−大辺路最大の難所と言われる「富田坂」を越え、周参見へ。海沿いかと思いきや、ほぼ山間部を行く−
山行概要
2016年12月31日(土) | |
熊野古道大辺路 | |
快晴 | |
単独 | |
JR紀伊富田駅=0:25=草堂寺=0:25=七曲がり登り口=0:45=富田坂茶屋跡=0:15=安居辻松峠=0:40=祝の滝分岐=0:40=三ヶ川バス停=0:15=口ヶ谷バス停=0:40=仏坂登り口(安居の渡し場)=0:25=仏坂茶屋跡=0:15=下村バス停=0:30=地主社=0:35=周参見王子神社=0:10=萬福寺=0:05=JR周参見駅(すさみ海水浴場)【6:05】 |
記録文(写真はクリックで拡大)
このコース中、仏坂登り口に向かう日置川沿いのルートは、水害により大きく崩壊しています。山歩きに慣れない方は、通行せず、渡し舟を利用してください。
昨日の紀伊田辺〜紀伊富田駅に続く、熊野古道2日目。
極寒の朝がようやく明けた、って言うか、全く明けてない。寒さに我慢できず、もう限界と動き出す。せめてカイロを買っとくべきだった…(涙)
車を早く動かしたいが、フロントガラスが凍バリバリで全く視界がクリアにならない… 何とか前方が見えるようになるまで、10分ほど要してしまう…
紀勢道の上富田ICへ周参見へ向かう。1車線だが無料開放である。すさみICからJR周参見駅へ向かうが、周囲にコンビニはなく、紀伊田辺で買っておいたら良かった。
食料をどうしようか途方に暮れていると、駅前近くのR42に灯りを発見。どうも釣り客目当てで早朝から開けている地元の雑貨スーパーらしい。梅と鮭しかなかったが、何とかおにぎりを調達する。JR周参見駅周辺は車を自由に止められるスペースがなく、これまたどこに止めようか思案していると、駅近くの海べりにすさみ海水浴場があり、大きな無料駐車場があった。周参見駅は歩いて5分ほど。
周参見駅は、この辺りでは拠点駅となっているようで、珍しく駅員が常駐している。待合室にも暖房が入っており、美麗なトイレもあったりと、6時28分発の紀伊田辺行始発まで、のんびりと過ごす。
6時49分に昨日のゴールである紀伊富田駅に到着。
メッチャ寒い。高速で歩いて早く体を温めるしかない。富田橋まで昨日と同じルートを戻り、富田橋右詰めで車道を渡り、石経の集落内を真っすぐ進んでいく。
集落内を左折し、山裾へ向かうと、草堂寺が近づいてくる。
草堂寺は、もと真言宗の円光寺といい、慶安元年(1648)に再興された際、臨済宗に改宗し、寺号も草堂寺と改められた。
18世紀末、円山応挙の高弟、長沢芦雪が、この寺院に招かれ、襖絵や屏風絵を数多く描き、現在も残っている。
寺の横に、富田坂の登り口があり、薄暗い竹林の中の地道を登っていく。
いったん、林道に合流し、なだらかに登っていく。途中は、要害山城へ向かう細道が分かれていた。
やがて林道終点となり、「七曲がり」と呼ばれる、九十九折れの急登となる。さすがに大辺路一の難所と言われた富田坂である。やっと体中が温まってきた。息も切れる。
茶屋跡を過ぎると、登りはゆるやかとなり、遥か白浜方面の展望も広がる。
あまり峠という感じのしない、安居辻松(あごつじまつ)峠を越え、しばらく進むと、トイレのある広場に出、ここから林道に合流し、安居に向かって下っていく。
急な林道で、もったいないくらい、どんどん下り、あっという間に日の当たらない、寒々しい谷間に着陸。三ヶ川沿いに下る。途中、祝の滝への分岐が分かれるが、あまりすっきり見えないということだったので、割愛。
淡々と林道を下っていくと、県道に合流し、三ヶ川バス停に到着。この先の安居集落には、「安居の渡し場跡」があり、実際に数年前に渡し舟が復活したらしく、3日前までに予約すれば乗れるらしいが、大晦日だし、どうせ運航しないだろうと最初から歩くつもりでいた。故に、日置川を迂回するために、県道を西へ、口ヶ谷バス停方向へ向かう。
日置川を渡る。良い天気です。対岸の下地集落の中、日置川の上流方向へ進む。
集落の果てに害獣除けのフェンスがあり、ここを抜けると、仏坂入口の古い看板が立ち、地道になるが、藪っぽい。あまり歩かれてないようだ。
和歌山県のホームページに、「H24.3時点で水害のため通行不可」と書いてあったのは確認していたのだが、どうせ4年以上も前だし、修復しているだろうと勝手に判断して突入する。
しばらくは普通に進む。川岸がなだらかなところは普通に進めたが、すぐに道が消えた… 完全に崩れており、木を掴みながらでないと、日置川に転がり落ちること必至である。
