夕張岳

− 花のオフシーズンは人影まばら… 羆の影に脅えながらのドキドキ登山 −

   

山行概要

日 程
2011年8月20日(土)
山 域
夕張山地
天 気
晴れ後曇り
メンバー
単独
コースタイム
登山口=0:55=冷水ノ沢=0:40=望岳台=0:25=前岳湿原=0:40=吹き通し=0:10=夕張岳=1:15=馬ノ背コース分岐=0:45=登山口【4:50】

記録文

登山口のゲート 5:20

 まだ夜は完全には明けぬが、悪天ではなさそうだ。
 身繕いをしていたら、年配の単独行者が出発していった。もう少し人がいてもいいのにな〜と思いながら、こちらも出発。

 10分ほど林道を進むと、冷水コースと馬ノ背コースの分岐となる。何の変哲もない案内板の隣に小さな看板があり、「ヒグマ頻出中!!」と大きい見出しが… 超巨大な雄のヒグマが夕張岳の1400m辺りより上の山上部をテリトリーとしており、異様に人馴れし、人の姿を見ても逃げないらしい。
 えらい物を見てしまった。これで天気が悪かったら撤退していたところだ。涙目になりながら、冷水コースに進路をとる。
 あの看板が正しいとすれば、標高の低い所は出ないはず、その先は登ってから考えようと自分に言い聞かせながら、黙々と進む。
 時折急登を交じえながらのけっこうな登りが続くが、クマの恐怖感からか全然疲れは感じない。

望岳台からの滝ノ沢岳 6:58

 気がつけば、望岳台に到着。ずっと見上げていた滝ノ沢岳と肩を並べる高度まで来た。
 コースタイムの半分ほどで来れたのは嬉しいが、間もなく熊の出没地帯に入ると思うと気が滅入る。ここまで他の登山者の姿は無し。出発時に見かけた単独行者は恐らく馬ノ背コースで登ったのだろう。今日の私のペースで5分も先行していない年配の登山者を捉えられないはずがないからだ。ビビりながら、先へ進む。

夕張岳 7:10

 望岳台から劇的に周囲の見通しが良くなる。特徴的なガマ岩を前景に何度も写真で見た夕張岳の全景がついに眼前に。
 前岳の裾を回りこみ、ダラダラとアップダウンを重ねると、冷たい流水のある憩沢。ここで初めて先行者を発見。老夫婦で、登山口に車内泊して4時頃に出たらしい。ホッとして、憩沢でしばし休憩し、老夫婦に先行してもらう(我ながら情けない…)。

芦別岳 7:31

 遥か芦別岳。6年前の会心の山行は今思い出してもしたり顔になってしまう。
 憩沢から少しの登りで前岳湿原に入る。この先、木道が所々で敷設され、非常に歩き易い。天気も良く、正に天上の楽園。花のシーズンは凄いんでしょうね。
 調子に乗りすぎて、先行の老夫婦をパスしてしまった。怖すぎる。

ガマ岩から前岳を振り返る 7:41

 前岳の手前が湿原地帯。ガマ岩の辺りは木々の背がいったん高くなるが、ひょうたん池を抜けると、一段上の湿原へ。

湿原の最上部辺り 7:58

 これだけ見通しが利けばさすがにクマの恐怖はやわらぐ。それにしてもこの開放感は最高。最近まともな山に行ってないので、本格派の山に行くとけっこうまともに感動してしまう。

吹き通し 8:09

 湿原を越え、急な登りをつめると、尾根を乗っ越す形となり、ゆるやかに下ったところが吹き通し。
 文字通り風の通り道で砂地になっている。写真は乗っ越したところを振り返っている。湿原はこの反対側にある。

 夕張岳は完全に射程距離内。クマの恐怖はどこやら、一気に攻略のつもりでギアを上げて駆け上がるが、上から息急き切って駆け下りてきた男女2人組から、「ホッカホカのクマの糞を見た!! びっくりして踏んでしもた!!!」との話を聞き、一気にテンションダウン。
 果たして、少し進んだところで、思いっきり踏まれた糞を発見。確かに湯気がまだ出ている。事前に告知されていたので衝撃はそれほどでもないが、それでも怖すぎる。
 どう見てもクマはその辺りにいるはずだが、周囲の見通しは抜群なのにハイマツしか見えない。いったいどこに巨体が潜んでいるのか。
 半泣きだったが、ピークまであと10分かかるかどうかのここで撤退は余りにもあんまりである。意を決して、笛を吹き散らしながら、突撃を再開。

夕張岳神社 8:18

 ピークまであと1分。さすがにクマの気配はない。一歩一歩、登頂の喜びを噛み締めながら、ピークへ向かう。

夕張岳 8:37

 3時間弱での登頂は今の私の体力では出来すぎだろう。
 写真は先ほどの老夫婦に撮ってもらいました。埼玉県から来て車で道内の山を登りまくってるらしいです。
 久しぶりの本格的な山頂なので、30分ほどのんびりと過ごす。

来た道を振り返る 8:52

 前岳湿原からこの夕張山頂までの間、「天国」でした。
 帰路は下からじゃんじゃん登山者が上がって来るので、クマの恐怖は全く感じなかった。コースタイム8時間を超える(甘々だが)コースなので、いつもの私なら下りの途中で膝が大笑いするところだが、この日はなぜか快調に歩を進め、スタートから5時間ほどで車に戻ってしまった。
 まだまだやれると自分を見直した山行だった。

参考タイム

8/20登山口 5:206:15 冷水ノ沢 6:156:30 馬ノ背コース分岐 6:306:55 望岳台 7:007:15 憩沢 7:207:30 前岳湿原 7:307:45 ガマ岩 7:458:10 吹き通し 8:108:20 夕張岳 8:5010:05 馬ノ背コース分岐 10:0510:50 登山口

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