目が覚めても、ガスは相変わらずで、がっくりして布団の中で様子を伺っていると、しだいに日が射すようになってきた。慌てて連れを殴り起こし、スタートする。
コンクリートの遊歩道をなだらかに進む。この辺りから仰ぎ見る鳥海山はまるでヨーロッパの古城のようだ… と思っていたら、あっと言う間にガスが再び湧いてきて、白一色の世界へと逆戻り。２人とも憮然としながら登り続けるが、この辺りずっとゆるやかなのが救い。
扇子森もゆるやかに越える。視界さえきけば、なだらかな草原が広がるのであろうが、この天候では仕方がない。七五三掛から外輪山コースに入り、しばらく急登が続く。文殊、伏拝、行者岳と順番に越えて行くが、天候のせいもあり、三山ともどこがピークか良く分からなかった。
行者岳を越えて少し進んだ鞍部から大物忌神社への道が分かれる。神社でお札を買ってから、いよいよ新山のピークに向かう。岩の間をくぐり抜ける迷路のようなルートが続き、なかなかピークに近づかない。最後は巨石をグルッと回り込み、ようやくピークにたどりついた。
新山直下でここでようやくガスも切れかけ、周囲の景色が色づき出す。就職活動(＝試験勉強)の苦しみからようやく解放された喜びとも相まって、何とも言えず嬉しいひととき。ゆっくりと今この時を楽しむ。
続いて七高山へ。途中ルートを外し、無理矢理雪渓を横断して復帰するという一幕もあったが、何とか頂上へ。ここから見下ろす東側の裾野は超雄大。さすがにみちのくの主峰である。
すっかり満足した後、下山にとりかかる。最初は舎利坂のころがり落ちるような急降下だが、後は草原の中のゆるやかな下り。御田、竜ガ原湿原などを楽しみながら、のんびりと祓川へ下ったのでありました。
祓川から鳥海を振り返る
