二上山(河内飛鳥から当麻寺へ)

−それぞれに深い味わいを持つ河内飛鳥から当麻寺へ陶酔の山旅−

   
   

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山行概要

日 程
2004年3月13日(土)
山 域
金剛山脈
天 気
快晴
メンバー
単独
コースタイム
近鉄上ノ太子駅=0:25=通法寺跡=0:10=源義家墓=0:20=叡福寺=0:25=竹内街道歴史資料館=0:25=岩屋道登山口=0:20=馬の背(雄岳往復15分)=0:05=雌岳=0:10=岩屋峠=0:25=当麻寺=0:10=近鉄当麻寺駅【3:10】

記録文

 あまりの好天にザックに荷物を押し込み、行き先も決めずに、電車に飛び乗ってしまう。とりあえず橿原神宮前まで出ようと思っていたが、郡山付近で車窓から二上山の端正な姿が望め、直感的に16年振りに登りに行こうかと決める。
 大和側から上り下りするのも芸がないので、河内から登ってみるか。たまたま持ってきたエアリアで詳しく見てみると、二上山の西麓一帯は、河内飛鳥の里と言われ、奈良に負けず、見所の多い所。特に我が国で最初の官道である竹内街道も通じている。歴史好きを自称しながら、今までこの辺りはほとんどノーマークで、食い入るようにガイドを熟読。結局、上ノ太子駅からスタートすることに決めた。
 駅前の古い家並みを通り、踏切で近鉄を渡る。まずは、源氏三代の墓を目指し、ぶどう畑が目立つ小山を登っていく。周囲は雰囲気の良い雑木林も点在し、あちらこちらで鶯の鳴き声が聞こえてくる。梅の花も満開で、大阪府とはとても思えないのんびりした景色の中を進み、小山を越えてゆるやかに下ったところが、壷井水と壷井八幡宮。

壷井水と壷井八幡宮(奥の石段を上がった所)

 壷井水は前九年の役で源頼義の軍が水に苦しんだ折、弓の先で崖を崩して得た冷泉により、将兵の意気が上がったので、水を壷に入れて地元に持ち帰り、井戸の底に入れたものである。また、壷井八幡宮の境内には楠の大木が鎮座し、地元の人にとても大事にされているのか、ごみ一つ落ちていないきれいな境内だった。

山門だけが残る通法寺跡

 八幡宮から集落内を少し進むと、通法寺跡。寺があった面影は山門と礎石のみ。残ると言っても山門は戦後の復元。ここの一角に源頼義の墓がある。

八幡太郎義家の墓

 寺跡から南東にある丘に登る。ここに八幡太郎義家と河内源氏の祖頼信の墓が並んで立っている。それと「生類憐みの令」を検討し、綱吉死後、左遷された大僧正隆光の墓もなぜか頼信の墓の横に立っていた。
 丘を下り、四辻を左折。路側帯がなく、車がガンガン通るR166をビビりながら歩行、急に左側に大きなスペースを感じると、いつしか叡福寺にたどり着いていた。

叡福寺境内 奥に見えるのは太子の廟所

 叡福寺のゆったりとした境内には、一番奥に聖徳太子の廟所があり、金堂、聖霊殿(太子堂)、多宝塔等が配置されている。「逆説の日本史」の愛読者としては、とても興味深いところである。

竹内街道 孝徳天皇陵近くにて

 寺からは車道を通らず、寺の裏手から太子町の家並みを通っていく。無性に懐かしい感じのする光景の中を通り抜け、六枚橋の交差点から細い車道を山手に進む。ここもいわく有り気な古い民家が続くが、それもそのはず、この道が竹内街道で1400年近くの歴史を誇る日本最初の官道として、難波津〜飛鳥までの幹線ルートであった街道である。

 孝徳天皇陵に沿ってしばらく進むと太子町の竹内街道歴史資料館があり、ここで基礎知識を叩き込み、イメージを膨らませてからリスタート。
 道の駅「近つ飛鳥の里・太子」の横を抜け、ここからはしばらく国道歩き。トラック多く、歩道はないので、怖いわ、呼吸が苦しいわで、なかなかの難行苦行である。釣堀の少し先に登山口があり、ここでようやく煤煙から開放される。
 上ノ太子駅からは結構な遠さに思えた二上山の直下にようやくたどり着いた。これまでは性急に車でアプローチし、最短距離で登ることが多かったので、なかなかこういうゆったりした山旅もいいものです。

鹿谷寺跡の十三重石塔

 軽く登ると鹿谷寺跡。岩を穿って作った十三重石塔を横目にさらに登る。

 植林帯だと思っていたが、明るい雑木林が続き、なかなか楽しめる。ダイトレに合流し、いかにもダイトレと唸ってしまいそうな立派な幅広の道をまだ裸木の桜並木を縫うように進めば、雄岳と雌岳の鞍部である馬ノ背に到着。
 日差しが溢れる明るい小広場になっていて、茶屋もある。ここからは前回も歩いているが、どんな景色だったかは、さっぱり記憶が飛んでしまっている。季節的にはほとんど同時期だったが、あの時は小雪舞うクソ寒さで、今日とはえらい違いだ。
 茶屋でビールとカップヌードルを購入し、ホッと一息。大和と河内を交互に見下ろしながら、やわらかな初春の陽光を浴びる。思わずうたた寝してしまう程、気持ちの良いひと時だった。

二上山雄岳頂上の葛木二上神社

 腹ごなしに雄岳を往復(しっかりと清掃協力金200円を取られた)し、雌岳へ。こちらの方が展望は良好。大きな日時計もあったりして、ほとんど公園の雰囲気。人も多かったので、ほとんど素通りし、反対側の岩屋峠へ下る。これがかなりの急降下で、16年前に重荷を背負ってこれを登ったことが突然思い出された。

岩屋峠の岩屋(奈良時代の石窟寺院の跡)

 そうは言っても距離的には大した事無く、岩屋のある岩屋峠へ到着。ここから大和側へ下っていくが、これまでの明るい景色から一転、植林の暗い杉林の中を下る。水場を2箇所ほどやり過ごすと車道に出合い、馬ノ背から下ってくるルートと合流する。

当麻寺のシンボル、双塔を望む

 以後は舗装路を淡々と下り、道標に導かれるまま、当麻寺へ。奥の院からの参拝となった。建った時代が違うのか、微妙に形の異なる東西両塔や講堂、金堂等をひととおり廻る。(特に金堂を守護する四天王像の表情豊かな様にとても感動した)

当麻寺から二上山を振り返る

 これまた古い家並みが残る門前の通りを歩き、近鉄の当麻寺駅に出る。
 河内から大和へ、見所満載の山越えハイクだった。

参考タイム

3/13近鉄上ノ太子駅 8:459:05 壷井八幡宮 9:109:15 通法寺跡 9:259:35 源義家墓 9:4010:00 叡福寺 10:1510:35 孝徳天皇陵 10:3510:40 竹内街道歴史資料館 10:5511:00 道の駅「近つ飛鳥の里・太子」 11:0011:20 岩屋道登山口 11:2011:25 鹿谷寺跡 11:3011:45 馬の背 11:5012:00 二上山雄岳 12:0512:10 馬の背 12:3012:35 二上山雌岳 12:3512:45 岩屋峠 12:5013:15 当麻寺 14:0514:15 近鉄当麻寺駅

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