ダイヤモンドトレイル一撃走破

−果てしなく続く階段との戦い。タイムは大いに不満ながら、ダイトレをオーバーナイトハイクで一撃で撃破!!!−

   

山行概要

日 程
2014年11月21日(金)、22日(土)
山 域
金剛山脈・和泉山脈
天 気
快晴
メンバー
Wヒロシ(I.ヒロシ、F.ヒロシ)
コースタイム
近鉄上ノ太子駅=0:40=ダイヤモンドトレイル北入口=1:40=竹内峠=1:35=岩橋山=0:50=持尾辻=1:15=葛城高原ロッジ=0:55=水越峠=1:00=パノラマ台=0:45=一ノ鳥居=0:20=久留野峠=0:35=千早峠=0:25=行者杉峠=0:20=杉尾峠=0:25=西ノ行者堂跡=0:35=山ノ神=0:15=紀見峠=0:35=ボ谷ノ池=0:30=岩湧山三合目=0:30=南葛城山分岐=0:10=五ツ辻=0:30=岩湧山=1:20=滝畑=0:30=ボテ峠=0:15=番屋峠=0:05=追分=0:15=施福寺=0:20=槇尾山バス停【16:35】

記録文(写真はクリックで拡大)

 いよいよ私の業務繁忙シーズンが近づいてきた。本年の登山シーズンの総決算として、六甲全山縦走以降、ぼんやりと構想を練っていた、ダイヤモンドトレイル日帰り踏破を実行に移そうかと考える。
 コースタイムは約21時間という正気の沙汰とは思えないタイムである。京都から始発で出発したのでは、帰りの電車が無くなってしまう。このため、終電近くの電車で出発することにした。一睡もできないデメリットは相当なハンデだが、これなら何とか公共交通機関で帰洛できそう。あわよくば17時28分発の槇尾山バス停最終バスにも間に合うかもしれない。
 ネットで調べると、ダイトレは公称45キロとなっているが、実測で50キロくらいあるらしい。1日で駆け抜ける猛者はたくさんいるようだが、ほとんどは今流行りのトレラン仕様の人たちで、私のような普通の登山者はあまりいなかった。
 決行日は勤労感謝の三連休の初日に設定した。気候も最適だし、体がボロボロになっても、仕事には支障は出ないだろうという考えである。
 夜間ハイクを一人でやり切るほどの気概は無かったので、ここはやはり、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根剱岳早月尾根毛勝山北西尾根等、次々と日帰り長距離コースを一緒に撃破してきたI.ヒロシ氏に協力を依頼する。「伊達と酔狂」がモットーのI.ヒロシ氏は、こんな馬鹿げたプランにも二つ返事で参加を快諾。さすが歴戦の勇士である。そして、剱岳早月尾根に同行し、タフネスぶりには定評のあるOT君も志願した。
 そういう訳で、とりあえず10月中には決行が決まったが、私は仕事が忙しくなってきて、ほとんどトレーニングができないまま、決行日を迎えることになってしまった。

 なんば駅に21時集合予定。何とOT君が体調不良でキャンセル。仕方がない。
 18時半に職場を出、予定通り、なんば駅でI.ヒロシ氏と合流。コインロッカーに着替え他を押し込み、再び御堂筋線で天王寺(阿倍野)へ。
 どうせ何ぼでも時間はあるからと、コンビニで買い出しの途中に見つけた駅前のたこ焼き屋で、何と私は缶ビール2本… 完全に舐めてます。ようやく満足して近鉄南大阪線に乗り込む。
 残業疲れのビジネスマンと一緒に上ノ太子駅に降り立つ。いよいよスタートである。スポドリ1.5リットルとおにぎり2個、ミニ弁当×3、チョコレート等を詰めたザックがずしりと重い。

長い旅路のはじまり 22:58

 さあ、行くぞ!と、意気込んだものの、いきなり暗闇の住宅地で右往左往。ここでスマホ版の「山と高原地図」+スマホGPSの威力で、何とか、穴虫越の車道へ入る。以降は歩道のない車道を車にビビりながら、登っていく。

いよいよダイトレへ 23:40

 溜池を過ぎるとダイトレの看板が現れる。以降、嫌になるほどお付き合いすることになる。
 今までは街灯もまばらにあったが、ここからはヘッドライトだけが頼りである。暗闇の中、黙々と登りだす。私はまだ酔っぱらっているので、饒舌だったが、ひと汗かくと酒も抜け、私も無言になる。
 ダイトレは二上山を巻いているので、岩屋から竹内峠へ直進。竹内峠はこんな時間でも車の往来が激しく、オヤジ狩りに遭うんじゃないかと不安になる。

