岩菅山・裏岩菅山

−前回ガス一色だった岩菅山を23年振りにリベンジ! ド快晴のピークで展望を満喫−

   
  

山行概要

日 程
2021年7月22日(木祝)
山 域
志賀高原
天 気
晴れ
メンバー
単独
コースタイム
聖平登山口=0:10=小三郎小屋跡=0:15=アライタ沢=0:35=岩菅山中間点=0:25=ノッキリ=0:25=岩菅山=0:30=裏岩菅山=0:30=岩菅山=0:20=ノッキリ=0:20=岩菅山中間点=0:25=アライタ沢=0:20=小三郎小屋跡=0:05=聖平登山口【4:20】

記録文(写真はクリックで拡大)

 オリンピック開幕の4連休。昨年なら家でおとなしくしていたかもしれないが、ある程度の知見を得た現在、私の山旅の行動スタイルなら、全くリスクは無いと判断し、出撃することに。
 昨夏も同様だったが、本当はアルプステント泊がしたいのだけれども、雷鳥沢とか一部の大規模サイト場を除いては、事前予約が必要になっており、4連休中は既にどこも満杯になっており、今年も断念…
 そうなると、暑さがまだマシで、日帰り可能な中級山岳をターゲットとせざるを得ず、結果的に、2年連続、志賀高原に向かうことにした。
 本当は車中泊にしたいのだが、普通車しか持っていない私では、この時期は焼け死んでしまうので、直前の予約だったが、湯田中温泉の宿が何とか確保できた。山も無理せず、天気が悪かったら、酒と温泉にまみれるつもりであった(笑)…

 7/21 晴れ

 いつもなら、前夜発で旅程を少しでも有効に使おうとするのだが、最近、あまりガツガツしてない(笑)ので、しっかり寝てから、5時過ぎに枚方を出発。
 早朝なので、快調に車を進め、あっと言う間に信州へ。この日は湯田中温泉に入るだけなので、どうせなら、これまでなかなか行く機会のなかった日本100名城の高遠城跡に寄り道しようと思いつき、そして、「高遠って、たしか蕎麦が旨かったな」というのも思い出し、小黒川というスマートICで中央道をいったん離れ、伊那市の中心部を経由し、東へ進んで行くと、高遠城下に入る。
 こじんまりとした城下町を東へ抜けると、高遠城址公園へ車道が延びており、一気に山上へ。城址公園の北口に車を止め、二ノ丸跡へ入っていく。
 すぐ左手に、高遠閣という、町民の集会場及び観光客の休憩施設として建てられた建物が目に入る。
 昭和11年(1936年)に高遠町出身の有志らの寄付で建てられ、木造2階建、鉄板葺、入母屋造、2階には200畳敷の大広間があるなど大規模な造りで、千鳥破風、唐破風などを備えつつも、内部・開口部・車寄せなど近代的要素も取り入れており、昭和初期の大規模和風建築としては稀有な建物であるとして、国の登録有形文化財になっている。
 二ノ丸から本丸へは、内堀で区切られており、桜雲橋で渡り、本丸跡へ。

問屋門から本丸跡へ 10:29

 本丸入口には、問屋門が建つ。この門は、元々、高遠城下本町の問屋役所にあった門で、昭和20年代、問屋役所の建物を取り壊す際、歴史ある門が高遠から失われることを惜しんだ町の有志が買い戻し、募金を集めて城跡に移築したものである。

本丸跡からの中央アルプス 10:31

 高台の本丸からは、中央アルプスが一望。アルプスに登りたい〜
 高遠は、遠江、信濃、甲斐を繋つなぐ交通の要所であり、諏訪氏から分かれた高遠氏が南北朝期頃から拠点を築き、支配していたが、戦国期に武田氏が高遠を奪取、城を大幅に改修し、以降30年以上支配していたが、長篠合戦後の天正10年(1582年)3月、信長の長男信忠軍の猛攻を受け、1日も持たず落城。信玄の五男である城主仁科盛信は自害した。
 武田氏滅亡後、武田の旧臣保科正直が一時支配し、そのまま家康の配下となり、江戸時代に入ると、高遠藩3万石として、保科、鳥居、内藤氏の3家が入れ替わり城主を務め、明治維新を迎え、高遠城も廃城となった。

