飯豊連峰縦走

−青空と新雪と紅葉と… 極上の山旅を満喫−

   

山行概要

日 程
1989年10月7日(土)〜12日(木)
山 域
飯豊連峰
メンバー
野郎3人(トクさん、サック、私)
コースタイム
10/ 7
JR山都駅=taxi=弥平四郎登山口=0:15=祓川山荘【0:15】
10/ 8
祓川山荘=1:15=松平峠=0:55=疣岩山=0:35=三国岳=1:10=切合小屋【3:55】
10/ 9
切合小屋=1:30=頂上小屋(飯豊本山往復25分)【1:55】
10/10
頂上小屋=0:10=飯豊本山=1:05=御西小屋(大日岳往復2時間)=0:35=天狗の庭=0:30=御手洗の池=0:50=烏帽子岳=0:20=梅花皮岳=0:15=梅花皮小屋【5:45】
10/11
梅花皮小屋=0:30=北股岳=1:05=門内小屋=0:20=扇ノ地紙=0:30=地神北峰=0:25=頼母木山=0:15=頼母木小屋(杁差岳往復2時間55分)【6:00】
10/12
頼母木小屋=0:20=頼母木山=0:25=地神北峰=1:25=水場=0:40=ピーク765=0:35=飯豊山荘【3:25】

記録文

 10/7 雨
 急行「きたぐに」から磐越西線を乗り継ぎ、山都駅下車。台風の影響が残っており、始まりは雨…

山都駅

 しゃがんでる男(サック)は、登山靴にミンクオイルを塗っている。なんで家でやってこないのか…
 この日は、入山するだけなので、駅近くのスーパーで食料を買い足したりと、ダラダラと過ごしてしまう。

祓川山荘

 やっと、山に入る気になり、タクシーを呼ぶ。通常は弥平四郎登山口まで入らないらしいが、我々は運ちゃんをおだてまくり、荒れた林道を何とか終点まで入ってもらいました。(会社からの無線はひっきりなしに、「戻れ!」、「入るな!」を連呼していたが…)
 いきなり見事なブナ林の中に放り出される。さすがに東北の山に来たと実感。が、今日の行程15分。見とれる間もなく山荘に到着。明日の天気を心配しつつ、早々に寝た。

 10/8 晴れ後雪
 気合いが空回りしたか、いきなり寝坊し、6時半発。

快晴です!!!

 前日の予報に反し、天気は快晴、紅葉を愛でつつ松平峠へとゆるやかに登る。

松平峠(の少し上)でちと休憩

 峠からは疣岩山が壁のようにそびえ立つ。見た目通りのジグザグ急登が延々続き、みなグロッキー。

いよいよ紅葉ロードへ

 疣岩山からは飯豊主稜が望めるが、急にガスが湧いてきた。それよりもいよいよ本格化してきた周囲の紅葉に目を奪われる。
 これが見たかったんざます。

疣岩山から三国岳へ

 三国岳へは途中ゆるやかな鞍部を挟むだけの散策コース。紅葉も最高潮に色づき、ボルテージは上がる。

三国岳の直下にて

 もう少し日が当たれば最高だったんですが…
 三国岳を少し越えたところで、我慢できず昼食をとっていると、急にガスってきて、雪が降り始めた。以後早足で切合小屋へ。小屋着。12時半。
 一気に冬型になったようで、雪が降り続く。

 10/9 曇り一時晴れ
 冬型の気圧配置が続き、小屋周辺はずっとガス。仕方がないので、しばし待機。(小屋で待ってると寒くて仕方がないので、シュラフに引きこもり状態となります)

一気に白銀の世界へ

 8時半頃になって急に青空が広がった。周囲は昨日の紅葉から白銀の世界へと一変していてびっくり。
 とりあえず出発する。

草履塚にて 寒すぎる…

 上下カッパ+スパッツのフルアーマー仕様で進む。ヘボい鎖場の御秘所を通過してから、再び吹雪となる。御前坂の急登中、ずっと左頬に霰の直撃を受け続け、顔の左だけ感覚が無くなってくる。
 這々の体で頂上小屋10時着。結局この日はここで行動終了。

とりあえず、飯豊本山には行きましたが…

 昼食後本山のピストンに向かうが、思いっきりガスの中… 小屋は超満員札止め状態だし、こんなところで停滞はごめんです。「体育の日」のパワーに期待。

 10/10 快晴

よかった、よかった、晴れました

 あまりの寒さに夜中何度も目が覚めたので、期待はしていたが、やはり完全無欠の快晴となった。「体育の日」恐るべし。

飯豊本山にて

 5時20分発。本山で最高の夜明けを迎える。しかし、寒いっす。鼻汁洪水状態。御西岳へ向けて歩き出すが、体が硬直して、ロボットのような歩みとなる。

紅の大日岳

 御西までののびやかな稜線の先に最高峰の大日岳が… 素敵ざます。
 寒いが、写真も撮りたいので、素手の私はもう凍傷寸前に…

御西岳から烏帽子・北股岳(左)を望む

 御西岳はまるでグラウンドのように広々としている。昨日のような天気なら迷走必至ですな。
 しかし、それにしても展望良すぎます。フィルム不足気味…

御西岳からは大日が真正面

 そして正面には大日岳がどーんっと。これはもう突撃するしかありません。

大日岳のピストンへ

 御西岳の小屋にザックをデポして、サブザックでピストン。体は軽いわ、景色は最高やらで、何か夢を見ているようでした。

大日のピークをロックオン!!!(表現はまたもやパクり…)

