−高校ワンゲル部活動の集大成! 白山連峰のほぼ全山を6日かけての大縦走−
山行概要
1985年7月29日(月)〜8月3日(土) | ||
白山連峰 | ||
男7人、女1人 | ||
京福勝山駅=taxi=小原〜和佐盛平避難小屋 | 和佐盛平避難小屋〜小原峠〜赤兎山〜裏赤兎山〜杉峠C.S. | 杉峠C.S.〜六本檜〜三ノ峰避難小屋 | 三ノ峰避難小屋〜三ノ峰〜別山〜南竜が馬場C.S. | 南竜が馬場C.S.〜室堂〜御前峰〜北弥陀ヶ原〜三俣峠〜ゴマ平避難小屋 | ゴマ平避難小屋〜シナノキ平避難小屋〜温泉山〜中宮温泉 |
記録文(写真はクリックで拡大)
高校2年時の大阪府立寝屋川高校ワンダーフォーゲル部の夏合宿。加越国境から白山本峰、さらには中宮温泉までのロングコース、そして自身が主将ということで、入山前はかなりナーバスになっていた…
7/29 晴れ
高校2年時の夏合宿。加越国境から白山本峰、さらには中宮温泉までのロングコースということで、入山前はかなりナーバスになっていた。
京都駅を「雷鳥」で早朝に出発。一人が乗り遅れるというハプニングはあったが、無事全員が勝山駅に降り立つ。タクシーに乗り換えるが、当時の小原林道は物凄い荒れ様で、小原集落のすぐ上手で降ろされてしまい、今山行は地獄の林道歩きで開幕となる。
灼熱地獄と重荷にあえぐこと約2時間で、今日の宿泊地、和佐盛平避難小屋に何とかたどり着く。
ブッシュに囲まれ、倒壊寸前のボロ小屋で、みな「マジでここに泊まんの?」と、一抹の不安がよぎったが、就寝後にその不安は現実のものとなる。蚊(ブヨ)の大軍の来襲がそれであった。とにかく一晩中、耳に羽音がしており、シュラフに顔を埋めながらの寝苦しい夜となった。
7/30 晴れ後曇り
起床時に顔を見合わせた時、みなゲラゲラ笑う。互いに恐ろしいほど顔面が変形していたからである。この気持ち悪い小屋から早く離れたいせいか、準備も早く整い、5時にスタート。
昨日の林道の続きが今日のスタート。1時間余りでようやく林道終点となる。終点からはブナの緑あふれる爽やかな登山道となり、重荷も忘れ、快適に登っていく。
赤兎の山頂は、赤とんぼ舞う気持ちの良い草原だった。目指す白山がはるか彼方に浮かぶ。本当にあそこまでたどり着けるのだろうかと不安になる。
少しの登り返しで裏赤兎山、この山の下りはブッシュがひどく、ルートを何度かはずす。樹林帯まで降りきれば、ルートは明瞭になるが、杉峠まで同じような風景が続く。単調さと疲労に発狂しそうになるころ、ようやく杉峠の標識が現れた。市ノ瀬側に少し下ったところにある水場の傍らが今日のテント場。
疲労のため、みな早々に寝た。
7/31 晴れ後曇り
今日中に南竜が馬場まで足を延ばす予定だが、みな体が重そうだ。六本檜までは、昨日からの単調な歩行が続く。
鳩ヶ湯からのルートが合流すると、いよいよ今コースで最大の標高差700mを誇る三ノ峰への登行が始まる。
頭上の剱が岩は覆い被さり、今にも転がってきそうな急斜面。じっくりと登る。
消耗しきってニッコウキスゲの群落に囲まれた三ノ峰の避難小屋に到着。小屋は展望に恵まれた素晴らしいロケーション。疲労のせいもあったが、満場一致で行動中止を決定、ここに泊まることにする。
それから夕刻まで、昼寝をする者、三ノ峰のピークを往復する者、雪渓遊びをする者など、各自思い思いに過ごす。最高の夏の日だった。
8/1 晴れ後曇り
三ノ峰で日の出を迎える。休養十分で快調に進む。
2000mを少し超えるくらいの稜線ながら、高木はなく、高原状の地形が続く。故に見通しが利き、白山主峰群が前方に望めるようになってきた。
三ノ峰からの別山は南壁を前面に押し出し、なかなか勇壮な姿を見せているが、対照的に僕らの進む尾根はなだらか。御手洗池付近は、高原状の地形に花が咲き乱れる楽園だった。
一気に高度を上げ、別山頂上へ。あれほど遠かった白山の主峰群がだいぶ近づいてきた。
別山から御舎利山を越え、油阪の頭へ。ここから油坂を駆け下りると清流が流れる南竜が馬場。今日も昼前に到着。テントを張った後、清流のほとりでのんびりとクールダウン。
8/2 晴れ後曇り
いよいよ白山本峰を目指す。南竜から室堂まで4本もあるルートのうち、一番東寄りの展望歩道を選ぶ。
このルート、名前通り、アルプスや別山の展望が素晴らしい。昨晩泊まった南竜が馬場も見下ろすことができる。
室堂に近づくにつれ、大きな雪田を横切る箇所が何度か現れる。
室堂に到着。これまでの4日間で出会ったより数倍の人々がおり、町中に降りたような錯覚を覚えた。
御前峰は、もうすぐそこ。ジグザグのスッテプを快調に重ね、ようやく白山本峰にたどり着く。遠望はもうガスで霞んではいたが、はるばるやって来た満足感は格別。
北側に下り、翠が池畔を通り、ヒルバオ雪渓で昼食。クロユリの群落が印象的だった。ここから今日の宿泊地、ゴマ平の避難小屋まで、2日目以上の忍耐力が要求される。とにかく長かった。ゴマ平避難小屋着16時。白山の懐の深さを実感した1日だった。
8/3 晴れ
ようやく最終日。今日も下り一方のコースで、そんなにしんどいコースではないはずなのだが、6日目とあって体が異様に重い…
途中の滝ヶ岳付近からの白山主峰群の眺めは一服の清涼剤だった。
だいぶ高度も下がってきて、炎天下の下、特に温泉山を越えてからは体中が焼けるようだ。しかも私は3日目以降、Tシャツに短パンといういでたちであり、日焼けはほとんど火傷と化している。
最後は蒸せ返るような樹林帯を下ると、湯谷に降り立った。中宮温泉は素晴らしいお湯だった。日焼けの激痛を除いては…
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諸国名山探訪
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