岩橋山頂上 3:08

 竹内峠からしばらく車道を進むと、再び山道へ。ルートは明瞭でヘドラン歩行でも全く支障はないが、整備過剰で階段攻撃が続く。
 この岩橋山は展望全くなし。ライトを消して休憩してみると、あまりの真っ暗&静寂ぶりに怖くなってくる。
 岩橋山の下りは、延々と階段が続く。まだ序盤なのに、膝にダメージが蓄積していく…

 大和葛城山へは、淡々と登って行く。900m超えの実感はあまりないが、かなり肌寒くなってきた。ここもピークを割愛し、葛城高原ロッジの前で休憩。二人で震えながら、おにぎりを頬張ばる。しかし、我々は何をやっているのだ。
 嘆いていると、ロッジで朝風呂に入っている人の気持ちの良い声が聞こえ、怒りが込み上げてくる。
 水越峠へは急降下となる。目の前に黒々とした金剛山が現れるが、見て見ぬふりをして黙々と下る。特に峠の手前が厳しい下りだ。私の右膝には既に違和感が…
 峠の手前で、ようやく空が白んできた。水越峠からはしばらく林道歩きとなる。周囲の木々が思った以上に色づいており、それはそれで気持ち良いものだが、なかなか景色を楽しむ心境になれない。
 途中、「金剛の水」という整備された水場が現れる。今回、1.5リットルを持参したが、結局、この時期のせいか、最後まで給水することはなかった。

パノラマ台 7:33

 林道を離れ、再び階段の登りをしばらくこなすと、支尾根に登りつく。
 ここがパノラマ台で、大和平野が眼下に広がる。
 ここからは稜線に沿って登る。この水越峠から金剛山へは、600m近い登り返しになるので、気が張っていたが、終始ゆるやかで、大した登りはなかった。それよりも、この辺りで睡魔が襲ってきて、立ち止まると、眠ってしまいそうだ。

一ノ鳥居 8:19

 笹原が目立ってくると、ようやく金剛山上に到達。私は何と30年振りの金剛である。
 ここもピークは割愛し、速やかに南へ向かう。
 香楠荘横の広場で大休止。カロリー補給に努めるが、I.ヒロシは速攻で眠りこけてしまった…
 まだここからコースタイムは10時間以上もある。今更ながら、とんでもないことに取り掛かってしまった。ロープウェイへの未練が募るが、何とか邪念を振り切り、縦走を再開。ここからは顕著な登りはなく、下り基調なので、飛ばそうとするが、行動時間は10時間を超え、スピードが上がらない…

千早峠 9:55

 この金剛山南西尾根は、基本的に杉林の中を行くが、中葛城山から高谷山へかけては、僅かに笹原が広がり、大峰や高野の山々が広がる。
 高谷山からゆるやかに下ると、千早峠。天誅組が五條代官所を襲撃した際に越えていった峠である。

行者杉峠 10:25

 神福山の手前で山頂を巻き、西向きに角度を変えると、役行者を祀った行者堂の立つ行者杉峠。しかし、この辺り、何ぼでも飛ばせそうなのに、足がついていかない。
 杉尾峠、西の行者跡と淡々と進む。景色の変化があまりなく、発狂しそうだ。そして、山ノ神へは、階段の下りが延々と続き、ここで私の右膝は完全に崩壊… 呻き声を上げながら、ヨロヨロと下る。

紀見峠 12:05

 紀見峠手前には立派なトイレが新設されていた。ここでようやく全行程の2/3ほどである。
 とりあえず、弁当の2個目に喰らいつき、ひと心地つく。しかし、もう右膝は限界。曲がらない。そして、右足をかばって歩いたせいか、左足の裏もマメができたようだ。まだ6時間半のコースタイムが残っており、ホンマにもう止めようかと真剣に思うが、どうせリベンジしようと後で思うんだし、もう二度とこんな目には遭いたくないので、続行を決意。しかし、槇尾山の終バス17時28分には間に合いそうにもない。阿倍野でたこ焼きに現を抜かしたツケが回ってきた。