 最後の方は、なかなか急です。(アイゼンを付けるほどではなかった)
 気がはやる我々は息せききって登り続けます。

大日岳にて

 極上の光景にもう何も言うことはありません。

飯豊本山・御西岳(手前)

 大日岳は主稜線から少し離れた位置にあるせいか、飯豊の山並みを眺めるには最高の場所です。

烏帽子・北股岳(左)

 今日中に、あそこまで行かなくては… 雪が残る中で大丈夫でしょうか? ということで、我に返り、御西岳まで駆け戻る。
 水を若干補給し、縦走再開。

雄大な飯豊本山

 御西岳から少し進んだ辺りからの本山。写真撮りまくり。
 基本的に飯豊の主稜線は、アップダウンはあんまりないので、さっきの不安はどこやら、おもしろいように距離がはかどる。

天狗の庭から北股岳、烏帽子岳を望む

 ここでランチにしました。気温が上がったので、朝は真っ白だった山肌も、だいぶ雪が融けてきた。
 烏帽子岳へは、この日の行程で、初めてかつ唯一と言っていい急登となる。

烏帽子岳が目の前に

 あんなに遠かった烏帽子のピークが、手の届くところまで来た。

大日岳。かっこ良すぎます

 そして、振り返れば、はるか彼方に大日岳が…

烏帽子山頂からの大日岳

 今日最後の登りを頑張り、烏帽子のピークに到着。大日岳のこの量感、この風格、どうですか。
 振り返る飯豊本山はびっくりするほど遠くに見える。次の梅花皮岳からゆるやかに下ると今日の目的地、梅花皮小屋に降り立つ。15時半の到着。山行のメイン区間を最高の展望の中を駆け抜けただけに満足度は高いが、天気は下り坂。明日はどうなるか…

 10/11 曇り後雨
 4時起床、5時発。どんよりとした曇り空の下、北股岳への朝一の急登をこなす。

北股岳にて

 視界は利くものの御来光は拝めないままピークを後にする。昨日の残雪が凍り付いており、なかなか神経を使う下りである。

門内岳からの北股岳(右)、烏帽子岳

 なんとか天気がもつ中、快調に北上。徐々に高度は下がってくるので、しだいに雪はまばらになってきた。

地神岳付近からの杁差岳

 今縦走の最終目標が徐々に射程距離内に近づいてくる。
 頼母木小屋10時着。事前の情報では水は涸れているとのことであったが、小屋前にあふれ出る程の水場があり、ノープロブレム。

杁差岳ピストンに向かう

 さあ、もう一仕事。サブザックに昼食を詰め、杁差岳のピストンへ向かう。

鉾立峰付近の紅葉

 この辺りまでくると、雪はほとんど消え、紅葉の世界が復活してくる。途中、鉾立峰という見事な尖峰があり、越えるのに苦労したが、何とか最終目標の杁差岳に到着。

杁差岳から主稜を振り返る

 こらえにこらえてくれた空だったが、ピークでついに雨が落ちてきた。それでも、視界は良好で南に目をやると今まで歩んできた連峰の面々がオールスターキャストで連なり、また西側には日本海と佐渡&粟島が見え、感無量の思いであった。

頼母木小屋へ戻る

 ピーク直下の避難小屋で昼食をとってから、頼母木小屋へ戻る。帰りも鉾立峰には泣かされた… 小屋着15時。今日は我々の貸し切りだった。

 10/12 曇り
 さあ、今日は降りるだけと思いきや、外はすさまじい強風が吹き荒れており、様子を見る。食料が乏しくなってきているので、何とか下山したいと願う。すると、7時前になってようやく風も収まってきたので、ようやく出発。

地神北峰で飯豊の主稜ともおさらば

 地神北峰まで登り返し、ここで飯豊の主稜線ともおさらば。丸森尾根を下る。
 この尾根、噂には聞いていたが、さすがにエグい下りが連発する。また、雨上がりの泥濘のためか、みなこけまくりで泥だらけ。しかも、最後になればなるほど急になるので、連日の疲れも相まって、フラフラの下山となってしまった。
 最後、飯豊山荘の屋根が真下に見えるような急降下を何とかこなし、正午前ついに飯豊山荘到着。3人とも堅く握手を交わし、山行の成功に喜び合う。

 この後、運良く上がってきたタクシーに梅花皮荘まで送ってもらい、ここで一風呂浴びた。湯船に浸かって山行を反芻すると、自然と笑みがこぼれるような、本当に素晴らしい山行だった。(了)

山行データへ

諸国名山探訪

Copyright(C) Hiroshi Fujita All right reserved

inserted by FC2 system