北海道の山旅1987

−初めての北海道! 周遊券を駆使した超非効率な旅−

   

行程図

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旅行記

 7/25 晴れ
 北海道山旅記のはずが、なぜかスタートは北アルプスに向かう臨時急行「くろよん」の出発を待つJR大阪駅のホームである。北アルプスでのサークルの夏合宿の終了後、家に戻らずにそのまま北海道に向かったため、この日から記述することにした。
 22時に出る夜行列車に乗るために正午に集合し、場所取りをすると言うすさまじい非効率さ。これなら昼の電車で入山した方が遥かにマシだと思うが、当時は誰もおかしいとは思っていなかった(ようだ)。

 7/26 晴れ
 信濃大町に到着。駅2Fの食堂で朝食をとり、タクシーで七倉へ。いよいよ夏合宿が始まる。

 北アルプス(ブナ立尾根〜烏帽子岳〜野口五郎岳〜湯俣温泉)山行記へ(〜7/30)

 7/30 晴れ
 台風接近による途中撤退という残念なかたちで夏合宿が終わってしまった。松本には夕方に到着。槍ヶ岳で合流予定だった別コースのパーティはまだ下山してなかったので、この日はここでステビー。初めて駅で寝たが、同業者の多さにびっくりした。駅員はさぞかし迷惑だろう。

 7/31 晴れ
 この日も松本で沈殿。あまり金を使いたくないので、松本城の芝生で1日ごろごろしていた。この日もここでステビー。駅前生活にもだいぶ慣れてきた。

 8/ 1 曇り
 この日の午後、やっと別コースが下山してきた。夜には駅前の広場でビールかけをやり、合宿の憂さを晴らす。今日は久しぶりに旅館で寝た。布団のありがたみを実感した。

 8/ 2 曇り
 いろいろと紆余曲折があったが、やっと北海道に向かう日がやってきた。と言っても、まだこの日中には道内にたどり着けないが…
 サークルのみんなに見送られ、松本から長野経由で直江津へ。ここでサークルのメンバーが海水浴というふざけた振る舞いを行なっていることを探知していたので、お仕置きがてら海岸に寄り道。おかげで帰りは特急「白鳥」に間に合うため、駅までダッシュで戻る羽目になってしまった。
 「白鳥」は秋田までラッシュ並みの混み具合で、もう家に帰りたくなる。やっとこさ着いた青森は、ちょうどねぶた祭りの日で周囲の賑やかさにこっちも元気になってきた。深夜発の青函連絡船で本州を離れる。

 8/ 3 曇り
 ようやく北海道に到着。家を出てからちょうど10日目。青森と函館は距離はそんなに離れてないのに、気温が全然違う。涼しいと言うか肌寒い位だ。

時計台、超定番ですな

 朝一の特急「北斗」で札幌へ。世間知らずの私は札幌がこんなに大きな都市だとは今まで知らなかった。駅近くの観光地を散策した後は、知床山行用の買出しをして、釧路行急行「まりも」(当時)に乗り込んだ。この日もボックスシートの夜行で山を前に結構疲れてきた。

 8/ 4 雨
 目が醒めるともうそこは道東である。早朝の釧路駅に降り立つ。駅周辺は山中にいるようなガスの中。むっちゃ寒い。

根室標津にて

 もう廃線になってしまった標津線でさらに果ての根室標津へ。駅前の荒涼とした光景に、何かとんでもない所まで来てしまったような気がした。羅臼町へ向かうバスの発車まで時間があったので、駅前をブラつくが、不用意に入った小さな博物館っぽいところで、大きく立ち上がった姿の羆の剥製を見てしまい、長旅で忘れていたクマへの恐怖が一気にぶり返す。

 バスに揺られて羅臼の町へ。町民の方々には非常に失礼だが、今までほとんど遠出をしなかった私にとって、ほとんど異国の地に来たような気がした。この日は町外れの知床山荘に泊まる。ご主人の大森さんは長谷川恒夫のザイルパートナーだったお方である。羅臼の新鮮な魚介類が山盛りだった夕食の後、僕らの予定コースの解説を手書きのルート図で説明してもらい、コースの概略はだいだい頭に入った。天気が心配…

