薬師峠ベースからの黒部五郎岳、薬師岳ピストン

−薬師峠ベースで百名山2峰をピストン! 悪天予報のはずが、なぜか好天に恵まれる−

   

山行概要

日 程
2017年8月4日(金)〜6日(日)
山 域
北アルプス
メンバー
♀1名(MM)、♂3名(AM君、KN君、ピロシ)
コースタイム
8/4
折立=1:35=1869.9三角点=0:50=五光岩ベンチ=1:20=太郎平小屋=0:15=薬師峠C.S.【4:00】
8/5
薬師峠C.S.=0:15=太郎平小屋=1:30=北ノ俣岳=0:55=中俣乗越=1:35=黒部五郎の肩=0:10=黒部五郎岳=0:10=黒部五郎の肩=2:05=北ノ俣岳=1:10=太郎平小屋=0:15=薬師峠C.S.【8:05】
8/6
薬師峠C.S.=1:10=薬師岳山荘=0:55=薬師岳=0:45=薬師平=0:25=薬師峠C.S.=0:20=太郎平小屋=3:10=折立【6:45】

記録文(写真はクリックで拡大)

 8/4 曇り時々晴れ

 何とか休日を合わせ、今年唯一の職場アルプス山行を実行する。
 もともとは、涸沢ベースで、北穂〜奥穂の手ごわい岩稜コースを予定していたが、今夏はかなりの天候不順で、直前の天気予報もイマイチ…
 初心者集団を連れていくにはチト腰が引けたので、危険個所の少ない、薬師峠ベースキャンプからの黒部五郎、薬師岳Wピストンという、安直プランに急きょ変更する。

 京都を1時前に発進する。途中、北陸道が、金沢森本IC〜小矢部IC間で事故のため通行止めというハプニングもあったが、何とか有峰林道が通行可能となる6時前には料金所に到着し、登山口の折立には7時過ぎに到着。金曜日だというのに、登山口近くの駐車場は満車で、周辺の路肩にも車が溢れており、駐車区画ではない隙間に何とか車を止める。

折立を出発 7:15

 私は半袖半パンの舐めた姿で出撃。久しぶりのテント装備でザックが重い。太郎兵衛平への登山道は、いきなり「太郎坂」と呼ばれる急登で幕を開ける。
 最初の1本で私は一気に体中汗だくとなり、今回もトレを全くやってこなかったMMは、すぐに急坂の遥か下方に消えた…
 登山者があまりに多く、何度もすれ違い待ちや、追い抜き待ちを余儀なくされ、自分のペースで登れないのも、疲れに拍車をかける。

富山市街を見下ろしながら登る 9:10

 それも1869三角点までの辛抱で、ここからは穏やかな広尾根のダラダラ登りが続いていく。が、遮るものの無い尾根のため、紫外線が直撃し、無防備の私は一気に全身真っ赤っかに…
 予想に反して頭上は晴れており、紫外線に思いっきり照射されるが、薬師岳をはじめ、アルプスの高峰たちは雲の中であり、僅かに鍬崎山と富山市街が下方に確認できるのみで、テンションは今一つ上がらない。

太郎平小屋に到着! 11:09

 緩やかなものの、ダルいとも言える登りを何とか頑張っていくと、広大な草原の彼方に太郎平小屋の姿が現れた。

北アルプス中央部の大観が! 11:11

 小屋前までたどり着くと、何と、期待していなかった水晶岳をはじめ、北アルプス最深部の山々がガスの切れ間から垣間見え、テンション急上昇↑
 もう我慢できず、ここでビールで乾杯! サイコー!