太鼓櫓 10:31

 本丸の南西隅には太鼓櫓が建つ。
 明治時代に建てられた櫓で、時を告げる太鼓が置かれた。以前、時の太鼓は搦手門の中にあったが、明治に入り搦手門が取り壊されると、いったん城の対岸の白山に太鼓櫓が建てられ、太鼓も移されたが、明治10年(1877年)頃に現地に移築され、昭和18年(1943年)まで朝6時から夕方6時まで、偶数時に太鼓が打ち鳴らされ、時を告げていた。

桜の木に埋め尽くされる本丸跡 10:32

 高遠城は、城跡というよりは、毎年4月の「高遠さくら祭り」の方が有名で、本丸跡はもとより城跡中が桜の木で覆われている。
 もともとは、城下にあった「桜の馬場」が、高遠藩内で最も有名な景勝地として知られていたが、明治に入り、廃城後、公園として整備されることになったのを機に、「桜の馬場」の桜が城内に移植されたのが始まりとされる。
 「タカトオコヒガンザクラ」という固有種で、やや小ぶりで赤みが強い花が特徴であり、現在、城跡周辺に約1500本が生育しており、タカトオコヒガンザクラ1種類のみで、これほどの樹林を形成しているところは他にないため、「高遠のコヒガンザクラ樹林」として、昭和35年(1960年)に長野県の天然記念物に指定されている。

「壱刻」さんの高遠そば! 11:16

 そして、高遠訪問のもう一つの目的であるそば屋さんへ。高遠屈指の名店である「壱刻」さんに始業10分前に並びに行ったが、平日なのに既に2名並んでいた…
 そして、入店。そばの種類もいろいろあるが、オーダーは、一度は姿を消した在来種を復活させた、「入野谷在来種」の十割そば大盛をチョイス。この「入野谷在来種」は、独特のナッツのような風味が特徴である。
 そして、通常のそばつゆで食すのに加え、「大根の搾り汁」に「焼き味噌」と「ネギ」を入れ、「辛つゆ」と呼ばれるツユを作り、それをつけづゆにしてそばを食べる「高遠そば」をチョイス。高遠では、まだ鰹も昆布も醤油も無かった戦国時代から、このスタイルでそばを食しているようだ。

鴨汁もオーダー! 11:18

 そして、実食。まずは岩塩だけでそばを食す。香りが引き立つ。もちろん「辛つゆ」で食す「高遠そば」も旨い。そして何よりも、ノーマルなそばつゆで食すのも旨い。信州産大豆を使った味噌、醤油で熟成させた「カエシ」に、本枯れ節をベースとした、枯れさば節、枯れ宗田節の3種の節類と真昆布・干ししいたけでとった「ダシ」とで作ったつゆで、エッジが利いていて、激旨。でっかい徳利に入って出てきた、そば湯を全部飲み干してしまった(笑)…
 鴨汁も絶品。これにそばをつけても旨い。そば大盛にしておいてよかった〜

旧湯田中駅舎 17:03

 大満足で高遠を後にし、湯田中温泉に向かう。2時間ほどで到着。一帯は物凄い雷雨(笑)… 何とかチェックインし、温泉に入ったりしながら、夕方までまったり過ごす…
 17時になり、温泉街に繰り出す。飲む前に旧湯田中駅舎に寄り道。この駅舎は昭和2年(1927年)4月の開業で、志賀高原にちなんだ山小屋風の駅舎は、当時とすれば大変モダンで開業当時は大変な人気を博したらしい。
 昭和31年(1956年)、国鉄の急行列車が乗り入れることになり、ホーム反対側に現駅舎が新設され、鉄道駅としては廃止された。
 現在は、リニューアルされ、交流スペースとして活用されている。平成17年(2005年)2月に文化財登録された。

「味処 みかさ」さんで夕食@ 17:27

 さぁ、今宵も飲むぞ!
 信州と言ったら馬刺しでしょう! 生ビールと馬刺しでスタート!