 8/ 5 雨
 1日中、雨、雨、雨… 仕方が無いので、寝だめと山荘の温泉に入り浸る。結果的には合宿と長旅の疲れが取れて良かったが、まだ何日も降り続けるような空模様だったので、ここまで来て登れないのではと、精神的にはかなり追い詰められていた。

 8/ 6 晴れ後曇り
 ようやく雨が止んでくれた。そして8時位には、雲の切れ間から、大阪の腐った空とは大違いの澄んだ濃い青空が見えてきた。このまま撤退かとも思っていただけに、ホンマにホッとした。大森さんにお礼を言ってから出発。

 知床連峰山行記へ(〜8/8)

 8/ 8 曇り
 知床の山はコースタイムもシビアできつい山だった。それだけ充実していたとも言えるが… 降りてきたところはすぐ横にカムイワッカ湯滝の登り口がある他は、な〜んにもない。故にこの日も林道脇にテントを張って寝た。めし時に纏わりついてくるキタキツネがうっとおしい。

 8/ 9 晴れ後曇り

カムイワッカ湯滝にて

 頑張って早起きし、お目当てのカムイワッカ湯滝へ。同じ考えの人々が結構いたのには驚いたが、それでものんびりと入浴することができた。

 ウトロ行きのバスに乗り込む。途中知床五湖のバス停からは、縦走した知床連峰の峰々が勢揃い! 縦走の実感がより湧いてくる。ウトロからさらに斜里駅に出て、スムーズな乗換えで網走駅に到着。

これも超定番、網走監獄

 やはり刑務所は外せないということで、網走番外地を訪れた後、夕方まで自由行動にする。私はレンタサイクルを借りて、ふと目に映った網走市内の裏山である天都山を衝動的に目指すことにした。

 天都山山行記へ

 網走駅に再び集合し、夕刻のバスで網走駅からサロマ湖へ。この日は贅沢?にもサロマ湖のユースホステル(YH)に泊まった。初対面の男女が賑やかにしゃべっているロビーを見て、住む世界が違うと感じたのは私だけではなかっただろう。夜は「ミーティング」と称して、宿泊者みんなでゲームを行なったが、私はどうもこの雰囲気が馴染めず、途中で寝てしまった。

 8/10 晴れ
 早く寝たせいか、睡眠は十分。この日は二手に分かれてのサロマ湖観光。
 サロマ湖YHで自転車を借りる。YHのロビーに貼ってあったガイドに近くの幌岩山がサロマ湖の全貌を見下ろすことのできる格好の展望台であると書いてあったので、まずはそちらに向かうことにする。
 近いと書いてあったが、実際はアップダウンの多い道で自転車では辛い。ライダーが気持ちよさげに次々と我々を抜いていく。

 幌岩山山行記へ

 YHにいったん戻り、さらに湖岸に沿って北東へ。サロマ湖東側の砂州を目指す。ハードなサイクリング。ここにはワッカ原生花園があり、オホーツクの海岸に寝転んで、しばしの間ボーッとした。
 YHに戻り、他の2人と合流、バスで今は亡き中湧別駅へ。これまた今は亡き名寄本線で紋別、興部とのんびりと途中下車しながら、夜更けに名寄に到着。この日はここでステビーした。蚊が多し。

 8/11 曇り時々雨
 この日は完全な移動日。天気も時折雨も降る曇り空。名寄から音威子府に出て、廃線になった天北線回りで南稚内へ。途中の浜頓別で下車し、クッチャロ湖に行きたかったが、列車が合わず断念。(翌年、レンタカーで訪れた。)
 南稚内でもYHに泊まる。ミーティングはもちろんパスして前夜ステビーの疲れを取った。