ボ谷ノ池 12:50

 紀見峠駅に激しく心惹かれながら、何とか先へ。岩湧山へは500mほど登り返さねばならないが、ボ谷ノ池までは非情なアップダウンが続く。ボ谷ノ池はほぼ干上がっていた。
 そして、砥石谷への分岐から三合目に向けての急登が幕を開ける。この区間が岩湧山への最大の障壁となる。しかし、一睡もせず、行動時間が14時間を超えた段階でのこの急登は辛すぎる。意味不明の大声を上げながら登る私たち。
 何とか三合目に登りつけば、ほぼ岩湧山の攻略が終わったも同然。

南葛城山分岐 13:55

 ゆるやかな幅広道をヨロヨロと進む。いつしか杉林から紅葉の自然林に変わって来たが、紅葉を愛でる余裕は全くない。
 五ツ辻から少しの登りで、岩湧山の東峰に登りつくが、展望全くなし。
 さすがに岩湧山は人気の山であり、山ガールとどんどんすれ違うが、みな足を引き摺って歩くオッサン二人連れを気持ち悪そうに眺めていた。

岩湧山からの金剛、葛城山 14:35

 西峰へは、いったん下り、最後は気持ちの良いカヤトの原をひと登り。
 西峰では、今山行で、最高の展望が待っていた。6時間前にいた金剛山が遥か彼方に… 感無量である。
 ここで今回初めてのまとまった休みを取る。

岩湧山から滝畑へ下る 15:00

 ここから滝畑へは標高差600m以上の下りが待っている。ベンチから立ち上がると、足が硬直しており、激痛が…
 この時点では、登りはまだ何とかなるが、下りになると、どうしようもなくなっていた。
 扇山の手前までは、カヤトの原を楽しみながら、ゆるやかに下るが、稜線を離れてからは、延々と本格的な下りが続く。

滝畑への下り 15:47

 この辺りの紅葉は最高だったが、私は右膝の激痛に悲鳴を上げながらの苦闘が続く。今思えば、この辺りが今チャレンジの正念場だったような気がする。
 やっとの思いで滝畑へ。ここで槇尾山バス停までタクシーを予約する。しかし、ダイトレはここで終わった方がキリが良いと思うのだが、非情にも施福寺まで、まだ200m以上も登り返さねばならないのだ。

 新関屋橋を渡り、集落を抜け、民家の間から再びダイトレへ。ここは分かりにくいので注意が必要。GPSのおかげで助かった。
 山道に入ると、一気に暗くなってきた。しかも、この区間は、これまでのダイトレとは整備状況が明らかに違う。けっこう険しい道が続く。

番屋峠 17:20

 しかもボテ峠、番屋峠と峠を2つも越える必要があり、この状況下での非情なアップダウンが続く。気持ちが折れそうになるのを必死に耐え、文字通り歯を食いしばって頑張る。
 ボテ峠で再びヘッドライトを装着。明るいうちに下山するという目論見は叶わなかった…
 しかも番屋峠からは追分と呼ばれる沢筋までいったん下る。そして、施福寺まで最後の登り。もう気力だけだった。

槇尾山バス停 18:05

 火事場のクソ力か、コースタイムの半分で駆け上がり、人っ子一人いない施福寺の境内についに到達!
 物凄い達成感が押し寄せるが、まだ戦いは終わらない。施福寺からバス停までの石段攻撃は、完全に足の破壊された我々に絶叫を上げさせるのに十分だった。

 数々の長距離歩行をこなしてきたが、このダイトレ全縦は、確実に六甲全縦より厳しいと思います。金剛山以降は、ロープウェイ等のエスケイプ方法も無くなるし、相応の覚悟が必要です。
 次やるとしたら、トレランでの挑戦かな…

参考タイム

11/21、22近鉄上ノ太子駅 23:0023:40 ダイヤモンドトレイル北入口 23:451:25 竹内峠 1:303:05 岩橋山 3:104:00 持尾辻 4:055:20 葛城高原ロッジ 5:306:25 水越峠 6:307:30 パノラマ台 7:358:20 一ノ鳥居 8:208:35 ピクニック広場 9:009:20 久留野峠 9:209:55 千早峠 10:0010:25 行者杉峠 10:2510:45 杉尾峠 10:4511:10 西ノ行者堂跡 11:1511:50 山ノ神 11:5012:05 紀見峠 12:1512:50 ボ谷ノ池 12:5013:20 岩湧山三合目 13:2513:55 南葛城山分岐 13:5514:05 五ツ辻 14:0514:35 岩湧山 15:0016:20 滝畑 16:3017:00 ボテ峠 17:0517:20 番屋峠 17:2017:25 追分 17:2517:40 施福寺 17:4518:05 槇尾山バス停

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