法隆寺から矢田丘陵

−法隆寺、中宮寺、松尾寺、矢田寺、そして郡山城と大満足の歴史ハイク−

   
   

山行概要

日 程
2002年12月28日(土)
山 域
矢田丘陵
天 気
快晴
メンバー
単独
コースタイム
法隆寺バス停=0:10=法隆寺・中宮寺=0:40=松尾寺=0:10=松尾山=0:05=国見台=0:20=矢田峠=0:10=矢田山=0:10=六ツ辻峠=0:10=東明寺=0:20=矢田寺=0:10=横山口バス停【2:25】

記録文

 2002年の山登りは、95年以来となる年間20オーバーの山行数を重ねることができ、大変充実した年となった。この年の締めくくりとして、どうしてももう1回山に行きたくなり、奈良の矢田丘陵に向かう。最近こんなお気楽山行ばかりで、雪山にでも行きたいとは思うが、12月の初旬に簡単な切開手術をした身であるので、無理はできない。
 最寄り駅が京都市営地下鉄の烏丸御池なので、近鉄京都線へはほとんど乗り換えなしに行けるのでとても便利。郡山の駅まで1時間かからない。
 電車を降りるとメッチャ寒い。奈良交通のバスターミナルは駅から少し東に行ったSEIYUの前にある。法隆寺行きのバスまで時間があり、寒くてとても待ってられないので、周辺の古い町並みを早歩きで見て回る。
 ようやくバスに乗り、終点の法隆寺前へ。年末のクソ忙しいこの時期、乗客はやはり私1人だった。バス停から南大門に向かって真っ直ぐに伸びる松並木を進む。

法隆寺南大門

 やっと陽が当たり始めたので、さっきより寒くない。法隆寺は小学校の遠足以来だから、何と20年以上空けての再訪。それでも壮大な伽藍や釈迦三尊像の神々しい姿は今でもよく覚えているほど、印象深い寺院であった。まっ世界遺産なんだから当然か。

法隆寺中門と五重塔、金堂

 南大門をくぐると、正面には中門と、門越しに五重塔と金堂が目に入る。両サイドには築地塀が続き、一気に別世界に入った様だ。中門前で左に折れ、西室、三経院などを先に見てから、いよいよ伽藍の中へ。

五重塔、金堂

 さらに空気が引き締まった感じ。五重塔を目の当たりにすると、やはり言葉を失ってしまう。何より早朝でまだほとんど人がいないのが良い。ゆっくりと拝観できるよう、法隆寺から歩き始めることにしたのは、大正解だった。薄暗い金堂内の釈迦三尊像の前でさらに立ち尽くす。小学校時の感動が甦ってくるようだ。

 伽藍を出ると、何か凄い疲れてる。見たものに圧倒された自分を感じる。東室でご朱印をいただく間に気を落ち着かせ、大宝蔵殿へ。日本史でおなじみの玉虫厨子や百済観音像などが次から次へと洪水のように私の眼前に現れ、さらに圧倒される。

東大門から東院を望む

 東大門でいわゆる西院は終了。大きく深呼吸をしてから、東院へ。この間の築地塀も素晴らしい。

夢殿

 夢殿は快晴の青空の下、まさしく夢のように佇んでいた。もっとゆっくり見たかったが、とりあえずは法隆寺の拝観を終了。ちゃんと見ようとしたら、やはり1日はいりますな。

 ようやく松尾山に歩き出すかと思いきや、ここまできたらやはり中宮寺ははずせない。半跏思惟像の前で気がつけば10分ほど正座して我を忘れていた。しかも涙ぐんでいる始末。アルカイックスマイルに脳天までやられてしまった。ここまでくると我ながら気持ち悪い。
 足が痺れ、ヨタヨタしながら、やっと山に向かう。本当は法起寺や法輪寺も見たかったのだが、これ以上、真正面に古寺、仏像と向き合うと、頭がおかしくなりそうだったので、山に逃げたのだ。

