熊野古道大辺路その3(周参見〜田子)

−馬転坂で初日の出を拝み、長井坂の整備された水平道を突破すると、枯木灘の青過ぎる海が…−

   

山行概要

日 程
2017年1月1日(祝)
山 域
熊野古道大辺路
天 気
快晴
メンバー
単独
コースタイム
JR周参見駅=0:15=馬転坂入り口=0:30=西の庚申さん=0:15=タオの峠道入り口=0:20=和深川王子神社=0:10=長井坂西登り口=0:20=道の駅「イノブータンランド」分岐=1:00=JR見老津駅=0:40=道の駅「すさみ」=0:05=JR江住駅=0:55=木ノ本神社=0:30=JR和深駅=0:45=JR田子駅【5:45】

記録文(写真はクリックで拡大)

 昨日の紀伊富田駅〜周参見駅に続く、熊野古道3日目。
 2年連続、年越しを車中で迎える。カイロをシュラフに入れたものの、寒くて仕方がなかった。ホンマに悲惨な年越しであった。
 泊まった串本町「サンゴの湯」の駐車場は、周囲に何もないので、長時間、車のエンジンをかけっぱなしで車の霜を取る。
 今日のゴールに予定しているJR田子駅に戻る。途中の高富にあるローソンで朝食を取る。駐車場は満杯で、みな複数で楽しそうにしている。どうせ橋杭岩辺りで初日の出を見るのだろう… 私は一人寂しくJR田子駅へ。駅前は狭いが、何とか車1台は止めるスペースがあった。

 昨日と同じ、串本始発紀伊田辺行きの列車を待つ。紀伊田子駅発は6時3分発。乗客は私だけ。6時28分に周参見駅に戻ってきた。
 まだ真っ暗なので、しばらく駅舎内で、歯を磨いたり、トイレに行ったりと、ウダウダ過ごす。
 外が寒過ぎて、ここに腰を落ち着けてしまいそうになってしまう。

JR周参見駅を出発 6:45

 薄暗い中、意を決して出発。駅からすぐにR42に合流し、浪越の坂を登っていくと、周辺の石碑9基を集約した「串の戸石碑群」が路傍にある。
 海沿いに出る。野口雨情の歌碑が立つ辺りは、海岸線が美しいが、如何せん、まだ暗すぎる… 

海沿いに進む 7:01

 しばらく海沿いに進むと、無粋な生コン工場が現れ、何と「馬転坂」入り口の標識が工場敷地の方向を指している。
 半信半疑で誰もいない敷地内を横断する。

馬転坂へ 7:03

 シダの生い茂る細道を登っていく。あっという間に山中深く入っていくので、少々心細い…
 登り降りをこなすと、広場に出る。

初日の出 7:16

 前方は枯木灘が一望。観音像が立つ広場からの展望は雄大。初日の出を浴びながら、広場を横切り、再び細道に入り、一気に下っていくと、R42に合流する。
 「西の庚申さん」と呼ばれる庚申像のところで、「世界遺産 長井坂」の大きな看板に従い、国道を離れ、JRきのくに線に沿って、山の中を細い車道を登っていく。

タオの峠道入り口 7:45

 標識に従い、峠道に入る。古道の雰囲気に溢れる細道を車道と並行しながら進む。タオの峠を越え、ゆるやかに下っていくと、先ほどの車道に再合流し、すると前方の谷間の空間がパッと広がる。

和深川の集落 7:53

 和深川に沿って、美しい山村風景が広がる。点在する棚田の光景も美しい。
 集落を縦断していくと、家屋が尽きた辺りに鳥居が見えてきた。

和深川王子神社 8:08

 和深川王子神社は、寛永2年(1625年)に松本四郎大夫広正が創建したと言われており、創建当時から矢倉神社と二社が併祀されている。
 明治42年(1909年)に周参見王子神社に合祀されたと伝わるが、実際はそのまま祭祀されていたらしい。また、境内の神社叢林は、古い森林形態をとどめる貴重なもので「いちがし」「えのき」が有名である。
 この王子社が、私の2017年初詣となった。4回目の年男になってしまった… 今年はどんな年になるのか…

長井坂西登り口 8:20

 車道をさらに進むと、「新宅さん」の一軒家があり、ここが長井坂の西登り口。小川を渡り、山に分け入って行く。遥か頭上には、紀勢道の高架が聳え立つ。
 しばらく急登が続くが、標高200mを越えると、様相は一変し、「何でこんな山中に!」と思うような平坦で、とても歩きやすい歩道が続く。

