丹沢山縦走(大山〜塔ノ岳〜鍋割山縦走)

丹沢山縦走(大山〜塔ノ岳〜鍋割山縦走)


【日程】平成5年1月30日(土)〜31日(日)
【メンバー】男2人
【コースタイム】
1/30 小田急伊勢原駅=バス、ケ−ブル= 阿夫利神社下社=1:20=大山=1:10=ヤビツ峠=0:25=富士見橋=1:00=二ノ塔=0:15=三ノ塔=0:30=烏尾山荘  【4:40】
1/31 烏尾山荘=0:25=行者岳=0:50=新大日小屋=0:45=塔ノ岳=0:50=小丸=0:20=鍋割山=0:35=後沢乗越=0:25=二俣=1:20=大倉  【5:30】

【記録文】

1/30 快晴
 伊勢原駅に集合した我々は、バス、ケーブルを乗り継ぎ、一気に下社に降り立った。売店でビールを補給し、いつものようにしょうもないことを言い合いながら、登り始めるが、二人ともすぐに無言になる。しょっぱなから石段の急坂が続いたせいである。10分ほど歩いたあたりから雪が現れだし、ガチガチに凍っており、滑りやすく、しんどさに拍車をかける。富士見台まではかなりの急登で、ポカポカ陽気も相舞って、汗だくになる。ここからは頭上に阿夫利神社の鳥居がチラチラと目に着くようになり、元気づけられる。ヤビツ峠への道を左に分ければピ−クはすぐである。大勢の人で溢れかえるピークで関東平野を見下ろしながらのランチを楽しむ。
 腹を満たしてヤビツ峠への下降に取り掛かる。念の為にアイゼンを装着するが、連れがやはりやってくれた。アイゼンをはずすこと3回、挙げ句の果てには右のアイゼンのねじが外れ、大破させるといった具合で、下降は遅れに遅れ、最初はゲラゲラ笑っていた私も峠に辿り着く頃には顔が少々引きつっていた。
 峠からは凍結した林道を富士見橋まで進み、橋から少し下ったところにある水場でポリタンをフルチャージにしてから表尾根への登高を開始する。大山を陥落させた時点でひと山終わったという感覚が働いているので、二ノ塔までの急登は無茶苦茶しんどく感じる。一歩ごとに広がりをみせる背後の景観に叱咤激励されながら、ひたすら頑張る。途中で射殺した鹿を引き摺りおろす猟師の一団に擦れ違う。猟師のおっさんらはホクホク顔で通り過ぎていったが、以後我々は鹿の血痕が点々と付着した雪の斜面を登らされる羽目になる。たっぷり汗をかかされたあとようやく二ノ塔に到着。これで今日の登りはほぼ終了。次の三ノ塔は吊尾根を辿るのみ。遮るもの何もない夕暮れ時のピークで今日最高の展望を満喫する。
 今日の目的地、烏尾山荘へは一度ガクッと急降下が必要だが、これがいわくつきの急坂で今回は幸い雪の状態が良く難無く下降できたが、ガチガチに凍っていたなら、軽アイゼンのみの我々の装備では撤退を余儀無くされたと思わざるを得ない程の急坂であった。最低鞍部から少しの登り返しでようやく山荘に到着。久し振りに『歩いた』と感じた1日であった。
 烏尾山荘はこじんまりとした感じのよい小屋で宿泊客は我々を含め3人のみ。小屋番のおっちゃんもおもしろい人で、話は尽きなかった。

縦走路から大山を振り返る縦走路から大山を振り返る
1/31 快晴
 6時起床。すさまじい冷え込み。寒くて布団からなかなか這い出せない。それゆえに出発準備に1時間半ほどかかる。スッキリとした縦走路を行者岳へ向かう。ピ−クの前後で都合3回の鎖場がある。特に最後の鎖場は結構高度感があり、なおかつ岩にベッタリと氷が張り付いていたこともあり、非常に神経を使う。ここさえ通過すればあとは展望の良い快適な縦走路を突き進むのみ。塔ノ岳が近づくにつれてかなりの積雪となるが、それでいてそう潜りもせず、冬山ムードを満喫する。
ラッセルを重ね塔へラッセルを重ね塔へ
塔への最後の急登も難無く登り切り、9時半にピ−クに到着。
 予想されていたとはいえ、度肝を抜く大観が広がる。富士山、南ア、奥秩父、箱根、愛鷹、新宿高層ビル群…とにかく素晴らしい。ここで飯を食わぬ手はないと早めのランチをとることに決定し、残っている食料を雪の上にぶちまける。サブは缶ビール2本ですっかりいい調子。結局ピークで2時間近くの長居になってしまった。
塔からの富士塔からの富士
 後ろ髪を引かれる思いで腰を上げる。当初は大倉尾根を下降路につかう予定であったが、衝動的に鍋割山へのルートに入る。この判断のため後でエラい目に遭うことになるが…さて鍋割山へは途中大丸付近で若干のルートミスはあったものの、大した登りもなく到着。もう霞んでしまって遠望はきかないので、すぐにピークを後にする。急な下りが続き、またグチャグチャにぬかるんでいるため、今まで綺麗だった山靴もあっという間に真っ黒。膝がガクガクになるころ、後沢乗越に到着。もう我々には前方に聳える栗ノ木洞に登る余力は無く、二俣への下降路をとる。この道は緩やかで歩きやすい。二俣の手前で林道に合流し、あとは大倉までこの林道をひたすらに進むのみであったのだが、二俣を少し過ぎた辺りで林道工事をしており、我々は迂回路を辿らされてしまった。かなりの登下降を経てもとの林道に復帰したときにはもうフラフラ。しかも後方からは警告を無視して迂回せずに来る人が何人も現れ、疲れを倍加させた。大倉まではまだここから30分以上もあり、ようやく大倉に辿り着いたときには2人とも足の裏がジンジンしていたことは言うまでもない。
 久し振りにザックを背負ったこともあり、かなり疲れたが、天候にも恵まれ丹沢を満喫できた2日間であった。


   

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