−3日とも好天に恵まれ、巨大な薬師岳を攻略−
山行概要
2012年9月15日(土)〜17日(祝) | ||
北アルプス | ||
O君、私 | ||
室堂=0:40=一ノ越=0:30=浄土山分岐=1:30=獅子岳=0:30=ザラ峠=0:30=五色ヶ原山荘【3:40】 | 五色ヶ原山荘=1:25=越中沢岳=1:00=スゴノ頭=0:30=スゴ乗越=0:30=スゴ乗越小屋=1:00=間山=1:30=北薬師岳=0:40=薬師岳=0:35=薬師岳山荘【7:10】 | 薬師岳山荘=0:55=薬師峠=0:20=太郎平小屋=1:15=1870m三角点=1:00=【3:30】 |
記録文(写真はクリックで拡大)
9/15 晴れ後曇り
以前から意識をしていたが、なかなかタイミングが合わず、実現できてなかった立山・薬師の縦走にようやく向かう時がやってきた。当初は淋しく単独縦走を予定していたが、直前に職場の後輩、O君が参加してくれることになった。
前夜、京都を20時に出発。O君のエスティマに2人乗車というコスパの悪い移動だが、24時前に着いた立山駅の駐車場では快適な車中泊を過ごすことができた。
そして、翌朝、8月末の立山三山縦走の反省を踏まえ、ケーブルカーの乗車券をネットで予約していたため、スムーズに室堂へ。
8月末に引き続き、今回も快晴! 勇躍スタート。一ノ越まで大勢の他パーティと併走する。
浄土山の直下は、まだまだ残雪が豊富。
一ノ越に到着。室堂と大日連峰が一望。下からは次々と登ってくる。
一ノ越を後に縦走開始。浄土山分岐までの稜線は、この8月末にも歩いたばかりであり、勝手知ったるルート。快調に歩を進め、分岐に到着。
天気はすこぶる良く、富山湾から能登半島まで確認できる。
ここからは未踏のルート。遥かな薬師へ向かう。
龍王岳の肩から一気に下り、正面左の鬼岳の東肩目指して、ゆるやかにカーブしていく。
ここでしばし休憩。左手前には次のターゲットの獅子岳。
東肩からすぐにハシゴもある急な下りとなるが、ここをしのぐと、草原の中のゆるやかな登りとなる。
手前から、鬼岳、龍王岳、雄山が折り重なるように見える。一つもピークを踏んでいないのは、ピークハンターとしては少々遺憾である。
そして、東方には黒部湖が。気持ちの良い縦走だ。
早くあの気持ちの良さげな草原へ行きたい。
だいぶガスが育ってきた。ザラ峠への大下りに入る。ハシゴも現れる急降下。名の通り足元はザレており、気をつかう。
急降下をしのぎ、何とかザラ峠に降り立つ。しかし、周囲はガスに包まれてしまった…
ザラ峠からの登り返しは大したことなく、木道が現れ、ついに天上の楽園の一角へ。ガスの切れ間から裏銀座方面、赤牛岳が望める。
更地となった五色ヶ原ヒュッテ跡を過ぎると、今日の目的地五色ヶ原山荘はすぐそこ。これで本日の行動はあっけなく終了。
そうとなれば、早速宴会へ。最高!!!!
しかし、雨が降り出したこともあったが、飲み過ぎて、早々に爆睡モードへ。五色ヶ原散策は叶わず…
今日の山荘は割とゆったりで余裕で布団1枚をキープ。快適な滞在となった。
9/16 快晴
4時半に起床しようと思っていたが、周囲が動き出したので、4時に起き、弁当を食べ、日の出に備える。
今日はコースタイム10時間を超える長丁場だ。5時に山荘を出発。暗闇の中、鳶山を目指す。
鳶山で待機し、日の出を待つが、後立山と雲が邪魔でなかなか日が出ない。
ヤキモキすること15分ほど、ようやく薬師が紅に染まった。
五色ヶ原も朝日に染まる。
手前の越中沢岳を目指す。しかし、この稜線がなかなかの曲者だ。細かいアップダウンが多く、侮れない。
越中沢岳の頂上直下から。鳶山はすっかり遥か後方へ。
それにしても今日は凄い快晴だ。正面の赤牛岳をはじめ、北アルプスの南部が全開!
