−高校ワンゲル部1年時の夏合宿。初めての3000m級の縦走を味わう。−
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山行概要
1984年7月30日(月)〜8月3日(金) | ||
中央アルプス | ||
男8人 | ||
JR木曽福島駅=taxi=福島Aコース二合目=0:55=木曽見台=0:45=四合目=0:50=五合目=0:45=六合目=0:25=七合目避難小屋【3:50】 | 七合目避難小屋=0:35=八合目=0:45=九合目=0:30=木曽駒ヶ岳=0:30=中岳=0:20=宝剣岳=1:45=濁沢大峰=1:05=檜尾岳=0:25=檜尾避難小屋【5:55】 | 檜尾避難小屋=0:15=檜尾岳=0:10=大滝山=0:55=熊沢岳=0:25=池ノ沢カール=0:50=東川岳=0:25=木曽殿越=1:25=空木岳=1:10=空木平避難小屋【5:35】 | 空木平避難小屋=0:50=空木岳=1:25=南駒ヶ岳=1:10=仙涯嶺=0:45=越百山=0:10=南越百山=0:10=越百山=0:20=越百避難小屋C.S.【4:50】 | 越百避難小屋C.S.=1:50=福栃平=1:00=伊奈川ダム=2:25=JR須原駅【5:15】 |
記録文(写真はクリックで拡大)
高校1年時の大阪府立寝屋川高校ワンダーフォーゲル部の夏合宿。中央アルプスの核心部をスルーハイクするコースで、初めてのアルプス歩きに相当期待が高まっていた…
7/30 晴れ後霧
新幹線&しなので木曽福島へ。慣れない振子電車で半数が酔ってしまう。駅からタクシーに乗り、福島Aコースの二合目から歩き出すが、慣れぬ重荷、車酔いのダメージでいきなりバテる。
木曽見台では今まで写真でしか見たことのなかった御岳、乗鞍岳の大観が展開、さすがに実物は違うと実感する。
木曽見台での一息も束の間、さらに急登が続く。なかなか行程がはかどらず、この先完歩できるか不安になる。
やっと着いた避難小屋は結構立派な造りだった。
明日はいよいよ主稜を歩く。興奮してなかなか寝つけなかった…
7/31 晴れ後雨
4時起床、5時発。期待通りの好天に心が弾む。朝日を浴びる木曽駒に見とれながらのスタート。
八合目まではダラダラ高度を上げていく。目指す木曽駒をはじめ、しだいに周りの景色が広がっていく。
今まで憧れでしかなかった景観がすぐそこにある。体中からアドレナリンが出まくる。興奮状態の中、一気に木曽駒を攻略する。
人生初のアルプス登頂! 登頂の瞬間、自分の中で何かが壊れたような気がし、思わず声をはり上げてしまった。見渡す限り山、山、山。南北アルプス、八ツ、富士やこれからたどる宝剣、空木、南駒等が勢揃い。
僕はこの時をもって自分が山岳教に入信したことにしている。それ程強烈な体験だった。
たっぷりと展望を満喫してから、宝剣への縦走に向かう。
宝剣の稜線も見た目ほどではなく、余裕で通過。宝剣岳のピークは細い岩頭。さすがにここに立った時だけは腰が引けた。なだらかな島田娘を過ぎ、濁沢大峰を越えるのに多少ヘバりながらも初めてのアルプス縦走を充分に満喫し、余裕で檜尾岳に到着した。避難小屋は少し下った見晴らしの良い小ピークに立っていた。
到着とともに、小雨が降り出した。今日一番しんどかったのは、この雨の中の雪渓下までの水汲みだった…
8/1 晴れ後雨
今日も4時起床、5時発。だいぶ体が山の生活に慣れてきた。まずは檜尾岳へ登り返す。
檜尾岳からは、本日の目的地である空木岳が恰好良すぎる。
檜尾岳まで来ると、宝剣岳の姿もだいぶマイルドになって来た。
大滝、熊沢岳と稜線漫歩を楽しむ。辺りはウスユキソウが咲き乱れ、途中の池ノ沢カールでは残雪シャーベットを味わうなど、まさに夏山JOYそのままだったが、東川岳から一気に下った木曽殿越での昼食中に辺りはすっかりガスに覆われてしまった。
不穏な情勢の下、空木へは急登となる。東川岳を振り返ると、木曽殿越への落ち込みが凄い…
急登に耐え、何とか空木岳の頂上近くまで来た頃、いきなりドーンという爆音と共に、稲妻が目の前を横切った。皆ちりじりになって、岩陰に伏せる。すぐに叩き付けるような雨が落ちてきた。あまりに顔が痛いので確かめるとそれは雨ではなく雹だった。それから爆音と雹は30分ほど続いたであろうか、全く生きた心地がしなかった…
急に頭上が明るくなり、青空が広がってきた。空木のピークはすぐそこだった。辺りはさっきの騒動が嘘のように静まり返っており、山の天気の移り変わりの速さに今更ながら驚く。
空木岳からは南駒ヶ岳が重厚な姿を見せる。この日はピークから東側に30分程下った空木平避難小屋に泊まる。
今日の泊り場、空木平は花咲く楽園だった。夕食後、また雷鳴が轟いた。しつこい雷雲だった…
8/2 晴れ後雨
またも5時発。空木岳に登り返す。ピークでは木曽谷方面に見事な雲海が望め、御岳が優雅に浮かんでいた。
南駒ヶ岳へ縦走を開始する。南駒は白いザレ場が多くなんとも美しい山だった。展望も良く、個人的には今山行で一番良いピークだった。
仙涯嶺へも同じようにザレが続くが、こちらはかなり急峻で、結構危ないところもある。
ここを越えれば、後は越百山までのんびりとした稜線歩きが続く。ここまで来ると主稜線に別れを告げるのが寂しくなってきた。このため、南越百山もピストンし、今山行最後のピークでのんびりと休憩した。
越百避難小屋は樹林帯の中にひっそりと立っていた。すでに満員だったので、今山行で始めてテントを張ったが、この日もきつい雷雨があり、あっという間に床上浸水となってしまった…
8/3 晴れ
ついに最終日。今日はのんびりと6時発。涼しい樹林帯を快調に下り、福栃平に快調に到着。
ここから須原駅まで灼熱の林道歩きが約3時間半も続いた。この区間が今山行で一番きつく感じ、須原の駅が見えたときには思わず走り出してしまった。
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