 8/12 晴れ
 いよいよ利尻島に渡る。知床から4日目の悠長な旅である。稚内の朝一のフェリーに乗り込む。幸いにも海は穏やかで、常に利尻を眺めながらの快適なクルーズだった。
 鴛泊港周辺で多少の買出しをしてから、いよいよ利尻岳へ向かう。

 利尻岳山行記へ(〜8/14)

 8/14 曇り後晴れ
 夕方の礼文島行の船の時間まで自由行動。私は鴛泊港近くのペシ岬で昼寝をして過ごした。
 礼文島までの船は結構揺れた。短時間の乗船で良かった。礼文島の香深港では、桟橋に各YHのお迎えがきている。我々は正統派の礼文島YHに泊まる。この島にはキ○ガイユースと呼ばれる有名などんちゃん騒ぎ系YHがあり、好きな人はたまらないだろうが、私はまっぴらごめんである。
 礼文島YHは夜のミーティングもお行儀良く、私でも苦にならなかった。

 8/15 曇り後晴れ
 旅の疲れか、大幅に寝過ごしてしまった。先輩方3人はすでにスコトン岬の方に向かったようだ。宿には私一人が残された状況だった。
 どこに行こうか悩んだが、YHの人に聞くと、礼文岳が2〜3時間で登れると聞いたので、行ってみることにする。
 自転車を借り、礼文岳の登山口である内路まで海岸沿いの道をのんびりとサイクリング。グループでの旅行もいいが、やはり一人になると旅の雰囲気がグッと強まる。青空の彼方に利尻が悠然と浮かぶ。

 礼文岳山行記へ

 稚内へ戻るフェリーの出発まで、まだ時間があったので、島南端の知床までのんびりとサイクリングを楽しむ。
 稚内行の最終便に乗り込む。メンバー1人は礼文島西岸を踏破する8時間コースに参加しており、この日も島に泊まるようだ。故に3人になった。

フェリーから振り返る夕暮れの利尻

 帰りのフェリーから眺める夕日を浴びた利尻岳は絶品。私は利尻が視界から消えるまでずっと甲板で眺めていた。
 稚内からそのまま夜行の急行「利尻」で札幌へ向かう。

 8/16 曇り
 乗車した時は次の目的地を決めてなかったが、旅の最後に北海道の最高峰に敬意を表そうと思い、大雪山を目指すことにする。
 本来なら旭川で降りたら良いのだが、眠いし、ワイド周遊券も持っているので、いったん札幌まで出た。札幌駅での朝食後に先輩2人と別れ、ついに1人に。
 特急で旭川まで引き返す。周遊券ならではのマヌケな行動である。

 旭岳山行記へ

 旭川へ戻る。駅前では礼文島で別れた先輩とバッタリ出くわし、北海道は広いのか狭いのか良く分からなくなる。
 夜遅くに札幌に戻り、この日は他の同業者と同じく駅にステビー。家を出てから今日で23日目。かなり旅の疲れが出てきたようだ。一人になるとより実感する。

 8/17 晴れ
 今日はあまり動く気がしない。今日で北海道ともおさらばと言うのに、札幌でダラダラと無為な時間を過ごしてしまう。やっと昼前になって小樽に行きたくなり、大勢の観光客で賑わう小樽運河を一人淋しく彷徨った。
 札幌に戻り、夕方の特急「北斗」で函館へ。夜行の青函連絡船に乗り込み、爆睡した。

 8/18 曇り
 眠いのに早朝の青森港に放り出される。特急の「白鳥」で帰ろうかとも思ったが、ケツが壊れるような気がしたのと、せっかく東北に来たのでどこか見ていこうと思い、この晩の夜行特急「日本海」で大阪に帰ることにした。

旅の終わりに、弘前城にて

 夕方には青森に戻ったら良いので、この日は近くの弘前を観光する。弘前城は前から行きたかった城で近くの寺町の佇まいとともに心に染みた。

 「日本海」の時間まで青森市内で適当に時間をつぶす。この前ここでねぶた祭りを見たのはもう16日も前のことだった。長かったのか短かかったのか良く分からない山旅が終わろうとしていた。

諸国名山探訪

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