもラッキーだった。暗くなる前には食事を終え、日ごろの睡眠不足解消に努めた。
10/12 晴れ後曇り
久保バス停10時過ぎのバスに乗りたかったので、日の出と共にスタート。夜露に備えて雨具を上下着込んで完全装備。
天気は良いが、稜線は暴風が吹き荒れていて、進むのに一苦労。夜露対策より風対策で雨具を着込んで良かった。
まずは、地蔵ノ頭を目指し、ヨロヨロと風に煽られながら進んでいく。
南側は何気にすっぱりと切れ落ちているので要注意。特に今日のように風が強いと結構怖い。
網附森への分岐を分けるころより、またしても気持ちの良い笹原となる。風は気になるものの、上機嫌で天狗峠への高みを目指す。
天狗峠への直前になって、今まで隠れていた天狗塚の端正な三角錐が眼前に… 最高!
峠にザックをデポして、息せき切ってピークに向かう。
見た目どおりの急登を一気に登り切る。登って来た方向と反対側には、牛ノ背と呼ばれる気持ちの良さそうな草原が横たわっている。天狗塚の影がその草原に伸びる。
今縦走のファイナルピークからは、これまで歩んできた山並みが一望に。縦走の喜びを一番感じるひととき。またいつかここに来ることがあるだろうか。
のんびりと峠まで戻る。
矢筈山を正面に見据えながら下山開始。最初は緩やかだったが、すぐに急降下となり、どんどん稜線を離れていく。
第一ピークからは味気ない植林帯となり、さらにペースは上がる。すぐ下まで林道が登ってきているので、今日は登山者がどんどん登ってくる。
車で溢れる林道を横切ってからが地獄だった。だれも歩かないのかやや不明瞭。ルート上には枝や葉っぱが積まれ放題でとにかくよくすべる。しかも、最後の最後、廃屋を過ぎた辺りで完全にルートをロスしてしまった。
どうせすぐ林道にぶち当たるだろうとタカをくくって無理やり下る。何度もコケそうになりながら、最後は木から木へ掴まり続けながら、林道に着陸した。順調だった今縦走は結局、最後が一番大変だった。
本来の登山口は林道を下って3分のところにあった…
大宮橋から見下ろす祖谷川。久保バス停はここからすぐ。
バスの時間(GW、夏季、そして紅葉シーズンのみ久保〜見ノ越間にバスがある。1日2便)までバス停のベンチで靴を脱いで、のんびりくつろいだ。
19年越しのリベンジ完了。佳き縦走でした。
参考タイム
10/10 | 見ノ越 6:10 ⇒ 6:55 リフト西島駅 7:00 ⇒ 7:25 大剣神社 7:25 ⇒ 7:45 剣山 7:50 ⇒ 8:20 次郎笈峠 8:20 ⇒ 9:05 丸石 9:10 ⇒ 9:30 丸石避難小屋 9:30 ⇒ 10:10 高ノ瀬 10:20 ⇒ 10:45 石立山分岐 10:45 ⇒ 11:55 白髪避難小屋 12:10 ⇒ 12:15 白髪山分岐 12:15 ⇒ 12:35 韮生越 12:35 ⇒ 12:40 カヤハゲ 12:50 ⇒ 13:45 三嶺 13:55 ⇒ 14:50 西熊山 14:55 ⇒ 15:15 お亀岩避難小屋 |
10/11 | お亀岩避難小屋 6:10 ⇒ 6:40 天狗峠 6:40 ⇒ 6:55 天狗塚 7:00 ⇒ 7:15 天狗峠 7:20 ⇒ 7:55 第一ピーク 7:55 ⇒ 8:20 西山林道登山口 8:25 ⇒ 9:40 久保バス停 |
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