松尾寺へ木漏れ日の歩道を行く

 道標に従い、細い車道をゆるやかに上がり、ゴルフ場の中を抜けると、やっと落ち着いた山道となる。ほぼ等間隔に現れる丁石と周りの雑木林を楽しみながら登ると、奥深い山中に急に山門が現れ、松尾寺に到着。

緑に埋まる松尾寺三重塔

 反対側からは車道も上がってきていた。急な石段を登り、境内へ。本堂前からは大和盆地が一望。ここまで一気に登ってきたので、すっかり上がってしまった息をここで整える。

 山側に建つ三重塔の脇の小道を拾い、稜線に出る。ここからアンテナの立つ松尾山の山頂はすぐそこ。三角点は建物の裏側。展望全くないので、とっとと先へ急ぐ。整備された幅広の歩道が続く。階段があまりないのが救い。

国見台から貝ヶ平山(中央付近)、高見山(右端)を望む

 すぐに展望台(国見台)に到着。ここからは大和平野が一望のもとだが、それよりも、逆光の空に目を凝らしてみると、高見山の顕著な三角錐が目に入ってきた。

 もしやと思い、目を南にずらしていくと、国見岳明神岳の台高北部が、そしてさらには山上ヶ岳、八経ヶ岳もはっきりと確認できた。もっと遠いと思っていたが… 興奮して先に休憩していたおっさんにしゃべりかけたが、話は全く通じず、やむなく先へ向かう。
 この辺りから、何本もの歩道が錯綜し、訳が分からなくなってくる。とりあえず、稜線沿いに進むことにし、車も通れるような歩道をハイペースで進む。

石標の立つ矢田峠

まほろば展望台からの生駒山

 矢田峠から小山に上がると、タワーのような立派過ぎる展望台(まほろば展望台)があり、生駒から信貴山への稜線がすぐ目の前に見える。この次の隆起に矢田山の表示があり、ピークは樹林の中だが、少し下った展望の良い所にベンチがあり、ここで休憩。

六ツ辻峠へ向かう歩道

 子供の森への標識に従い、北東に伸びる尾根へ。周囲の木々にしだいに竹が増えてくる。地元では里山保全のために、竹を枯らす薬剤を散布しているらしい。あずまやを過ぎ、どんどん下っていくと、狭くてえぐれた六ツ辻峠に降り立つ。ここから薄暗く、落葉に埋もれた道をさらに下ると、東明寺に出る。

東明寺

 境内は荒れ気味で、崩れかけた土塀なんかが、より古刹の雰囲気を出している。
 寺のすぐ下で集落に出て、細道を南へ。すぐに薄暗い竹林に入り、あばら屋もあったりして、少々薄気味悪い。

東明寺〜矢田寺間の小道

 すぐに竹林を抜けると、いかにも大和らしい、明るい山里を縫う小道が続き、矢田寺の参道の途中に飛び出した。

矢田寺

 あじさいの時期は、大勢の人で賑わうのだろうが、さすがにこの日は閑散としており、寺務所も不在で、ご朱印もいただけなかった。残念。

 石段を下り、矢田寺前のバス停に出るが、本数少なく、さらに下った横山口のバス停から郡山に戻った。

郡山城天主台

本丸堀

 郡山では、城周辺を散策。筒井順慶が築城し、豊臣秀長が大改修を行い、そして柳沢氏で維新を迎えた名城である。櫓が2基再建されているが、個人的には野面積の天主台と本丸堀(本丸と毘沙門郭の間の空堀)の佇まいがとても印象的だった。

 柳沢氏の菩提寺であった永慶寺(ここの山門は郡山城の南門を移築したもので、お城の建物として現存する唯一の遺構です)に寄ってからのんびりと駅に戻る。歴史の味わい深い年末山行だった。

参考タイム

12/28法隆寺バス停 09:1009:20 法隆寺・中宮寺 10:3011:10 松尾寺 11:3011:40 松尾山 11:4511:50 国見台 12:0012:20 矢田峠 12:2012:25 まほろば展望台 12:3012:35 矢田山 12:4012:50 六ツ辻峠 12:5013:00 東明寺 13:0013:20 矢田寺 13:3013:40 横山口バス停

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