薬師岳を望みながら薬師峠へ 11:54

 あまりに到着が遅くなると、良いテン場が無くなってしまうので、何とかロング缶1本で我慢し、薬師峠へ下っていく。

薬師峠キャンプ場が見えてきた 11:57

 やはりすでに薬師峠のキャンプ場は、大部分が埋まってしまっており、何とか、少し下った辺りに、やや傾いてはいるが2張分のスペースを確保した。

KNの不良品MSR(笑) 15:46

 早速テント設営に取り掛かるが、この日に備えて新調したドレイのKNのMSRがどうにもしっくりこない。事前に1回も設営していないという論外ぶりはともかく、1時間近くもAM氏とあーだこーだと試行錯誤を繰り返した挙句、やっと建ったテントのインナーはヨレヨレのまま…(笑) 結果、このMSRは「不良品」と認定された…(笑)
 落ち込むKNを横目に、少し早いが15時には宴会開始! 16時には早くも泥酔状態となり、寝不足もあり、そのまま爆睡した…

 
   

 8/5 快晴後曇り

 2時起床。早すぎるが、今日の予定は黒部五郎岳のロングピストンで、コースタイム10時間超なので、万全を期しての行動である。
 テント撤収が必要ないのに、1時間以上も準備にかかってしまい、3時10分にサイトをスタート。暗闇の中を太郎平小屋へ。
 この日も天候は期待していなかったが、何故か晴れている(笑) 富山市街の夜景がくっきりと見下ろせる。
 小屋からいよいよ黒部五郎へ続く稜線を進む。この区間、私は何と大学2回生以来、29年ぶりの再訪である。

空が白み始める 4:46

 だだっ広い稜線を暗闇の中進むが、木道が続き、ルートミスの心配は全くない。

北ノ俣岳山頂からの薬師岳 5:03

 徐々に空が白み始め、北ノ俣岳の辺りで日が出た。一気に周囲の山々がモノクロからフルカラーに変貌していく…

水晶岳の横から日の出が… 5:07

 久しぶりの北アルプス中央部の大観に、しみじみと「来て良かった」と思う。それにしても、これなら余裕で穂高に行けたな…(笑)

最高の1日になる予感… 5:10

 笠、乗鞍、御嶽と、百名山3ショットを眺めながら、黒部五郎へ向けて進軍開始!

赤木岳を巻き2575mの岩峰へ向かう 5:37

 ピークのすぐ横を縦走路が通過する赤木岳(ハイマツが濃くて、ピークへ行くには松ヤニだらけになるだろう…)を恨めしく眺めながら、次の2575m岩峰を注意深く越えると、いよいよ黒部五郎が目の前に。圧倒的な高さとボリュームで聳え立っている。

黒部五郎岳が行く手に立ちはだかる 6:46

 恨めしいほど一気に下り、赤木岳との最低鞍部に降り立ち、さあ、最後のアタック開始である。

薬師を背に黒部五郎への急登に挑む 7:22

 頂稜を見上げると、首が痛くなるほどの急登だが、そこはサブザックの身軽さで、一気にカールへの下降路の起点となる黒部五郎の肩に到着。

ついに槍・穂高が降臨! 7:38

 ここで黒部五郎本体に、これまで遮られていた槍・穂高の連峰がついに列をなして我々の眼前に展開! 思わず「すげえ!」と皆から声が…

五郎のカールと、赤牛、水晶、鷲羽岳! 7:58

 ここからピークへは5分ほど。頂稜からは、五郎のカールが見下ろせ、その背後に水晶岳が左右に赤牛岳と鷲羽岳を従えている。最高!

黒部五郎岳! 8:04

 さすが百名山。大展望のピークは人で溢れかえっていた。
 何とか山頂標識を瞬間占拠し、4人での撮影に成功! 29年ぶりの再登で、前回はガスで真っ白だっただけに非常に感慨深い。

黒部五郎岳山頂からの槍・穂高! 8:21

 先ほどの肩から、さらに凄みを増した大展望が全開! 夏山最高!