あまり高巻き過ぎると、進退窮まってしまうので、できるだけ水面から離れ過ぎないように、慎重に慎重に進む。
しばらく崖と格闘していたら、川岸がなだらかになり、ホッとするが、なかなか仏坂の登り口に着かず、ヤキモキする。対岸の安居集落はすぐ目の前に見え、渡し舟を頼むんどいたら良かったと激しく後悔する。
何とか道標の立つ、渡し場に到着。この時ほど、山登りをやっていて良かったと素直に思えました。実際、この個所を歩く場合は、それなりのテクが必要だと思います。
対岸の渡し舟が虚しい… いやぁ〜疲れました。
一息入れてから、仏坂を登る。坂は川岸から一気に山上目がけ、真っ直ぐ登っていく。かなりの急坂で、一気に汗が噴き出す。
とは言え、20分ほどで傾斜は緩み、桂松跡、茶屋跡といった標識が連続する。
峠の頂上部から、少し下ると、すぐに車道に合流する。私の古いガイドブック「熊野古道を歩く旅」(山と渓谷社)では、車道を辿らず、そのまま山道を下降するという案内になっていたが、和歌山県のHPに掲載の最新マップでは、車道を降りるというコースになっていた。
さっきのルート崩壊の件があったので、味気ないが、無理せず車道を下っていくことに。
林道を一気に下ると、太間(たいま)川に降り立ち、下村のバス停に到着。「周参見駅まで6.5キロ」の標識にげんなり。
太間川に沿って、県道222号線をひたすら下っていく。
大きく川が蛇行する辺りに地主社の標識が現れ、森の中の境内へ。
社がなく、石段しかないなぁと思っていたら、背後の巨石を含む森林全体がご神体で、あえてお社は設けられていないとのことだった。昔はこれが普通だったらしい。
さらに下る。きのくに線に沿うようになると、ところどころ民家も現れるようになる。
松の本踏切を渡り、さらに堀切踏切を渡ると、ついに、すさみ町の一角に入る。
細い路地を抜けると、周参見王子神社。
周参見王子神社は、天文15年(1546)、当時の周参見領主、左衛門太夫藤原氏安によって、那智大社から勧請されてきたという。主神は天照大御神。
この王子神社には、数十点の絵馬が奉納されていることで有名で。中でも30点余の船絵馬からは、稲積島の浮かぶ天然の良港、周参見港が荒海の熊野・枯木灘を行き交う浪速・江戸航路の中継地・避難港として栄えていた当時の様子を伺うことができる。
すさみ町役場等が立つ、メインストリートを抜けると、JR周参見駅は近い。
駅玄関の反対側には、萬福寺が建つ。
萬福寺は、禅宗臨済派、京都妙心寺の末寺で、寛永14年(1637年)京の高峰和尚が開基し、享保年間に火災により消失したが、第八世寛道和尚が、天明元年(17811年)本堂を再建した。
長沢芦雪(江戸時代の絵師で、円山応挙の高弟)が障壁画を書いた記録が残っている。
稲積島をバックに、周参見の海が青い。25キロほどの充実ハイクだった。
明日は串本近くまで進む予定なので、その辺りに泊まろうと、本州最南端の街へ。
以前も利用したことがあり、そこの駐車場で寝ようと思っていた「サンゴの湯」へ向かうが、何と大晦日と元旦は休業していた…(涙)
ここで寝ようとは思ったが、とりあえず風呂には入りたいので、急きょ、ググッたところ、「南紀月の瀬温泉ぼたん荘」が営業しているとのことだったので、そちらで一浴。
串本市街に戻ってきた。大晦日の晩なので、市内の飲食店は予約で一杯のところが多く、仕方がないので、駅近くの回転ずしへ。年越しなので、サイドメニューのそばも頼んだが、侘しいことこの上なし。
そして、誰もいない「サンゴの湯」の駐車場で、悲惨な年越しとなった。悲惨すぎる… しかも2年連続である。自爆だが…
寒い…
明日の行程(周参見〜田子)へ。
参考タイム
12/31 | JR紀伊富田駅 6:55 ⇒ 7:20 草堂寺 7:25 ⇒ 7:50 七曲がり登り口 7:50 ⇒ 8:35 富田坂茶屋跡 8:35 ⇒ 8:50 安居辻松峠 8:50 ⇒ 9:30 祝の滝分岐 9:30 ⇒ 10:10 三ヶ川バス停 10:10 ⇒ 10:25 口ヶ谷橋 10:25 ⇒ 11:05 仏坂登り口(安居の渡し場) 11:10 ⇒ 11:35 仏坂茶屋跡 11:35 ⇒ 11:50 下村バス停 11:50 ⇒ 12:20 地主社 12:25 ⇒ 13:00 周参見王子神社 13:05 ⇒ 13:15 萬福寺 13:15 ⇒ 13:20 すさみ海水浴場 |
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