長井坂の段築 8:47

 一部には、どう見ても人の手で平らな歩道を構築した跡が残っており、これを「段築」と言う。
 段築は、分水領となる丘陵部を土手状に整形し、古道平面のレベルを一定に保ち、降水による土砂の流出を防いで通行をスムーズにしたものと言われている。

枯木灘が見下ろせる 9:16

 とても歩きやすいので、快調に進む。右手には枯木灘が見下ろせる。
 平坦道がようやく尽きると、急降下が始まり、一気に海沿いへ下降する。

見老津駅は海の真ん前 9:42

 JR見老津駅に到着。この日の前半終了。駅前は枯木灘が眼前に… 駅前には海に向いたベンチがあり、超好天の下、思わずうたた寝してしまう…
 何とかリスタート。R42をしばらく進む。ゆるやかに坂道を登っていくと、江須崎という小さな半島の基部に到着。旧道に入り、江須集落へ下っていく。

江須集落 10:18

 何か、「遠くへ行きたい」を思い出すような、懐かしい光景が広がる。
 集落を抜け、目に前の御待崎へ向かって、ゆるやかに登って行く。登りついたとろこには、道の駅「すさみ」が建っていた。

道の駅「すさみ」で昼から… 10:47

 我慢できず、道の駅の食堂で、ノンアルと造り盛りに手を出してしまう。この食堂、眺望が最高!
 何とか歩行を再開。江住集落を抜ける。この辺り、国道と並行して大辺路の歩道が残っているのだが、どうも西行きが順路らしく、逆向けに進むと、古道の入口に気づかないことが多く、残念。

木ノ本神社 12:30

 里野浦の美しい入り江を抜け、今度は明瞭な大辺路の標識に従い、地道を少し登ると、木ノ本神社に出る。
 細い路地の急坂を下り、国道に出ると、またもや美しい岩礁が広がる。

金毘羅様 12:40

 岩礁の真ん中に建つ、金毘羅様の横を通り、和深の集落へ入る。

JR和深駅 13:02

 和深駅はローカル線の風情満点。ちょうど電車が入ってきた。1日の本数を思うと奇跡的だ(笑)…
 国道の和深トンネルの手前で、旧道に入り、丘を登り、新田平見という集落の細い路地を抜けていく。

新田平見集落の路地 13:17

 路地を抜けると、国道に合流し、海を見ながらのんびりと進むと、田子駅に戻ってきた。

JR田子駅に帰着 13:50

 けっこう疲れました。でも那智まであと2日行程までやって来た。
 この日中に帰る予定だったが、天気があまりに良さそうなので、もう1日残ることにする。そうであれば、1日だけのために大辺路を訪れるのも効率が悪いので、明日は、中辺路の未踏区間を歩むこととし、今晩は勝浦辺りで潜伏することに。

湯川温泉「きよもん湯」 15:47

 勝浦手前の、湯川温泉にある「きよもん湯」で一浴。
 アルカリ性単純温泉の源泉かけ流しの湯を堪能し、勝浦の街へ。

「まぐろ三昧那智」で正月から豪遊!@ 16:32

 那智勝浦町役場の駐車場が解放されていたので、この日の寝ぐらはここに… 
 市内をブラつく。「まぐろ三昧那智」さんが、すでに開いていたので、ここで、まぐろ尽くしをキメることに。
 まずは造り盛りでスタート!

「まぐろ三昧那智」で正月から豪遊!A 16:33

 まぐろの胃袋のトマト煮とくじらの竜田揚げ!

「まぐろ三昧那智」で正月から豪遊!B 17:01

 最後は、まぐろの唐揚げでフィニッシュ! 大満足で店を後に…

「天然温泉公衆浴場 はまゆ」さんへ 18:13

 この日もめっちゃ寒い。我慢できず、近くの共同浴場の「はまゆ」さんへ突撃!
 こちらも源泉かけ流し! 温まるだけ温まってから、この日も厳しい車中泊へ。寒くて仕方がない… どうも気温のせいだけでは無さそうだ。風邪をひいてしまったらしい(涙)
 朝まで、シュラフの中でガタガタ震える私であった…
 明日の行程(発心門王子社〜湯の峰温泉〜熊野本宮大社)へ。
 大辺路の次の行程(田子〜紀伊田原)へ。

参考タイム

1/1JR周参見駅 6:457:00 馬転坂入り口 7:007:30 西の庚申さん 7:307:45 タオの峠道入り口 7:458:05 和深川王子神社 8:108:20 長井坂西登り口 8:208:40 道の駅「イノブータンランド」分岐 8:409:40 JR見老津駅 9:5510:35 道の駅「すさみ」 11:2011:25 JR江住駅 11:2512:30 木ノ本神社 12:3013:00 JR和深駅 13:0513:50JR田子駅

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