「味処 みかさ」さんで夕食A 17:37

 そして、カツ煮へ。信州南部はソースかつ丼が主流ですが、この辺りは王道の卵とじが主流のようです。
 この後、部屋呑みもしながら、泥酔するが、明日は早いので、20時頃には寝ていた…

 
   

 7/22 晴れ

 3時半起床(笑) しかも部屋でインスタントラーメンの朝食。この日は連泊なので、最小限の荷物で出撃。目指すは、23年前に登頂したが、ガス一色でほとんど記憶がない、志賀高原の山で唯一、二百名山に選ばれている岩菅山である。
 かって知ったる志賀高原へのワインディングを駆け上がり、発哺温泉を過ぎ、岩菅山の聖平登山口に無事到着。私が一番手で、すぐにもう1台が到着した。

聖平登山口 4:40

 登山口から、まずは上方に流れる上条用水路に合流するため、それなりの傾斜の道で幕を開ける。
 10分の登りで、上条用水路に突き当たり、一ノ瀬から用水路に沿ってやってくるルートに合流する。23年前は、たしか聖平からのルートは無かったので、一ノ瀬から歩いている。

アライタ沢が近い 5:05

 ここからしばらくは、上条用水路に沿った雰囲気の良い平坦路が続く。
 上条用水路とは、岩菅山山麓のアライタ沢から湯田中まで、約23kmの用水路で、幕末から明治の初めにかけて開削され、約160年以上経った今も農業用水として利用されている現役バリバリの用水路である。
 ほとんど記憶のない前回の山行だが、この上条用水路だけは良く覚えている。15分ほどで用水の起点であるアライタ沢に到着。沢を橋で渡ると、登山道は触筋を離れ、本格的な登りが始まる。

岩菅山が近づく 5:56

 尾根に乗るまでの急登を乗り切ると、しばらく緩やかになり、また急登…
 しだいに尾根が明確になり、一定の斜度の登りが続く。まだ6時前(笑)で、陽の直射がなく、涼しいのは助かる。
 岩菅山中間点の標識を過ぎると、上部の見通しが利くようになり、岩菅山が視野に入ってきた。まだまだ、遠く、高い…
 最後、ルートは左手へ尾根から離れ、トラヴァース気味に緩やかに登って、主稜線上のノッキリに到着。なかなか快調なピッチだった。

岩菅山へ最後の登り 6:10

 いよいよここからは、岩菅山への直接アタック。陽を直接浴びるようになるので、日焼け止めを入念に塗る。
 岩菅山までの前半部は、正面にピークを見据えながらの緩登が続くが、徐々に傾斜が増し、ガレ場の急登となる。木製の階段が方々で崩壊し、非常に登りにくい(逆にペースが上がらないので、いつも自分のハイペースで自爆する私にとってはよかったか…)。
 距離的には大したことないので、牛歩戦術でひたすらじりじりと登り続ければ、やがて岩菅山頂上の祠が目の前に迫ってきていた。

岩菅山山頂からの展望@ 6:30

 ピークからは完全無欠の展望が広がる。南方に目を向けると、左から、浅間山、横手山、四阿山が並ぶ。完璧なリベンジ達成! あまり同じ山は登らない私だが、来てよかった。来なかったら、こんな素晴らしい山の印象が悪いままになっていた…

岩菅山山頂からの展望A 6:30

 西方に目を向けると、戸隠連峰を露払いに、北アルプスのオールスターズが勢揃い。スマホのカメラではギリギリ確認できる程度でしか映っていないが、肉眼では、白馬、劔や槍・穂まではっきり見通せた。アルプス行きたい!

