武甲山

−チープ卒業旅行の第1弾! 石灰岩の採掘で大きく削られた秩父の名山を攻略−

   
   

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山行概要

日 程
1991年3月24日(日)
山 域
奥武蔵
天 気
晴れ後曇り
メンバー
単独
コースタイム
秩父鉄道浦山口駅=0:50=登山口=1:10=武甲山=0:30=林道出合=1:25=西武横瀬駅【3:55】

記録文

 学生最後の山旅。これからは今までのように山に行けないと思うと、少し悲しい。山に深く浸るため、あえて一人で歩むことにする。
 いきなり学生らしく、大垣発の東京行き鈍行(現在はムーンライトながら)に乗り、東京へ。ゆえに深刻な睡眠不足である。乗り換えを重ね、西武の秩父駅へ。駅前からは武甲山の無骨な雄姿がくっきりと望まれていて、いつもならモリモリと登行意欲が湧いてくるのだが、今回は駅のベンチでいつまでもグズグズとしてしまう。
 ようやく重い腰を上げ、秩父鉄道に乗換え、浦山口に着いたのが8時半。この辺で朝食を食べようと思っていたが、駅前は何も無かった… 諦めて歩き出す。すきっ腹を押さえながら、橋立川沿いの林道をさかのぼる。ザックの中には小さなパイが2つだけ。どうにでもなれという気持ちで歩を進める。天候はこの悲惨な状況を慰めてくれるかのような素晴らしさで、谷の中を爽やかな風が吹き抜けてゆく。半時間ほど歩き続けた頃には空腹のことなどすっかり忘れ、気持ちの良いハイクを満喫する。
 右に伊勢岩ノ谷を分けると登山口はすぐそこ。ここからはジグザグの本格的な登りとなり、じっとりと汗ばむ。長者屋敷ノ頭付近まで上がれば、展望は思いのまま。上越の山々や、八ヶ岳、そして明日登る両神山が望めるようになる。ここまでは快調に登ってきたが、ジラシクボの分岐を過ぎてからは、やはり空腹には勝てず、バテバテとなった。延々と山腹のトラヴァースを続けた後、唐突に表参道との合流点に飛び出す。ヤレヤレだ。ここからすぐ御岳神社の境内となり、現在の武甲山の事実上のピークである展望台はこのすぐ裏手。裏に回り込むと、思わず息を飲む景観がそこにはあった。展望台は崖の上に建っており、その直下から山肌はえぐり取られ、下を覗くと約300m下の石灰岩の採取現場まで吸い込まれそうだ。遠望はきかなくなっていたが、しばらくここでほっこりする。

横瀬から武甲山を振り返る

 肌寒くなってきたので表参道にルートを取り、下山を開始する。傾斜はかなり急だがよく整備され危険はない。半時間で林道に出合う。そこからは石灰岩を運ぶトラックに怯えながらの林道歩きとなる。横瀬駅近くまで来ると辺りはのどかな秩父の田園風景が広がり、まことに穏やかな気分で今山行を終えることができた。

 再び秩父に戻り、小鹿野町営バスを乗り継ぎ、明日登る両神山の登山口、日向大谷に向かった。

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諸国名山探訪

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