スゴノ頭へも細かなアップダウンが多い。気温も上がってきて、体力が徐々に削られる。ロングコースのまだ序盤なのに… 薬師もまだまだはるか先だ。
振り返る越中沢岳の尖り具合がエグい。
スゴノ頭は縦走路から離れているので、少々寄り道が必要。往復10分もかからない。ピークハンターの性で疲れ始めた体に鞭打って往復する。
ここからスゴ乗越小屋までもう障害はないと勘違いしていたが、道標には「近くて遠いスゴ乗越小屋」と記してあった。
スゴ乗越へは超急下降。樹林帯まで落ち込み、試練のひとときである。降り立った草原のスゴ乗越は灼熱地獄だったが、疲れ果てて休憩し、さらに暑さで消耗する羽目に…
乗越から小屋への登り返しがまた辛い。標識は間違いではなかった。登りと灼熱地獄とで9時過ぎにしてもうフラフラである。
振り返る越中沢岳とスゴノ頭がまたエグい。とんでもない所へ来てしまった。
倒れこむようにスゴ乗越小屋へ。しかし、この状況下でもビールはやめられない。
30分以上もウダウダと休憩。
次のターゲットは間山。気持ちの良い草原を行く。酔いのせいで疲れがごまかされた気が…
立山が遥か遠くに。我ながら良く歩いた。左最後方には剣の姿も。
間山へはゆるやかな登りが続く。
ようやく薬師の膨大な姿が眼前に迫ってきた。ロングコース踏破の目処が立ったと安堵。
昼前なのにこの青空。晴れすぎ。
薬師を目の前にし、モチベーションが高まる。標高が再び上がってきたので、暑さも軽減された。
ルートは二重山稜の間を抜けている。ここを突破すれば北薬師への本格的な登りとなる。
黒部川を挟んで北アの秘峰が眼前に。朝方は正面に見えた赤牛岳が首を左に向けないと見えなくなった。
北薬師の左奥にさらに薬師本峰が。ついにここまで来た! テンションさらにアップ。
2800mを超えた。完全に高山帯となった岩ガラガラの斜面を一気に登る。
金作谷カールが眩しく光る。この景色を拝むことができるのは、縦走者だけだ。
そして、このカール壁を反時計回りに進む。この季節に、この時間でも眺望が満点。至極の縦走を味わう。
金作谷カールを挟んで、赤牛岳が迫る。あれだけ高くそびえていた北ア最奥の秘峰をすでに見下ろす位置に到達。
五色ヶ原から8時間半後に薬師岳到着。何と24年ぶりの登頂! 学生時代の甘酸っぱい思い出が脳裏をよぎる。
前半はコースがはかどらず、どうなることかと思ったが、心地よい疲労感。
後は薬師岳山荘まで下るだけ。今日1日の歩みを振り返りながら、一歩、一歩着実に歩を進める。
薬師山頂直下には、次々とカールが現れ、飽きさせない。
長丁場も終わってみれば、あっけなかったような…
今日はかなりの混み合い。敷布団5枚に6枚の間隔だった。
寝ぐらを確保した後は、さっそく今日も宴席へ。西の展望が全開の机を確保し、ビールに持参の焼酎で今日も昇天!
酔っ払った体に鞭打って、極上の雲海を味わう。充実の1日が終わる。
混雑で非常に寝苦しい夜。鈍感な私はいつものように爆睡したが、O君はあまり眠れなかったようだ。合掌…
9/17 快晴
今日は折立発10時半のバスに乗るだけなので、ゆっくり寝ようと思っていたが、薬師の山頂で日の出を迎える人たちが3時半過ぎからぞくぞくと起き出したので、寝ることができず、間が持たないので、やむなく4時に出発。
暗闇の中、ヘドラン歩行で砂礫の斜面をジグザグでヨロヨロ下り、沢筋に入り、ひたすら下れば、色とりどりのキャンプ場へ。
薬師岳が一望。伸びやかに広がる膨大な山稜が印象的。久しぶりの登頂だったが、再登に値する名山だった。
下山時間がバスの時刻に比べ、余りに早すぎるので、タクシーを呼ぶことに。ラッキーにも直前にタクシーを呼んだ方がいて、小屋番さんのアドバイスに従い、相乗りをお願いすることができた。
タクシーの時間はコースタイム通りの下山タイムでお願いしたので、時間は余裕だ。故に薬師岳を眺めながらの優雅なコーヒータイムを満喫する。
北ア中央部の大観ともこれでお別れ。富山湾を真正面に眺めながら快適な尾根道をぶっ飛ばす。
大昔もそうだったが、このコースはアルプス入門コースのせいか、歩きやすいことこの上ない。タイムを大幅に短縮して三角点へ。折立湖が近い。
結局、大幅にタイムを短縮して、折立に到着。予定の時間よりタクシーが早く上がってきてくれて、立山駅には10時前に到着することができた。
腹が減ったので。風呂より先に飯へ。タクシーの運ちゃんに教えてもらった富山IC近くの「すし玉」さんへ。
始業の11時前に到着したのに、既に長蛇の列が… 結局、1時間近く並んで、ようやく寿司を堪能。待った甲斐がありました。寿司は回転寿司と思えない極く旨! さすがに激戦地の北陸の回転寿司だけのことはある。結局、二人で1万円近く散財してしまった。
そして、待望のお風呂は、これまた富山ICに近い「長八温泉 花の湯館」へ。市街地のど真ん中にあるとは思えない、琥珀色の源泉掛け流しのお湯が最高だった。
近年まれに見る充実の縦走。ここまで天候に恵まれる自分が怖いっす(笑)
参考タイム
9/15 | 室堂 8:05 ⇒ 8:45 一ノ越 9:05 ⇒ 9:35 浄土山分岐 9:40 ⇒ 10:10 鬼岳東肩 10:25 ⇒ 11:10 獅子岳 11:20 ⇒ 11:50 ザラ峠 12:00 ⇒ 12:30 五色ヶ原山荘 |
9/16 | 五色ヶ原山荘 5:00 ⇒ 5:30 鳶山 5:45 ⇒ 7:10 越中沢岳 7:15 ⇒ 8:15 スゴノ頭 8:25 ⇒ 8:55 スゴ乗越 9:00 ⇒ 9:30 スゴ乗越小屋 10:05 ⇒ 11:05 間山 11:10 ⇒ 12:40 北薬師岳 12:50 ⇒ 13:30 薬師岳 14:10 ⇒ 14:45 薬師岳山荘 |
9/17 | 薬師岳山荘 4:35 ⇒ 5:30 薬師峠 5:40 ⇒ 6:00 太郎平小屋 6:30 ⇒ 7:45 1870m三角点 7:50 ⇒ 8:50 折立 |
山行データへ
諸国名山探訪
Copyright(C) Hiroshi Fujita All right reserved