岩菅山山頂からの展望B 6:33

 今度は東方だ。激しい逆光で眩さに耐えながら目を凝らすと、佐武流山(左)、白砂山と言った200名山の地味な面々(失礼)が正面だ。

裏岩菅山へ! 6:35

 さぁ、まだ時間はたっぷりある。前回登り残した裏岩菅山へ突撃。ピークから軽く下って、平坦な稜線を突き進む。

岩菅山を振り返る 6:45

 あまり事前に情報を仕入れてなかったが、この稜線、極上でした。日本中の山々を登ってきましたが、緩やかな区間がこれだけ続く主稜線を私は知りません(本日、体のコンディションが快調だったので、そう思えただけかもしれない…)。
 志賀高原で、ここまでの稜線漫歩が楽しめるとは… すいません、完全に侮ってました…

裏岩菅山が接近 6:51

 あっと言う間に裏岩菅山が接近し、最後、少しだけ登りがあるが、難なく攻略し、ピークへ。

裏岩菅山からの展望@ 7:05

 裏岩菅山にも祠が立つ。
 北東方面を望む。切明温泉へ下る切り立った稜線の奥には、苗場山が大きい。

裏岩菅山からの展望A 7:05

 続いて南方の展望。先ほどの岩菅山からの展望に、岩菅山そのものが加わる。

裏岩菅山からの展望B 7:05

 北方の展望。怪峰の名を欲しいままにしている鳥甲山が目の前だ。9年前の激闘を思い出す…

裏岩菅山からの展望C 7:07

 東方の展望。岩菅山からと全く変わらない(笑)… しかし地味やな…

岩菅山へ帰還 7:13

 岩菅山へ戻る。行きより楽だと思ったら、あれっ、裏岩菅山の方が、本峰より高いのか… 今頃気づきました。
 岩菅山で軽く休憩を取り、大観を目に焼き付けてから、下山を開始。
 ガレ場の急降下を慎重に下る。しかも、この頃からポツリポツリと下から登ってくるので、絶対に落石は起こせない。確実に足場を固めながら下る必要があるので、いつも以上に足に負荷のかかる下降となった…

ノッキリ 8:10

 ようやくノッキリに着陸。往路では陽が射してなかったが、今は暑い… 後は惰性で下るだけなので、休憩せず下り続ける。

さらば岩菅山! 8:18

 ここで岩菅山は見納め。さすがに3度目の登頂はないかな…
 次々と登ってくる登山者をパスしながら、快調に下山、一気にアライタ沢に降り立った。

上条用水路沿いの道 9:06

 ここからは平坦路。本当に気持ちの良い道だ。用水の管理道も兼ねてるんだろうけど、良くここを登山ルートにしてくれましたね…  地元京都の「哲学の道」を何故か思い出してしまいました。
 もう少し歩いていたいと思ったが、無情にもすぐに小三郎小屋跡に到着。聖平まで一気に下り、登山終了〜 9時20分(笑)…
 駐車スペースは満車状態で、何とこれから登ろうとしている御仁が… 正気か? もうかなりガスが上がってきてるので、展望は期待できないし、雷の恐怖と、なによりも暑い! 私は私で、朝早過ぎると思いますが、さすがに、これは無謀では?…
 人のことは放っておいて、湯田中温泉に直行し、10時過ぎには温泉に飛び込み(笑)、コンビニで酒と肴を調達し、11時前には、宿の部屋で昼呑み(笑)(笑)…
 そして昼寝(笑)… 自堕落振りが半端ない! サイコーの休日を満喫する。

「居酒屋 串道楽」さんで2R@! 17:13

 夕方になったので、性懲りもなく温泉街に飛び出す。
 この日は去年も行った「居酒屋 串道楽」さんに始業と同時に飛び込む。
 生イカの醤油バター焼きからスタート!

「居酒屋 串道楽」さんで2RA! 17:16

 豚バラとこころ、共に塩で。これ去年と全く同じオーダー(笑)…

「居酒屋 串道楽」さんで2RB! 17:49

 最後は手羽餃子でフィニッシュ!
 この店だけで、けっこう呑んだので、この日は宿では呑まず、早々に寝た(20時くらい(笑)…)
 健康的なのか、逆なのか…
 明日も志賀高原に向かう予定だ。

参考タイム

7/22聖平登山口 4:404:50 小三郎小屋跡 4:505:05 アライタ沢 5:055:40 岩菅山中間点 5:406:05 ノッキリ 6:056:30 岩菅山 6:357:05 裏岩菅山 7:107:40 岩菅山 7:508:10 ノッキリ 8:108:30 岩菅山中間点 8:308:55 アライタ沢 8:559:15 小三郎小屋跡 9:159:20 聖平登山口

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