北ノ俣岳へ戻る 9:09

 満ち足りて、復路を開始。今まであまりの展望に気にならなかったが、紫外線が半端ない。特に復路では背後から焼かれ続け、私の首裏とふくらはぎは完全に終わった… 何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのか…

北ノ俣岳から下った湿原地帯 11:19

 復路は、ビールが頭にちらつく野郎3人組は、戦力外のMMを切り離して(ヒドい…)快調にぶっ飛ばし、太郎平小屋には12時ジャストに到着。

北ノ俣岳へ戻る 9:09

 おでんと生ビール(1000円)を注入し、昼からグダグダに… 気が付けばMMは小屋を通過し、サイト場に戻っており、互いの所在が分からず、ヤキモキすることになってしまった(行動中のパーティ解体は遭難の元なのでやめましょう)。

 赤ら顔でテントに戻り、豊富な冷水を頭からかぶるなど、紫外線に焼かれた体を急速冷却(遅い…)し、この日も15時から宴会を開始!
 昨日以上にグダグダとなり、16時半にはテントに沈没した…らしい。と思ったら、激しい夕立に襲われる。今回の寝ぐらのMMのエアライズ2人用の張り具合は完璧だし、普段の泥酔した私なら夕立程度の物音ではピクリともしないのだが、ベンチレーターの角度が悪く、気が付けば、何と、私のシュラフに向かって雨が滝のように降り注ぎ続けていたのである(笑)
 慌ててベンチレーターの角度を修正し、ビショビショになったシュラフで何事もなかったかのように再び爆睡…

 
   

 8/6 曇り時々晴れ

 おきて破りの1時半起床。薬師岳ピストンをこなし、京都に早めに帰還するために、このような決断となった。
 周囲に気を遣いながら朝食を取り、薬師岳の攻略に向かう。
 真っ暗闇の中、いきなりの沢沿いの急登をこなす。見通しが利かず、ルートは錯綜しているが、沢筋さえ外さなければ問題なし。登り切ると平坦な薬師平に出るが、この時間では暗くて良くわからない。
 一気に森林限界となった尾根上の斜面を登る。上部はガスが走っているようだ。星は見えない。
 だだっ広い主稜線に出ると、薬師岳山荘はすぐ先だ。

ヘッドライトの灯りが薬師山頂に伸びる 4:25

 御来光を目指す宿泊者が次々と出発しており、小屋のすぐ上部では軽い渋滞も起きる中、黙々と登り続ける。ガスがどんどん飛ばされていく。御来光の直前で5年ぶり3回目となる薬師岳のピークに到着。

ガスの薬師山頂 4:35

 ガスが晴れたり曇ったりという状況で、残念ながら御来光は拝めなかった…

薬師中央カールと遥かに槍 5:06

 それでも槍や穂高の姿は拝むことができ、満足してテントに戻る。

薬師平 5:50

 昨日の長丁場で膝を痛めたAM氏と低機動のMMを残し、私とKN隊員は小走りで先に下り、テント撤収にとりかかることに。

テント場へ高速下山 6:14

 AM氏とMMもそれほど遅れることなくサイト場に到着し、順調にテント撤収を終えたのが7時前。さあ、後は折立に下るのみである。

太郎平小屋へ戻る 7:06

 酒と食料はほぼ飲み&食べ尽くしたのだが、雨水を吸ったテントのせいか、軽くなった気がしない(涙)…

折立へ下る。長い… 7:35

 徐々に蒸し暑くなってくる中、汗ドロドロになりながら、折立に無事下山した。
 いつものように、富山ICに近接している「長八温泉 花の湯館」の源泉かけ流し湯で3日間の汗を流した後、レベルの高い北陸回転寿司界の雄「氷見きときと寿司 太郎丸店」で打ち上げ! 私は日本酒で泥酔…(運転のKN隊員すいません)
 天候とメンバーに恵まれた最高の3日間だった。

 
   

参考タイム

8/4折立 7:158:50 1869.9三角点 8:559:45 五光岩ベンチ 9:5011:10 太郎平小屋 11:5012:05 薬師峠C.S.
8/5薬師峠C.S. 3:103:25 太郎平小屋 3:254:55 北ノ俣岳 5:056:00 中俣乗越 6:007:35 黒部五郎の肩 7:508:00 黒部五郎岳 8:358:45 黒部五郎の肩 8:4510:50 北ノ俣岳 10:5012:00 太郎平小屋 13:1013:25 薬師峠C.S.
8/6薬師峠C.S. 2:303:40 薬師岳山荘 3:404:35 薬師岳 5:055:50 薬師平 5:506:15 薬師峠C.S. 6:557:15 太郎平小屋 7:2010:30 折立

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